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講師の想いを届ける 第2弾:UEQ講師 葉山 みなみさん

by : 銀座コーチングスクール|葉山 みなみ  | 

2026年3月10日 | 

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講師の想いを届ける企画、今回の記事は基礎講座Unlocking EQ(UEQ)講師・葉山みなみさんが、自身の体験からEQとの関わりを振り返ったストーリーです。

EQを学び始めたきっかけ

コーチングセッションで、この言葉を耳にするたびに考えていました。

「わかっているけど、できないんです」

目標を言語化し、必要な問いを重ね、次の行動を明確にしても、変化が起きないときがあります。本人の意志が弱いわけでも、能力が足りないわけでもない。ただ、なぜか動けない。

私はクライアントのこの言葉に触れるたびに、「行動の前に、まだ扱われていない何かがある」と感じるようになりました。そして、その”何か”は感情ではないかと考えるようになったのです。その感情を理解したくて、EQ(感情知能)を学び始めました。

EQを学ぶ前の私


人の支援に関わるスキルを身につけたくて、2007年にキャリアコンサルティング、2009年に銀座コーチングスクールで認定資格を取得しました。
それまでの私は、「なぜこんなこともできないんだろう」と自分や他者を奮い立たせながら成果を出していくタイプでした。そのやり方から抜け出させてくれたのが、コーチングの「質問」です。
効果的な質問さえあれば、クライアントだけじゃなく、私も前向きになれる。自分自身を責めることなく次の一歩を踏み出せる。そう信じて、何冊も質問の本を買い込みました。
今振り返ると、コーチングの質問は、
「思考が変われば、感情が変わる」
という体験だったように思います。

感情の質問が苦手だった

質問に関心があった私も、コーチングで学んだ「感情への質問」には、どこか苦手意識を持っていました。
感情を聞いたところで、新しい発見はない。何より、思考こそが大事ではないか。考え方が変わらない限り、人は次のステップに進めないと思い込んでいました。
どうしたらクライアントの思考が変わるのか。そればかりを考えて、クライアントに向き合っていたように思います。そんな中で出会ったのが、「わかっているけど、できない」という言葉。このときに、前向きに進むためには思考だけでは、何か足りない、そう実感したように思います。

EQを学んで、一番ショックだったこと

EQを学んで一番ショックだったのは、何度演習を重ねても、クライアントの感情の言葉を聴き落としていたことでした。教えてもらった通り聴いているつもりなのに、私が拾っていたのは、クライアントの状況や課題、起きている出来事ばかり。 感情を意識していた”つもり”でも、実際に耳に入っていたのは事柄でした。
クライアントの内側で動いている感情そのものには、ほとんど触れられていなかった。あのとき、自分の「聴き方」の偏りを突きつけられました。

変わるために始めたこと

気づいたからといって、すぐに変われたわけではありません。演習を重ねても、やっぱり私はつい解決に近づきそうな言葉を拾ってしまう。 問題、対策、行動——意識はいつもそこに向いていました。
それはクライアントを助けたい、役に立ちたいという善意でもありました。同時に、私自身の感情リテラシーの低さも影響していたように思います。

そう感じたときに始めたのが「感情日記」でした。

その日感じた感情を、ただ言葉にする。恥ずかしながら、自分の感情に向き合うことから始めました。
私が選んだ感情日記には、いろんな感情の選択肢がありました。なんとなくざわっとした、胸がキュッとしたときに日記をつけるのですが、それが不安なのか、イライラなのか、どの感情なのかわからないことが多くて。日記をつけ始めた頃は「私の感情は、どれ?」という感じで、ただただ感情を選んでいくだけでした。なぜその感情を感じたのか書く欄もあったのですが、なかなか言語化できませんでした。

それでも続けていくうちに、自分の感情を可視化したこと、習慣化したことで、自分のパターンがわかるようになってきました。そうして感情の言葉を意識するにつれて、クライアントの語りの中にも、これまで聴こえていなかった感情が耳に入るようになりました。

問題と解決だけで構成されていた世界に、感情の層が重なっていく。


それは、私にとってクライアント自身が何を語ろうとしているのか、クライアント中心の「聴き方」に変わっていく体験でした。

そして、クライアントのセッションを重ねるなかで、ある変化が起きました。クライアントの話を聴いていると、ネガティブな感情には何か大事にしているものがあるように聞こえてくる。もしかして、ネガティブな感情は価値観へのサインではないか。そう気づいたのは、自分自身の感情日記からではなく、クライアントを観察する中でした。

私自身、自分の感情を味わっているのか、と問われると正直わかりません。味わえないけれど、理解するために「認知的」に感情を理解しようとしているのだと思います。それでも、感情日記をつけ、感情の選択肢にふれ、自分のパターンを認識し、クライアントのセッションの中でクライアントの感情の言葉が耳に残るようになる。このプロセスが、私の「聴き方」を変えていったのです。

EQ×コーチングという視点

感情が聴けたからといって、すべてがうまくいくわけではありません。私の中には、相手のネガティブな感情に対して「前向きな方向」に導いていきたいという無意識なポジティブ志向を持ち合わせていました。それは、ネガティブじゃないほうがいい。ポジティブに捉えたほうがいいという、感情を良し悪しで判断する考え方です。EQの学びを進める中で、その捉え方を変えました。クライアントが大事にしている「価値観への入口」として扱うことにしたのです。

あくまでも、感情を”問題”として扱うのではなく、”大切なものにつながるサイン”として受け取る関わり方です。クライアントの悩みを、ただ整理するのではなく、その感情が何を大切にしているから生まれたものなのかに関心を向けています。

怒りや不安、悲しみや焦りは、厄介な反応ではありません。そこには必ず、大切にしている価値観があります。だからこそ、今は、こんな問いを持っています。

「あなたは、何を大事にしているから、その感情を感じたのだろう?」

感情が言葉になると、価値観が見えてくる。価値観が見えると、行動は無理なく選べるようになります。これはクライアントだけではなく、自分自身にも活用することができます。

「わかっているのにできない」という状態は、意志の弱さではなく、感情がまだ言葉になっていないだけなのかもしれません。

私にとってEQとコーチングの関係は、ポジティブな感情を生み出す技術だけではないと思っています。感情を丁寧に聴き、その意味を受け取り、人生の舵を自分自身で取れるようにするために必要不可欠なものだと思っています。

銀座コーチングスクール
葉山 みなみ

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