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EQデータ分析から見えてきた日本の課題(3)

by : 6SJ データ分析センターフェロー 三森 朋宏  | 

2018年5月7日 | 

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シックスセカンズジャパン データ分析センターフェローの三森です。

4月1日の回より、シックスセカンズ社のグローバルEQ検査「SEI」のデータ集計、分析した結果をもとに、3回に分けて「EQ(SEI)データ分析から見えてきた日本の課題」についてポイントを少し整理してお届けしております。

データ分析の結果において特に着目したのは次の3点です。

1. EQ総合値に見る日本人の全体傾向について
2. ブレイン・ブリーフ・プロファイル(BBP)データ分析に見る「人材の多様性」について
3. SEIによる年代、役職別のEQ総合スコアについて

前回は『ブレイン・ブリーフ・プロファイル(BBP)データ分析に見る「人材の多様性」について』をお届けしました。

今回は再び話をEQ総合スコアに戻して、3つ目の「SEIによる年代、役職別のEQ総合スコア」について考えていきたいと思います。(今回ご紹介するデータは、2015年10月〜2017年9月までにSEIを受検くださった日本人6,750件が対象です。)

 

SEIによる年代、役職別のEQ総合スコアについて

次のグラフは、年代別に代表的な役職を選び、総合EQスコアの平均を比較したグラフです。

シックスセカンズ社が169の国と地域のグローバルベースで行った調査では、EQ総合スコアは年齢と共に高くなる傾向があることがわかっています。さて、日本人の結果はどうでしょうか?

まず驚くことに、Student(学生)より、20~30代のEmployee(従業員)の自己評価が低く、20代から30代にかけてグラフが短くなる傾向にあります。さらに、40~50代のManagement(中間管理職)をみても、学生より低い値を示しています。これは何を意味しているのでしょうか?

では、もう少し詳しく見てみましょう。

年代別(20代、30代、40代、50代)の代表的な役職(従業員、中間管理職、上級管理職、創業者)についてEQ総合値のレベル別の人数を示しています。

レベルの区分は、未開発、開発過程、機能、熟練、エキスパートの5つのレベルに分かれています。Six Secondsのグローバルベースでの統計ではそれぞれのレベルにおいておよそ未開発レベル10%、開発過程レベル 20%、機能レベル40%、熟練レベル20%、エキスパートレベル10%の割合で分布していることがわかっています。

 

 

20代では男女の性差はなく、役職別ではEmployee(従業員)が正規分布に比べ未開発レベルの方へ大きく偏っていることが分かります。

 

30代では20代同様にEmployee(従業員)が未開発レベルの方へ大きく偏っています。一方で30代Management(中間管理職)は、やや正規分布に近い分布を示しています。

 

40代50代ともに男性のManagement(中間管理職)は、低い方に多く分布し、正規分布から大きく外れてやはり未開発レベルの割合が大きくなっています。一方で、女性のManagement(中間管理職)は、正規分布にやや近い分布を示しています。

 

今回は性別、役職のEQ総合スコアを比較して見てきましたが、皆さんはどのようなことを感じたでしょうか?(How do you feel?)

長らくビジネスの現場では、「感情は邪魔なもの、外に置いてくるもの」と言われてきました。しかし長年の科学者たちの調査研究によって、「感情が最適な思考や行動を生むために不可欠なもの」であることがわかってきました。また、政府が掲げる課題である「生産性の向上」や「ワークライフバランス」にもEQが寄与することも実証されてきています。適切な感情、思考、行動を整える能力であるEQ(エモーショナル・インテリジェンス)の必要性が叫ばれている中、企業や社会は今までの人材育成の方法のままで本当に良いのでしょうか?

40~50代の男性管理職の育成が多くの企業で課題とされていますが、私の視点からはEQがそのカギとなることが明らかに見えます。

共鳴型リーダー(EQに優れ、周囲を巻き込みながら総和以上の組織パフォーマンスを引き出すリーダー)のロールモデルが存在せず、またEQ を育んでいくことが困難である現在の環境では、若い世代や中間管理職の能力を活かしきれていないように思われます。

一方で40~50代の女性管理職は、正規分布に近いことから、女性活躍推進でいわれる女性管理職の活躍が期待できる可能性を示していると思われます。

3回に渡るSEIやBBPデータにみる日本人受検者の傾向から、ブレイン・スタイルについての多様性やEQを育むことのできない「組織」や「社会」の人材育成の仕組みがみえてきたように思います。特に日本人の自己評価の低い「自己認識力」を高めることの必要性が確認でき、自己認識力を高めるためにEQ能力の開発の必要性・重要性をお伝えしました。

EQがビジネスの成果を予測することは、既に明らかにされています。そして、世界ではGoogleをはじめとする成長企業が組織開発や人材育成にEQを取り入れています。

日本は、このままで良いのでしょうか?日本の未来は・・・

次回は、この大きな課題解決について事例を交えて考えてみたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

シックスセカンズジャパン データ分析センターフェロー
三森 朋宏
(編集:
シックスセカンズジャパン勝又・須澤