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1.8兆ドルの損失を防ぐ!?EQで人材流出に終止符を!

by : Joshua Freedman, Six Seconds Global  | 

2025年3月8日 | 

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EQでエンゲージメントを高め、離職を減らす4つのステップ

あなたが探している競争優位性は、目の前にありますか?

何十年もの間、企業は社員の低いエンゲージメントの理由を「合理的なシステム」や「インセンティブ」で解決しようとしてきました。でも、それだけでは十分ではありません。本当の問題は感情に関わることだからです。そしてその状況はどんどん悪化しています。世界保健機関(WHO)やアメリカの保健局などが警告していますが、今、人々のストレスが10年前よりもひどくなっていて、企業もその影響で価値を失っています。

ここではEQを活用して社員をよりサポートし、定着率や生産性を高め、持続可能な高いパフォーマンスを実現するための4つのステップを紹介します。

By Joshua Freedman, MCC

1.8兆ドルの問題と、目の前に隠れた解決策

今日のビジネス環境において、リーダーたちは常に価値を見つけようとしていますが、しばしばその最大の価値源を見落としています。それはEQとの関係をうまく把握できないからです。ほとんどのビジネスは結局そのヒューマンキャピタル(人材)が成功の要因ですが、その価値とEQとのつながりは計算するのが難しいことが多いです。多くのビジネスリーダーはEQが本当にお金に見合う価値があるのか、投資に対するリターン(ROI)がどうなるのかと悩みます。コスト削減が求められる今、EQの導入は費用がかかるように見えるかもしれませんが、そのROIは非常に高く実際には企業の損失を防ぐ方法となり得ます。そして私たちにはその方法を実現するためのデータと手法があります。

良いニュースは、EQは学ぶことができ、測定可能で、科学的に根拠があるということです。このアプローチはコスト削減と価値向上をもたらすことが証明されています。150カ国以上、さまざまな業界で実績があります。完全にやりきるのは簡単ではありませんが、導入しやすく、コストも低いため、すぐに取り組むことができます。

最近の報告によると、米国の企業は生産性の低下により1.8兆ドルを無駄にしていることがわかりました。その一方で、従業員のエンゲージメントは過去最低水準にあり、離職率が高いため、さらに5000億ドルが無駄になっています。研究によって、EQのスキルが離職率を減らし、エンゲージメントを高めることが明らかになっています。EQは1日で学ぶことだできるのか? 1日で行うワークショップで全ての問題が解決するのか?おそらく、そうではありません。しかし、以下のフレームワークを実践すれば、EQと従業員のエンゲージメントを高めることができます。これらの問題を解決するための4つのステップを共有する前に、まずはその経済的影響を視覚化したものを見てみましょう。

Source: The Business Case for Emotional Intelligence

この無限ループでは低いEQがどのようにコストを引き上げるかが見て取れます。アメリカの企業は従業員1人あたり平均2500ドルを福利厚生に費やしていますが、従業員が疲弊しているとそれらのコストはさらに上昇します。効果的でない人材管理は従業員のつながりを弱め、コミュニケーションや信頼を損ない、それがエラーや事故、医療費の増加、欠勤などを引き起こします。この循環は悪い企業文化を加速させ、パフォーマンスの低下をさらに進めてしまいます。

グラフィックを逆転させて、良い結果を見てみましょう。EQが企業文化に組み込まれたとき、人々はより良く協力し、エンゲージメントが向上し、それがさまざまな利益を生み出します。その中には顧客との関係改善も含まれます。顧客ロイヤルティが5%増加すれば、利益が25%増加するというデータもあります。

なぜ今、EQが企業にとってより重要なのか?

世界的にEQスコアは10年以上にわたり低下しています。アメリカでは従業員のエンゲージメントが21%にまで落ち込み、離職率が高い状態が続いています。従業員の補充にかかるコストは時給労働者で平均1500ドル、技術職で年収に相当します。ギャラップ社の調査によると、任意の離職による1兆ドルの損失の半分以上は防げることがわかっています。何十年も企業はこの問題を合理的なシステムやインセンティブで解決しようとしてきましたが、それでは十分ではありません。根本的な問題は感情に関わることだからです。そして状況は悪化しています。世界保健機関(WHO)世界経済フォーラム(WEF)米国公衆衛生局長官などから警告が発信されています。人々のストレスは10年前よりも深刻になっており、その影響で企業は価値を失っています。

では、なぜ企業は今、これまで以上にEQを必要としているのでしょうか?簡単に言うと、感情の複雑さが増す中で私たちは感情をうまく扱うスキルがさらに必要になっているからです。特に、多様な人がスムーズにやり取りしなければならない企業(例:多国籍企業やサービス業)や、感情的に負荷のかかるやり取りを求められる業界(例:医療や小売金融)では、そのニーズが一層強まります。

それでは、EQの実践をどうやって持続可能な成果に繋げる形で導入すれば良いのでしょうか?『EQのビジネスケース』 (The Business Case for Emotional Intelligence)という新しい本では、その価値を引き出すための4ステップのプロセスを紹介しています。無料のeBookには、何十年にもわたる研究結果とグラフィック、実際の事例が詳述されており、このビジネスのジレンマを解決する方法が説明されています。無料の電子書籍としてダウンロードできるので、興味があればぜひチェックしてみてください。

EQからビジネスの価値を得るためのステップ

EQをビジネスに活用して価値を得るためには、以下の4つのステップがあります。

1.リーダーが最初に行動する:方向を示し、足並みを揃える
リーダーがまず自分からEQを実践し、チーム全体が同じ方向に進むようにします。

2.キャパシティを広げる:支援者を育てる
EQを広めるためには、支援してくれる人たちを育て、力を合わせていくことが重要です。

3.EQを組み込む:システムをデザインする
会社のシステムやプロセスにEQを取り入れて、全体としてEQを活かせる仕組みを作ります。

4.文化を作る:毎日どこでも実践する
EQが企業文化に根付き、どこでも、毎日実践されるようにします。

1.リーダーが最初に行動する
これは「あるといいな」から「絶対に必要だ」に変える方法です。あなたの会社では、競争力を高めるにはEQが重要であることを幹部たちが理解しているのでしょうか?彼らは、自分のリーダーとしての行動が、どのように会社の文化を作り、その文化が従業員の仕事の進め方に影響を与え、最終的に市場での価値を生み出すことに繋がることを理解しているでしょうか?

このことが明確にリーダーの行動で示されるだけで、個々のリーダーシップレベルから大きな変化が始まります。しかし、この変化を持続可能な仕組みとして会社全体に広げていく必要があります。

2.キャパシティを広げる
あなたの会社には、EQを効果的に活用できる人がどれくらいいますか?誰が企業の文化に影響を与えるか理解していますか?その人たちは、会社の成長を促すために必要なトレーニングやサポートを受けていますか?

「ワークショップをやるだけでは不十分」ということが、過去の調査からわかっています。高い効果を得るためには、EQのスキルを日々の業務の中で深め、広げていく必要があります。このように、EQを組織にしっかり根付かせることが重要です。

3.EQを組み込む
あなたの会社の人事制度は、取引的(合理性のみを追及したり、インセンティブのみに頼ったもの)で人間味がなく、場合によっては有害なものになっていませんか?従業員があなたの会社にどのように参画し、最終的にどのように退職するか、その全過程を見てみましょう。採用、新入社員の受け入れ、育成、管理、異動、昇進、後継者の選定、退職の各段階です。これらの各段階でEQを活用し、育てていくこともできますし、それを妨げてしまうこともあります。

人事部門は、採用や育成、昇進などの制度を見直して、EQ的な要素を踏まえた方法を取り入れることが重要です。これにより、企業全体がEQを意識して業務を進め、パフォーマンスを最大化することができるのです。

4.文化を作る
文化とは「ここでどうやって物事を進めるか」、そして風土とは「それについてみんながどう感じているか」です。多くの会社が失敗している理由は、物(福利厚生など)にばかりに重点を置き、実際に働く人たちの気持ちや関係を無視しているからです。

戦略的に計画し、風土を良くして文化を強化していきます。良いUXデザイナーが素晴らしい顧客体験を作り出すように、社員が毎日どんな体験をしているかをデザインし、それがどのようにお客様に届けられるかも考えます。会議の進め方やプロジェクト、イベントなど、たくさんの小さなことから文化を強化していきます。文化は物ではなく、人々の関係によって作られることを忘れないでください。

すべてを同時に行う必要がある

上の図では、これらのステップを順番に並べていますが、実際にはEQを活かしている企業は、どのステップもある程度実行しています。これらのステップはお互いに助け合っているので、ひとつのステップだけ頑張っても、大きな結果は得られません。

いくつかの例を挙げると:

•望ましい企業文化はステップ1に基づく必要がある:戦略を効果的に遂行するためには、「戦略に合った文化」が必要です。例えば、迅速なイノベーションを目指す戦略を取るなら、規則を守ることに重点を置いた文化を作ってはいけません。そして、文化が戦略をサポートします。

•ステップ3は、文化や戦略と一致していなければ意味がない:いくら人事システムを作っても、社員がそれを評価して使わないと、ただの形式に過ぎません。

•変革をリードする人にはサポートが必要:その人が素晴らしい能力を成長させることができても、悪意のあるリーダーや問題があるシステムに裏切られたら、彼らの努力は最小限の効果しか出せません。

EQでビジネスの成果を高める

悪いニュースは、世界的にEQが低下していることです。これが、この記事の冒頭で述べた課題をさらに悪化させており、4つのステップを実行するのがより難しくなっています。しかし、逆に言えば、EQを優先しているリーダーは、もっと目立つようになっているとも言えます。

良いニュースは、エモーショナル・インテリジェンスは学ぶことができ、ちゃんと測ることができる、科学的に証明されたスキルだということです。実際、データからもわかるように、この方法は、世界中でコストを減らし、価値を高めています。完全にやりきるのは簡単ではありませんが、始めるのは早く、安くできます。

これはシックスセカンズのメソッドにより社内で学び、実践できます。さらに、進捗を測るツールや、ROI(投資対効果)を示すツールもあるので、非常にコストパフォーマンスが高いです。もし、これらを実行に移すためのサポートが必要なら、シックスセカンズには世界中にプロフェッショナルがいて、あなたが価値を得られるようお手伝いします。

警告のサインを無視しないで

もしあなたが製造ラインを運営しているとして、機械から異音が聞こえてきて制御パネルに「温度が高すぎる」と警告が出ていたらどうしますか?それを無視しますか?それとも「ラインの速度を上げないと!」と言って、その警告を切ってしまいますか?

今、世界中の職場で起こっているのはこれと似たようなことです。でも、問題なのは機械ではなく、人です。警告灯が赤く点滅しています。今こそ、行動を起こすべき時です。

原文:How Much of the $1.8T Are You Losing?
4 Steps to Increase Engagement and Reduce Turnover with Emotional Intelligence

 

Six Seconds Japan シックスセカンズジャパン EQ Six Seconds

米国シックスセカンズCEO ジョシュア・フリードマン
シックスセカンズの共同設立者であり、現CEO。ICF認定「マスターコーチ」であり、著書である「At the Heart of Leadership」は世界的ベストセラーとなっている。「思いやり」と「目的意識」の交わりによって発火する炎に情熱を注ぐ。
私がEQに情熱を注ぐ理由は…人が自分の感情の重要性に気づく瞬間があり…私たちには感情、思考、行動についての選択権があることを伝えたい…そして、自由、オーセンティシティ、目的の輝きを共に喜びたいから。

 

EQを知る、EQを実践する

Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。

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