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思いやりのある企業風土

by : Six Seconds  | 

2011年11月9日 | 

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シックスセカンズのチームは、非常に厳しいビジネス環境にあった
米国オーランド州のシェラトン・スタジオシティ社とともに
仕事をしたことがあります。

経営幹部の離職率が非常に高く、顧客満足度のスコアで苦しみ、
市場シェアは低下していました。
新任のゼネラル・マネジャーであるグラント・パネン氏は
私たちのもとにやってきました。

そして、業績改善のために一年間改善プロジェクトに
取り組むことになりました。

私たちは最初のインタビューではパネン氏に、
今抱えている課題について話してもらいました。
パネン氏はまず「地位に応じてより多くのボーナスを与えたい」と
語りました。

それを聞いて、彼が「組織の感情面の課題」を
はっきりと述べていると感じました。

私たちは、あえて感情という言葉を使わずに、
感情をテーマにした内容で話を進めました。

そして、まず現状の組織風土を評価することで
「地位に応じたボーナス」の要因を測定できるのではないか、
と提案しました。

風土は組織内にある様々な感情が交ざり合い、
職場全体のトーン(調子)を示します。
それは、組織に漂う感情が、組織の温度や湿度を測る感覚に近いため、
私たちは組織”風土”診断と名づけています。

組織風土診断の中でも、
オーガニゼーション・バイタルサイン(OVS)とういう
組織風土診断プログラムを活用し調査を実施しました。

そして、組織風土をつくりあげている、
職場に漂う感情がどの分野に好ましくない影響を
与えているかの特定を目指したのです。

「文化:culture」が
ふさわしい言動(職場で物事をどう進めればよいのか)を
作り出すルールを意味するなら、

「風土:climate」は
働きに来ることについて人々がどう感じているかを
表しています。

OVSは、オンラインによる調査で、
全従業員に自分の組織に対する認識や感情について
答えてもらうアンケート形式のプログラムです。

そのデータを解析することで、
組織風土を「リーダーシップ」、「ミッションとの整合性」、
「適用性」、「コラボレーション」、「アカウンタビリティー」、
「信頼感」という6つの次元に分類し、定量的に示します。

私たちは風土解析の結果を踏まえて、
リーダーシップ・チームとともに
改善プロジェクトの今後のプランを一緒に考えながらまとめました。

シックスセカンズは支援者のスタンスで関わり、
あくまでも内部努力によって必要なコミュニケーション、
モチベーションの改善を図るマスタープランを策定しました。

具体的に私たちが実施したことは、
EQ研修を実施して、従業員との対話を深め、
業績改善に向けて情緒的側面の意識を高めることと、
チームの感情コンピテンシーの強化を促進することでした。

経営幹部チームには合計20時間以上の研修を受けてもらい、
その内の一部の人には20時間以内の個別コーチングも実施しました。

前線で働くスタッフには2~8時間のEQ研修を受講してもらいました。

その結果、顧客満足度が+8.3%、市場シェア+23.4%と飛躍的な伸びを見せ、
離職率-19.6%と大幅な低下を達成することができました。

加えて、シェラトンホテル・グループはVIP顧客を、
自社が保有する五つ星のホテルではなく、
三つ星ホテルのこのシェラトン・スタジオシティに
優先して案内する送るようになりました。

理由は、他でもなく非常にすばらしい顧客サービスを体験できるためです。

私たちは37カ国の代表を迎えた第4回国際ネクサスEQ会議を、
このシェラトン・スタジオシティで開催しました。

会議に参加した代表者たちからは、
これまで会議で利用したどのホテルよりも
非常に好意的なコメントが寄せられました。

ある代表者が、現場のスタッフのサービスを象徴する話をしてくれました。
「ホテルのスタッフにチョコレートバーがどこで買えるかと尋ねました。
彼女は私の好みを聞いた後で、すぐに戻ってくると伝えると、
ホテルを出て、大通りを渡り、私のために一つ購入してきてくれたのですよ。
信じられますか。」と。

このような小さな経験が積み重なり、
同ホテルの顧客満足度は8.3%もの改善を達成しました。

プロジェクトの最後の二ヶ月間、シェラトン・スタジオシティは
世界中のリゾートホテルの顧客サービスに関してナンバーワンに輝きました。

同ホテルの宿泊料は一泊79ドルです。
差別化のためにプロセスと保有資産に投資することも戦略の選択肢です。
しかし、少なくともこのケースでは、
人材に対する非常に小さな投資で、大きな障壁を踏み越えたのです。