EQと組織パフォーマンス:組織の「活性化」とは
by : 6SJ 組織活性化研究センター フェロー 山本 憲幸 |
2017年9月15日 |
Six Seconds Japan 組織活性化研究センターのフェローを務めております株式会社ビヘイビアチェンジパートナーズ 代表取締役 山本憲幸と申します。
私からは組織感情コンサルタントとして
『300社以上にわたる組織診断の分析、150社以上の組織診断結果の報告』
『同じ会社のメンバーだけでなく、全員が違う組織に属するメンバーを率いた』経験などを基に
様々な角度から『チームの活性化』について発信していきます。
皆様がチームを活性化していく上での一助となれば幸いです。
今回のテーマは「活性化」について考えていきます。
そもそもチームが活性化とはどのような状態を指しているのでしょうか。
皆様は、チームの活性化をどのように定義していますか。
『活性化しているチーム』と『活性化していないチーム』の違いは何だと思っていますか。
上述の通り、過去、組織診断を分析をしたのですが、その組織診断は業績推移や離職率など様々な指標との関係性分析も行っていました。また、毎年同じ時期に調査をする組織が数十社ありました。
組織調査の結果に一番影響を与える要因は、「業績」でした。
売上や利益が出ている組織は、業績が低迷している組織より相対的に調査結果が良好な数値を出す傾向がありました。
当然、業績指標は、外部環境から多大な影響を受けているのですが、同じ業界内での差異や経年変化を見ていると、様々な経営上の指標が相対的に良い組織と悪い組織では、調査結果に決定的な違いがあることに気づきました。
その違いとは「組織やチームの問題が変化していた」ことです。
調査結果の良くない組織やチームは毎年同じ問題を抱えており、解決できていないばかりか、問題解決行動すら起こしていませんでした。
インタビューしたり定性分析したりしていくと、業績が安定的に良い組織は、問題解決のために「社員が持つ心的エネルギーを組織運営に活かしている」ことがわかりました。
環境変化に対して効果的に対応できている組織やチームは、社員(特にミドルマネジャー層)が前向きなモチベーションを持って、組織運営に関わる度合いに顕著な差が出ていました。
同じ問題を常に抱えている組織やチームでは、調査結果すら社員にフィードバックされず、問題があるにも関わらず、問題がないような振る舞いをし続け「変えたい。変わって欲しい」という社員の心的エネルギーを抑制する行動をとり続けていました。
私自身の調査分析の経験から、良い組織やチームとは「組織やチームの諸問題に対して、構成員の心的エネルギーを効果的に引き出し、活用し、解決することで、問題が変化し続けている組織(チーム)」であると考えています。
「活性化」という言葉を辞書で引いてみますと「社会・組織などを活発にすること(大辞林)」と記載されています。
「活発」は「元気で勢いのよいさま。行動・活動などが生き生きとして盛んなさま(大辞泉)」と記載されています。
つまり、活性化とは「チームを元気で勢いが良く、行動・活動が生き生きとして盛んな状態にすること」と定義づけすることができます。
また、「活性化」は「物質の反応性を高めること(大辞林)」とも記載されています。具体的に以下3つが記されています。
・原子や分子などを光・熱などのエネルギーを与えて高いエネルギー状態にすること
・触媒が表面状態の変化や他の微量物質の転化により、その作用を著しく高めること
・酵素作用を持たない酵素前駆体が酵素作用を持つ酵素に変わること
活性化としてまとめてみると
「原子や分子などを光・熱などのエネルギーを与えたり、何かしらの触媒を介したりし、作用を著しく高め、高いエネルギー状態を創り出し、時に全く新しい状態に変化すること」と言えます。
生物学用語辞典から「活性化」を引用すると「一般に、あるものが本来の活動を停止している状態から、活動を開始させる過程。生体内で不活性状態にある酵素や遺伝子を、活性を持つ状態に変化させる過程や活性を保つ状態であることを示す」と記載されています。
上述の私の経験と辞書による引用を活用し、本メルマガにおけるチームの活性化を定義づけたいと思います。
チームの活性化とは「好ましくない状態で停止し、発揮できていないチームの機能・活動・能力を、構成員の心的エネルギー引き出す介入を通じて、行動・活動を変化させ、相互作用を著しく高め、好ましい状態を創り出す過程や変化し続ける状態に保つこと」と定義づけます。
次回は、「チーム」について検討していきます。
シックスセカンズジャパン 組織活性化研究センター フェロー
山本 憲幸