なぜマインドフルネス実践で、EQが高まるのか?
by : 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート|中村 悟 |
2025年4月10日 |
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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。
ダニエル・ゴールマンの新著『ゾーンに入る EQが導く最高のパフォーマンス』(日本経済新聞出版)でも紹介されているように、自己認識を高める方法としてマインドフルネスのエクササイズがあります。これまでにEQを学んだことがある方には、自己認識が高まることで自己管理ができるようになり、他者との関係にも良い影響があるという「EQモデル」はおなじみでしょう。
本コラムでは、「なぜマインドフルネス実践がEQを高めるのに有効なのか」という、EQ向上の基盤づくりについて、私個人の体験を交えながらご紹介いたします。
見えなかったものが見えるようになる体験
まず、私自身の大きな気づきのエピソードです。
2017年夏から秋にかけて、右目がかすんで何となくぼやけるという症状がありました。疲れ目や花粉症の目薬を試しても改善せず、会社近くの眼科に行くと、こう告げられました。
「白内障ですね。しかも、両目に症状がでています。早めに手術したほうがいいですよ」
予想もしなかった展開で、セカンドオピニオンでも同じ診断を受けることに。
「たしかに、白内障です。若年性は進行が早いんです。いつ手術にしますか?」
という、自分の気持ちが追いつかないままに、手術の段取りや眼内レンズの説明を受けて、
手術当日。
私が選択したのは、多焦点眼内レンズという近方と遠方の2点に焦点が合うもので、術後数時間が経つと、ぼやけて見えていた世界が一気にクリアに見えるようになったことを実感することができました。
焦点を合わせることで、ピンボケして見えなかったものがクリアに見えるようになる
これが、白内障の経験から気づいて学んだことです。
注意を向けて焦点をあわせるのがマインドフルネス
次に、マインドフルネスとは何か、マインドフルネス実践によってもたらされるものについてです。
マインドフルネス=瞑想とか、心を無にする、リラックスするなどの印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれないですね。私の著書である『1分で整う いつでもどこでもマインドフルネス』(日本実業出版社)では、マインドフルネスとはストレスあるなしに関わらず、注意を向けて心ここにある(気づいている)状態だと解説しています。
ここでのポイントは「注意を向ける」の部分です。
注意を向けるという言葉遣いは、焦点やピントを合わせるとも言い換えることができます。
ハーバード大学での調査によると、私たちは1日の47%はぼーっと過ごしているといい、1日の半分は注意散漫で焦点が合っていない状態です。焦点が合っていないにも関わらず、目の前に起こっている状況や自分の思考や感情に気づくことができるでしょうか。これは私の右目がぼやけて半分見えていない状況と重なります。
見えにくくなっている状況を認識し、注意を向ける(焦点を合わせる)ことで見えなかったことが見えるようになるのがマインドフルネス実践の意義となります。
マインドフルネス実践を重ねることで、3つのスキルを高める
続いて、マインドフルネス実践とEQの関係性について、3つのスキルに分解することで、さらに理解を深めることができるでしょう。
前述のとおり、マインドフルネスは注意を向けて気づくことであり、マインドフルネス実践を通じて、1つ目の注意を向けるスキル(注意力)が身につきます。
注意力が高まることで注意散漫状態に気づきやすく、いまここに注意を戻しやすくなります。それによって周囲の状況は事象に焦点を合わせやすくなり、まるで眼内レンズを入れたように、2つ目の観察するスキル(観察力)も高まっていきます。
注意力、観察力が高まることで得られるものは、3つ目の認識するスキル(認識力)です。
これまでピンボケでしか見えなかったものがクリアに見えるようになることで、気づけなかったことが気づけるようになる、気づきが高まっていくようになります。
まとめると、3つのスキルとは、
・注意力(意図した対象に注意を向ける能力)
・観察力(周囲の状況や事象を注意深く観察する能力)
・認識力(物事の変化や違いに気づく能力)
となり、図示するとこのようになります。
マインドフルネス実践を通じて、注意力、観察力、認識力という3つのスキルが次第に高まっていきます。その高まったスキルを自分自身に振り向けることによって、自己認識を高めることにつながっていくのです。この図のイメージがつくようでしたら、この記事のタイトルにある「なぜマインドフルネス実践で、EQが高まるのか?」のアンサーに辿り着いたことになります。
まとめ:EQを高めるために、今日からできること
EQ向上の基盤づくりには自己認識が必要であり、その自己認識を高めるにはマインドフルネス実践によって、注意力、観察力、認識力の3つのスキルを高めることが重要です。
もちろん、この3つのスキルは一朝一夕で身につくものではありません。1日合計10分、2~3ヶ月のマインドフルネスの実践を続けることで、少しずつ注意力が高まってきた、観察できるようになってきた、認識が変わってきたという変化を実感できるようになっていきます。
この記事によって、少しでもマインドフルネスへの興味関心がわきましたら、仕事や日常生活の中で、「意識的に注意を向けること」から試してみてください。例えば、目の前の相手の話を聴くとき、ご飯を食べるとき、歩くときなど、一つひとつていねいにシングルタスク化する。焦点をあわせて気づくことが増えてくると、ご自身の気持ちの変化にも気づくことが増えていくことでしょう。
さらに深く学びたい方には、私自身がはじめてマインドフルネスを学んだプログラムである、米Googleが開発したリーダーのためのEQ向上プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」を受講されることもおすすめです。自己認識、自己管理、モチベーション、共感、リーダーシップという6つのステップで構成されており、受講生の多くが学んだその日から活用できると評判が高いものとなります。
あなたのEQ向上にマインドフルネスが役立つことを願っています。
一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート
中村 悟
一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート
MiLIはリーダーの変容を通して個人の可能性を開花させ、世界と組織のより健全な変容をリードしていきます。米Google発のEQリーダーシップ向上プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」をはじめ、次世代リーダー向けにEQをベースにしたコーチングなどを展開しています。
EQを学びたい方へ
Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。