EQ articles

EQリーダーシップから解く、キャプテンシー

by : 6SJ代表 田辺 康広  | 

2018年8月1日 | 

, , , , ,

6月より連載の始まった、代表田辺によるEQリーダーシップ・シリーズです。
ご好評いただきありがとうございます。

本シリーズは6SJメールレターのご登録でタイムリーにお読み頂けます。


前々回の山本氏、前回の須澤氏に引き続き、今回もサッカーW杯シリーズに参加させていただき、EQリーダーシップ関連と結び付けて書こうと思います。

 

キャプテンシーとチームビルディング

今回のMVPも優勝チームからではなく、優勝を逃したのチームのキャプテン ”ルカ・モドリッチ”氏 が選出されました。前回の”ライオネル・メッシ”氏と同様です。ちなみに、さらに遡ると、ディエゴ・フォルラン(2010年)、ジネディーヌ・ジダン(2006年)、オリバー・カーン(2002年)、ロナウド(1998年)と6大会連続で、最優秀選手は優勝を逃したチームから選出されています。

みな素晴らしいキャプテンシー(かならずしもキャプテンではなかったですが)を持った人たちです。

そんなことを考えているうちに、かつて現場の管理職を育成する研修で、ご自身の役割を理解していただくためにサッカーや野球における「キャプテン」の話を出す時があったことを思い出しました。内容はこんな感じでした・・・

「チームは「監督」「コーチ」「キャプテン」「選手」(実際はそのほかの役割を持ったたくさんの方がいらっしゃいますが)で構成されます。この中でピッチやグランドに立てるのは「キャプテン」と「選手」のみですね。相手と対峙し、長い緊張の中で戦い抜くには「キャプテン」の存在は選手にとってはかなり大きなものと思いませんか。

皆様も現場を預かる身「キャプテン」としていろいろな苦労やお悩みがあると思います。では、様々な苦労や悩みの中で「キャプテン」としての職責を果たしていくためにはどのような要件を備え、どのようなことを心がけていったらいいのでしょう。

ブラジルや日本のジュビロ磐田のキャプテンとして活躍したドゥンガ選手の「キャプテン」に関する記事がありますので紹介しましょう」

といってすこしばかりドゥンガ選手の「キャプテンシー」についての想いを紹介(sports naviからの引用)しました。

「ドゥンガ選手は1963年生まれ。ブラジル、リオ・グランデ・ド・スル州出身。81年にインテルナショナルからプロデビュー後、MFとして活躍。

ブラジルをはじめイタリア、ドイツ、日本のクラブチームを渡り歩き、リオデジャネイロ州選手権優勝、UEFA杯準優勝、ジュビロ磐田で97年にJリーグ年間チャンピオン、ナビスコカップ優勝など数多くのタイトルを手にする。ワールドカップには3回出場し、94年アメリカ大会で優勝、98年フランス大会で準優勝を果たす。本名はカルロス・カエターノ・ブレドルン・ヴェーリ。

キャプテンに求められる資質

今回は皆さんから質問の多かった「キャプテンシー」について話すことにしよう。私がセレソンをはじめ、所属したほとんどのチームでキャプテンを務めたのは事実だ。しかし、だからといって私がほかの選手よりもその資質を備えていた、などと思い上がるつもりはない。私が考えるキャプテンに求められる条件とは次のようなものだ。

1.チームメートに尊敬されること
2.選手としての経験が豊富なこと
3.仲間と話し合うことができること
4.監督の戦略やアドバイスを理解し、それを伝えられること
5.苦しいゲームの中でも自信を失わないこと
6.率先して嫌な役を引き受けられること

いかがですか?

 

キャプテンシーとEQリーダーシップ

ドゥンガ選手の条件から「キャプテンシー」の発揮には現場リーダーとしての圧倒的な役割意識や知識、スキルが必要なことがわかりますね。とくにEQリーダーシップの観点で上記の6条件を見ると、「6」が注目されます。

あなたは敢えて嫌われ役を買って出られますか?

といった感じですね。

実際、日本の「キャプテン」を長く勤められた長谷部氏について、 本田圭佑 選手もインタビューの中で”口やかましくいろいろ言われましたが”というコメントを発していました。きっと長谷部氏にも「嫌な役を率先して引き受ける覚悟」が出来ていたのでしょう。

「率先して嫌な役を引き受けよう」という気持ちを作るには次の三条件が欠かせません。

✓「キャプテン」というのは我欲を捨て、全体益のために働くという役割であるという強い覚悟(ノーブルゴールの追求)
✓ 逆境や困難に遭遇した時こそ、平然と乗り越えるだけの知識、スキル、そして胆力(感情のナビゲート)を蓄えていること
✓ そのために誰よりも努力を重ねていること(内発的なモチベーションで自分を動かす)

「覚悟を作る(ノーブルゴールの追求)」「感情のナビゲート能力を高いレベルに保つ」「内発的なモチベーションを生み出し続ける」ためにはEQスキルの鍛錬が欠かせません。

たぶん、歴代の名キャプテン達はこのような能力を指導者から上手に育んでもらったのではないかと推察しています。

弊社もますますビジネスの現場にたくさんの「キャプテン」を輩出するお手伝いをしなければ、と思った最終戦でした。

 


 

本シリーズはこちらから全話お読み頂けます。