EQコミュニティマガジン

名監督に見るEQ育成術

Vol.013 2012年8月30日発行

◆創部1年足らずで甲子園出場

岡山県に創志学園高等学校という高校があります。
この高校の野球部は、創部1年で2011年の春の選抜高校野球に出場を果たし、
昨年の春、ニュースになった高校です。


昨年の春の大会出場はフロックであったのか確かめたく、
今年の夏の地区予選(第24回全国高等学校野球選手権岡山大会)を注目していました。

順当に勝ち上がりましたが、惜しくも決勝大会で強豪倉敷商業高等学校に敗れました。

創部当初の1年生にとっては、高校最後の大会でした。

同校の野球部監督の長澤宏行監督はとかく評判の監督らしく、
2005年の春のセンバツでも創部2年の神村学園(鹿児島)を率いて
準優勝している実績を持つ名監督です。

弊社のビジネスパートナーに野球に詳しい、
特にアマチュア野球に詳しい人がいます。

イーキュア株式会社という人材ビジネス会社代表の池口良明氏です。

◆高校野球はEQ育成・指導の差が試合運びに出る?

同社は、長野県松本市に本社をおき、長野県にEQの重要性を広めてきた会社です。
池口氏は、松本深志高校野球部から立教大学野球部に進み、
かの「ミスター」(長嶋読売巨人軍終身名誉監督)のサードポジションを
引き継いで活躍した人物です。

大学卒業後は、(株)三協精機製作所 野球部に所属し、
社会人野球でも活躍されました。その後、現役を退いた後も
国体の長野県野球チームの監督を引き受けたり、
NHK長野の高校野球の解説を務めるなど、根っからの野球人です。

その池口氏から高校野球とEQについての面白い解説を聴きました。

 「田辺さん、高校野球って面白いですよね。

  例えば、逆転劇って高校野球の場合、
  プロや大学野球に比べて多くありませんか。

  理由は簡単です。高校野球の場合、技術や体力面ではあまり差が無いので、
  選手のまだ未発達な気持ちの持ち方で試合運びが決まってしまうんですよ。

  だから、気持ちの使い方(EQ)が上手なチームが逆転することが多いのです。
  勝っているのに自分を忘れ浮足立つ、
  EQの使い方が下手なチームが、最後に涙を流すことになります。
  9回の逆転劇も高校野球の大きな魅力ですね。」

 「へえ、そうなんですか。」

 「そうなんです、だから高校野球の監督は、
  選手の技術向上を考えるだけではなく、
  気持ちを整える能力=EQをいかに鍛えるかも考えているんです。」

 「そうですか。ちなみに、高校野球には名物監督、
  名監督といわれる人がいらっしゃいますね。
  この監督が指導するととたんに弱小チームだった
  高校が甲子園に出てきた、ってケースをたくさん聞きますね。
  ということは、彼らはEQ育成のプロということになりますね。」

 「そのとおりです。監督たちはいつも気持ちの作り方、
  整え方について口すっぱくなるほど叩きこむのです。」

長澤宏行監督の特集をテレビで見たとき、生徒一人ひとりに野球日記を書かせ、
自分自身と見詰め合う指導をしていました。

たぶん野球日記を通じて生徒のEQ育成をしていたのではないでしょうか。

◆EQ実践モデルでEQ育成・指導を想像してみた

弊社のEQ実践モデルは、EQを日常で活用させるために
8つの行動を心がけてもらうようにしています。

1.日常において自身の感情に向き合う(感情リテラシー)

2.自分の思考パターンや行動パターンを意識する(自己パターンの認識)

3.自分がとろうとする行動がどのような影響をもたらすが
  事前に考えるようにする(結果を見すえた思考)

4.感情をむやみに押し殺すのではなく、感情のもたらす情報やエネルギーを
  大切にする気持ちをもつ(感情のナビゲート)

5.やりたい自分を見つけるようにする(内発的なモチベーション)

6.楽観的な思考を心がける(楽観性の発揮)

7.相手の心の風景を偏見や固定観念なしで見るようにする(共感力の活用)

8.自分の生き方にそった意思決定なのか常に問いかける(ノーブルゴールの追求)

さしずめ、長澤監督なら次のような指導をしているのではないでしょうか。

1.感情の読み書き能力 を高めさせる(感情リテラシー)
  感情がプレーに どのような影響を 与えるか、考えさせ 教える

  ■「今、どんな気持ちでプレーしたんだ!?」

2.自分のパターンに気づかせる(自己パターンの認識)
  ピンチになったとき、 エラーをしたとき 自分の心のクセを 気づかせる

  ■「ピンチになったときに出る自分の癖をしっているか!?」

3.結果を見据えた思考を促す(結果を見すえた思考)
  自分がやろうとしていることが 試合の流れや結果に
  どのような 影響を与えるか、常に考えさせている

  ■「自分がやろうとしていたことがチームや試合の流れに
    どんな影響を与えるか、考えたのか!?」

4.感情のもたらすメッセージやエネルギーを
  上手に活かすようにする(感情のナビゲート)
  泣きたいとき、腐りたいとき、 無理に抑えさせず、ひとしきり 泣かせ、
  毒づかせ、それから 考えさせる

  ■「まずは、泣きなさい、叫びなさい、うなりなさい、
    それから考えて見ましょう。」

5.内発的な動機を探す気持ち作り(内発的なモチベーション)
  何のために野球を始めたのか、 野球を通してどうなりたいのか、
  野球は楽しいものだ、 やれといわれているからやっているのか、
  俺が恐いから練習しているのか、 いろいろ考えさせる

  ■「今日までなぜ苦しい練習に耐えてこられたのか、思い出せ!」

6.楽観的な思考を促進する(楽観性の発揮)
  ピンチになったとき、 これでようやくいい試合になった、
  とさらりと言う ピンチのときこそ笑え、 野球は最後までわからない、
  だめなことに目を向けたら試合にならない、
  あきらめないで最後までやることを 言い聞かせ、体験させ、実現させる

  ■「逆転されたってことは逆転できるってことだ!」
  ■「さあ、これから本当の試合ができるぞ、実力を見せてやれ!」

7.自分の景色を優先するだけではなく、
  相手の景色も見えるようにする(共感力の活用)

  ■「デッドボールのとき、 お前も痛いが相手のピッチャーは もっと痛い」と
    教える、仲間から声をかけてもらえることの ありがたさを教える

8.自分らしい生き方を考えさせる(ノーブルゴールの追求)
  野球を通して、 自分らしく生きる、 自分らしさを活かす ことを学ばせる

名監督たちの教えは、組織開発やタレントマネジメントそのものです。

一度、名監督の皆様の教えを乞いたいと考えています。

(田辺 康広)

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