EQ articles

直感の大切さ

by : 6SJ代表 田辺 康広  | 

2013年5月23日 | 

, , ,

直感で、物事を判断するな! 痛い目に合うぞ!

こんな言葉を聞いたことがある、言ったことがある人は多いと思う。
これは「直感だけでものごとを判断するな」と言いたいのだろうが
「直感も判断材料にして、結論を出せ!」というのが正しいだろう。

惜しくも、すでにこの世を去った天才であり、
世界を変えたスティーブ・ジョブスは直感活用の達人だった。

今も、彼のスピーチやプレゼンテーションは現在も神扱いをされている、
その中でも、YouTubeで数千万回という再生回数を誇る、
スタンフォード大学の卒業講演の中で注目のフレーズがある。

「他人の思考に振り回されて、独断的な説の罠に陥ってはならない、
他人の意見の雑音に、自分の内なる声を掻き消されないようにしてください、
そして、最も重要なことは、

自分の心と直感に従う勇気を持つことです、

あなたの心と直感は既にあなたが真に何になりたいかを、すでに知っています、
それ以外のことは重要ではありません」

彼は、直感のパワーをフルに活用して、瀕死状態であったアップルの立て直しも、
世界を変えた数々の製品、サービスへも直感を活かしていただろう。

動画の中で、彼も説明しているが、難しい意思決定の際ほど、
直感と感情に問いかけ、意思決定や変革に活かしていた。

この直感というものは、彼だけなく、誰にでも備わっており、
日常的に感情として私たちの意識へ現れてくる。

およそ直感は、次のような感覚で意識できる。

「進めて良い」、「受けいれて良い」と感じるときは、
喜びや受容など、快適的な体感をもたらす。
体が暖かく感じ、ニヤリとしてしまう。

逆に、「止めておけ」、「断れ」と思う時、
目は細くなり、手に汗が出てきて、
不安や緊張、放心など不快な体感をもたらす。
実に気持ち悪く不快な感覚だ。

目や耳から情報が脳へ入ると、過去の経験、知識、現在の状況から、
感情を司る脳の部位「大脳基底核」が瞬時に反応する。
それは、とてつもないスピードで処理される。

それが、直感からの答えだ。

その後、思考を司る前頭連合野と呼ばれる部分で、思考が始まる。

『本当に良いのか、どうなのか』と、
思考と直感からの情報を吟味して誰もが結論を出す。

先頃、インテルのCEOを退任したポール・オッテリーニ氏が退任後のインタビューで
「必要なことをしないという決断を下した」と話があった。

それはアップルからの初代iPhone搭載の半導体製造の依頼を断ったというものだ。

現在のアップルの主力製品である、iPod touch、iPhone、iPadの
すべてに搭載されているメインの半導体だろう。

当時、違う決断をしていれば、インテルに莫大な売上をもたらしただけなく、
半導体の世界地図が、現在のものとはまったく異なっていたものになっていたことを
同氏も認めている。

しかし、私たちが注目したのは、
インタビューの最後に大変興味深いことを付け加えていたことだ。

「私の本能はアップルの申し出を受け入れろと私に告げていた」

結果的に、同氏の意思決定は誤っていたかもしれないが、
脳の大脳基底核は、「うまくいく、大丈夫だ」と先が読めていたようだ。

同じ脳の中でも、思考と感情は別の部位が担当しており、
時として、相反する答えを私たちは導き出す。
感情はYes、思考はNoと。当然だがこの逆もある。

感情は情報資源であり、自分自身の過去の経験、知識という
超膨大な情報から瞬時に答えを導き出してくれる。

この直感を無視し、分析的思考に偏った結論を出すということになれば、
自分自身の経験、知識の否定につながることになる。

世界的企業のトップであった同氏の言葉から
直感、感情からの情報を、思考時に活用し、
最良の意思決定を目指すことの大切を、あらためて感じさせる。

私たちは、同氏からのメッセージを教訓とすることが出来るのではないか。

直感を信じていたスティーブ・ジョブスのように、
同氏が直感で応えていれば世界はどうなっていただろう。

シックスセカンズジャパン株式会社
代表 田辺康広