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AI時代に、なぜ「EQ」があらためて重要なのか  ~世界経済フォーラムが示す人間中心スキル ~

by : 6SJ  | 

2026年2月16日 | 

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変化の激しい時代、AIやテクノロジーの進化が、私たちの働き方や社会のあり方を更に大きく変えつつあります。その中で、「これから人にはどんな力が求められるのか」という問いが、世界中であらためて投げかけられています。こうした問いに対して、今、世界経済フォーラム(WEF)が示しているのは、「AIが進む時代だからこそ、人にしか発揮できない力が、これまで以上に重要になる」という明確なメッセージです。

世界経済フォーラムが示した、ひとつのメッセージ

2025年、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)は「New Economy Skills: Unlocking the Human Advantage」というレポートを発表しました。このレポートが伝えているメッセージは、とてもシンプルです。

『これからの時代の競争優位は、テクノロジーそのものではなく「人間らしさ」にある』

AIの発達は、ここ数年の間に私たちの暮らしや仕事を大きく変えました。ではこれからさらにAIが発達する時代において人にしか発揮できない力とはどのような力なのでしょうか?

世界経済フォーラムのレポートの中で、最も興味深い図がP6の「Human-centric skills defined」です。この図は、「これからの時代、人は人としてどう力を発揮するのか」その構造を一枚で示しています。

引用:WEF_New_Economy_Skills_Unlocking_the_Human_Advantage_2025.pdf, P6

WEFが「Human-centric skills(人間中心スキル)」として定義しているのは以下の四分野です。

① 感情知能(EQ)(Emotional intelligence)

・動機づけと自己認識(Motivation and self-awareness)
・レジリエンス/回復力(Resilience)
・柔軟性と俊敏性(Flexibility and agility)

② 協働とコミュニケーション(Collaboration and communication)

・共感と積極的傾聴(Empathy and active listening)
・リーダーシップと社会的影響力(Leadership and social influence)
・話す力・書く力・言語運用能力(Speaking, writing and languages)

③ 学習と成長(Learning and growth)

・好奇心と生涯学習(Curiosity and lifelong learning)
・指導・メンタリング(Teaching and mentoring)
・フィードバックを受け入れる力(Coachability)
・信頼性(Dependability)
・細部への注意力(Attention to detail)

④ 創造性と問題解決力(Creativity and problem solving)

・創造的思考(Creative thinking)
・分析的思考(Analytical thinking)
・システム思考(Systems thinking)
・数学的・統計的思考(Mathematics and statistical thinking)

まず注目したいのは、Emotional Intelligence(EQ/EI)が独立したスキルではなく“中心的な基盤”として描かれている点です。

WEFが定義する「 ①感情知能(EQ)(Emotional intelligence)」の部分はもちろんのこと、多くの研究が示すように、創造性、学習、協働、リーダーシップなどその他の「人間中心スキル」のどの領域にも、必ず感情が関わっています。

不安があるから立ち止まって考え直す。
共感があるから協力できる。
意味を感じたり、好奇心が湧くから学び続けられる。

この図は、「感情を扱えないままでは、他のスキルも機能しない」というメッセージを、静かに伝えています。シックスセカンズが大切にしてきたEQは、まさに「人間中心スキル」の礎となる力です。

1990年にEQ理論が出るずっと前から、これらのスキルを「セルフサイエンス」と名付け、1960年代から主に教育現場で育む支援をしてきました。そして今日、世界最大級のEQグローバルネットワークとして世界160以上の国と地域でEQを育むための活動を行っています。

※「セルフサイエンス」とは?≫

EQとは、感情をコントロールすることではなく、感情を手がかりに、より良い選択をする力

この図を読むときは、ぜひ「どのスキルが足りないか」ではなく、「この組織・この社会で、あるいは家庭や学校において、人が備えている感情のメッセージやエネルギーを上手く活かせているか」という問いを立ててみてください。そこに、これからの人材育成と組織づくり、そして一人一人の生き方のヒントがあります。

「人間らしさ」とは、特別な才能ではない

WEFは、これからの時代に価値を持つ力を「人間中心スキル」と呼んでいます。
それは、決して特別な才能ではありません。私たちが日常の中で使っている、こんな力です。

たとえば、自分が今どんな感情を抱いているのかに気づき、その感情に振り回されずにその場に適した行動を選ぶ力。あるいは、過去の経験や自分の思考パターンを振り返り、「なぜ自分は、いつも同じところでつまずくのか」を理解する力。(シックスセカンズではこれらのスキルを「感情リテラシー」や「自己パターンの認識」と呼びます)

これらは、感情を理解し、活かす力(=EQ)そのものです。

EQは「自分を知ること」から始まる

EQというと、「人にやさしくする力」や「共感力」だけを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、EQの土台にあるのは、自分自身を理解する力です。

・今、何に反応し、どんな感情が湧いているのか
・どんな価値観を大切にしているのか
・どんなときに力を発揮し、どんなときに空回りするのか

こうした自己理解があるからこそ、感情を上手にナビゲートし、目的に応じたより良い選択ができるようになります。

変化の時代に必要なのは「感情を使った意思決定」

変化が激しく、先が読めない時代では、日々の変化に感情も揺れ動くことが多くなります。
感情に流されて行動してしまったり、反対に感情に蓋をしてしまうと、気づかないうちに思わぬ方向に向かってしまうかもしれません。それが今、職場や教育現場では、ハラスメントやいじめ、バーンアウト(燃え尽き症候群)や無気力、離職や休職といった形で表れてきています。

不安や迷いを感じたとき、その感情を無視するのではなく、「この感情は何を教えてくれているのだろう?」と、いったん立ち止まることが重要です。そうした姿勢が、衝動的な行動や感情を置き去りにした行動ではなく、意味のある選択へとつながっていきます。

折れない人・組織を支えるもの

WEFのレポートでは、レジリエンス(回復力)の重要性も強調されています。
失敗や想定外の出来事は、これからも避けられません。そのときに問われるのは、「落ち込まないこと」ではなく、どう立て直し、次に向かうかです。

外的な要因に左右されず、自らの内に湧き出る力(内発的モチベーション)を大切にし、「なぜ自分はこれをやっているのか」を見失わず、自らエネルギーを生み出せる力を身に着けることが重要です。

そしてできない理由やリスクばかりに焦点を当て尻込みするのではなく、状況を捉えなおし、可能性に目を向け、新しい解決策を模索し、行動を起こす(楽観性を発揮する)ことです。

そこに、しなやかな強さが生まれます。

人とつながる力が、成果を生む

どんな仕事も、最終的には人と人との関係の中で進みます。どんな仕事も、最終的には人と人との関係の中で進みます。

相手の感情を感じ取り、立場や背景を想像し、対話を通じて理解を深めていくこと(共感力の活用)。
共感や思いやりは、 単なる「やさしさ」ではありません。協働し、成果を生み出すための実践的な力です。そして変化の激しい状況においても、自分らしさを探究しつづけること(ノーブルゴールの追求)が、自分の人生を自分で選択していくことにつながります。

すべての人々が日常の中で感情を知的に活用する力=EQを意識し発揮できるように、シックスセカンズは、科学的に実証された「EQ実践モデル」を提示しています。

人間らしさは、これからの「強み」になる

AIはこれからも進化し続けるでしょう。しかしその中で、人間に求められる役割は、ますますはっきりしてきています。

それは、自分を知り、感情を活かし、他者とつながりながら、意味のある未来を選び取ること。

シックスセカンズが大切にしてきたEQは、 まさにそのための力です。これからの時代、EQは「ビジネススキルの一つ」ではなく、人としての強みを発揮するために育て、使い続ける力になっていくのかもしれません。

参考・引用元リンク
New Economy Skills: Unlocking the Human Advantage 2025(公式ページ)
レポート PDF(公式)

シックスセカンズジャパンでは、感情を理解し、活かす力(EQ)を育むための機会をいくつか用意しています。
 

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Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。