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EQと組織パフォーマンス:「チーム」とは

by : 6SJ 組織活性化研究センター フェロー 山本 憲幸  | 

2017年10月1日 | 

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前回は、本メルマガにおける「チームの活性化」について定義づけをしました。

チームの活性化とは
「好ましくない状態で停止し、発揮できていないチームの機能・活動・能力を、構成員の心的エネルギーを引き出す介入を通じて、行動・活動を変化させ、相互作用を著しく高め、好ましい状態を創り出す過程や変化し続ける状態に保つこと」

活性化については、定義しましたが、そもそも『チーム』とは、何でしょうか。今回のメルマガでは、チームそのものについて考えていきたいと思います。

その前に、皆様の脳内で一度チームを定義してみて下さい。

定義できましたでしょうか。
では、皆様に質問です。

皆様の定義では、以下示すものが、チームかチームではないかをお答え下さい。

「SAMURAI BLUE(サッカー日本代表の愛称)」
「田子ノ浦部屋(横綱 稀勢の里関が所属している相撲部屋)」
「AKB48」
「ゴルフをしている4人(フォーサム)」
「買い物に来ている3人」
「山手線8両目の車両に乗っている人々」

どうでしょうか。

皆様の定義で、即座にチームか否か判別できましたでしょうか。どうやら人々が集まっただけではチームとは言えず、まだグループとチームも違いがありそうです。

 

チーム定義表

この定義において、皆様の職場はチームと言えますか?人が集まっただけではマスであり、2人以上の集まりで、ユニット意識(境界線を意識している)と相互作用がある(知り合っている)だけではグループ(集団)であり、[目的を共有しながら相互に役割を担い協働している集団]をチームと本メルマガでは定義します。

組織感情コンサルタントとして、多くの職場にコンサルティングで伺っています。グループにはなっているのですが、チームとなりきれていない、そんな職場を多く見かけます。

ある会社の職場活性化のお手伝いに伺った時に「皆さんの職場は何故存在していますか」との問いかけを行いました。

職場ミッション(使命)を付箋に各々書いてもらい、一斉に貼り出して、職場メンバーで共有しましたが、メンバーが記述していた内容がバラバラで、課長が絶句していたことがあります。
事前のインタビューでは、課長自身「良いチームでミッション(使命)も仕事の仕方も共有できていますよ」と言っていたため、かなり衝撃が大きかったようです。

その後、課長に離籍してもらいチーム運営について
『新たに取り組んで欲しいこと』
『続けて欲しいこと』
『止めて欲しいこと』
『その他言いたいこと』
を共有したのですが、

「ある仕事を私だけに押しつけられている」
「特定の人に負荷がかかっていたり、優遇されたりしている」
「他部署の仕事をどうして私達がやらなければならないのか」
「この書類作りの仕事は必要か」
「私が何故皆のお弁当を発注しなければならないのか」など、
メンバーから役割分担に対する不満が数多く出ていました。

意見を出し切った後に、課長にミーティングルームに戻ってもらい、一つ一つ時間をかけて返答し、即答できない事に関しては、返答期日を伝えてもらいました。

最後のセッションとして、相互の期待を付箋で書き出し、一覧表を作りました。

約3時間のミーティング後、メンバー全員で振り返りを行いました。

「長い間言えなかった事が言えて、良かった」
「良い職場になると思います」
「相互の役割が分かって良い機会となった」
「意外と期待されていて嬉しかった」
「皆同じようなことを考えていて私だけではなく、安心した」
「良い職場メンバーに恵まれた」
「もっと早くやれれば良かった」
といった声がメンバーから出ていました。

最後に課長から「チームになっていなかったです。皆と協力して良い職場にしていきましょう」と一本締めで終わりました。

チームとなるキッカケが持てたミーティングになりました。

皆様の職場では、目的と役割が納得して共有できていますでしょうか。気になる方は、一度メンバーに問いかけてはいかがでしょうか。
このようなミーティングはチームが形成し始めた時はやりやすいのですが、長い時間同じチームで活動していると、改まってやると気恥ずかしいし、やりにくいといった声もお聞きします。
チームの規範が出来上がった後に、こういった場を持つためのキッカケ作りの一つにもなる『チーム診断』を用いた介入方法について、次回のメルマガでは紹介していきたいと思います。

シックスセカンズジャパン 組織活性化研究センター フェロー
山本 憲幸