講師の想いを届ける 第5弾:UEQ講師 森本繁生さん
by : 株式会社こきょう|森本 繁生 |
2026年5月14日 |
EQ, EQを実践する, EQコラム, UEQ, コーチング, ノーブルゴールの追求, リーダーシップ, 人生, 内発的なモチベーション, 思考・感情・行動(TFA), 感情リテラシー, 自己パターンの認識
講師の想いを届ける企画、第5弾の記事は基礎講座Unlocking EQ(UEQ)講師・森本繁生さんが、自身の体験からEQとの関わりを振り返ったストーリーです。

人生で一番泣いた日々から気づいた大切なこと
私が人生で一番泣いたのは、2007年のことでした。当時、夫婦で半移住していたニュージーランドでの生活を、ある事情から引き払うことになりました。
この時、生活環境に大きな変化が生じ、心身共にかなり厳しい状況に追い込まれました。
それから3か月くらいの間、私はとにかく泣き続けていました。
普段あまり泣くことのない私が、あれほどまでに涙を止められないという経験は初めてでした。今でも妻に「あの時のあなたは泣いて泣いて…」と言われるほどです。
そんなに泣き続けていたのに、当時の私には泣いている理由がはっきりと分かりませんでした。
ただ金銭的に厳しいだけならば、仕事もあったので頑張って稼げば良い。それほど涙が止まらなくなるような出来事でもない。
いろんな方の助けを借りて、少しずつ落ち着きを取り戻してきた自分がたどり着いた理由は「妻の夢が失われた」ということでした。
妻は結婚当初から、お気に入りの家を持つことを大きな望みとして語っていました。出張の多い私とは対照的に常に家を守る妻にとって、居心地のよい家は何よりの願いだったのです。

日本でその家の計画を進め、契約も済ませ、いよいよ建てていこうという時でした。けれどもニュージーランドの事情によって、その計画は頓挫してしまいました。
出張先のホテルから長い時間電話をして「今回の家の計画は無理だ、取りやめにしよう」という話をした時、お互い泣きました。そして翌朝「もう家の完成図の絵は壁から外したから、頑張っていこう」と妻に言われた時。そこから数時間、目の前がほとんど見えないくらい涙が溢れていました。
大切な人の望みが壊されてしまう――これが自分にとって、何より悲しいことなのだ。
悲しみという感情から知ることができた、自分が最も大切にしているものでした。
感情から導き出した、自分の存在意義
この出来事以来、仕事の中でも私が悲しんだり怒りを覚えたりした時に、少しずつ感情を意識できるようになっていたと思います。
そして私が悲しみや怒りを感じるのは、家をあきらめた時と同じように、ご縁あった方が大切にしているものが壊されようとしている時、あるいは壊されてしまった時なのだ、とわかりました。
しかしなぜ他者の大切にしているもので自分の感情が動くのか? それが自分とどう繋がっているのか?
そう考えると、私が大切にしている自分の役割が、はっきり見えてきました。
相手の夢が壊され、自分の役割も失われる。だからこそ感情が動くのだとようやく腑に落ちました。
それから15年ほど経って、私はEQと出会いました。
私の仕事は、もともと論理的思考を軸にしたコンサルティング、組織づくりやマネジメントのご支援です。けれども、論理だけでは人も組織も動かないことは、薄々感じていました。
論理だけで動かない時は、学生時代に専攻していた心理学を自分なりに応用しながら対応していたのですが、それは自分だけの経験に基づく属人的な方法で、応用が効かない。
もう少し体系化したい、根拠のあるものにしたい、チームでと共有できる型にしたいという思いがずっとありました。
なかなかそれが叶わずにいたなかで、EQと出会い、ひとつの大きな考え方に出会ったのです。
感情はメッセージである――視界が開けた瞬間
それは、感情とはメッセージであるという捉え方でした。
「悲しい」という感情からは、「失われている大切なものは何ですか」というメッセージが発せられています。「怒り」からは、「壊されようとしている大切なものはありませんか」というメッセージが発せられています。
これは私にとって、本当に大きな転換でした。
メッセージや問いかけであれば、言語化することができます。そして問いの答えから、得意な論理的思考へとつないでいくことができるのです。
心と身体から起こっている感情が、思考につながった瞬間でした。
人生で一番泣いたあの経験についても、理解がぐっと深まりました。あの時、特大の悲しみという感情は、大切なものに気づけ! 気づけ! とメッセージを発してくれていたのだと。
そして感情というものを丁寧に拾っていくことで、自分が大切にしているものの解像度をさらに上げられるのではないかと考えるようになりました。

AI時代、人間の仕事は何か
AIの時代になり、私は「人間の仕事は何か」という問いをよく自分に投げかけています。
その答えのひとつは「自分自身の価値観を言語化し、人生に意味づけすること」と考えています。
価値観は、その人の経験、環境、文脈、歴史などから形成され、非言語の要素もたくさんあります。そこにアクセスするための大きな鍵が感情なのです。
私のニュージーランドでの経験のように、感情から大切な価値観を導き出すことができれば、それが自分の柱になります。
柱があれば、どんな困難の中でも後悔しない行動選択ができますし、自分の選択してきたことの意味を見出し、生き生きと生きられるようになります。
意味を見出せる人生はとても豊かですし、意味を見出せない人生は空虚です。
だからこそ、多くの方に感情の力を使って自分の大切にするものを掴んでいただきたい。そう願っています。
怒りを感じない私が、イライラに気づき始めた

EQを学び始めて三年以上経った頃、もうひとつ大きな変化がありました。
自分の奥に隠れている小さな感情に、気づけるようになってきたのです。
私はもともと、怒りという感情をあまり感じない人間でした。周囲からも「怒ることあるんですか」と聞かれるほどです。それは自分の特性だと思っていました。
ところが感情リテラシーが上がってくると、怒りとまではいかないけれど「モヤモヤ」「イライラ」している自分に気づくようになりました。
たとえば、最近は飲食店の自動化が進み、回転寿司屋さんでは最初から最後まで人と一切会わずに食事を済ませられます。
番号札を取り、タッチパネルで注文し、無人レジで会計して帰ってくる。食事として満たされてはいるのに、何かイライラするものがある。
その正体を探っていくと、「人と人とのつながりが、飲食という場から取り去られようとしている」ことに自分が抵抗していたのだと気づきました。
食事はお腹を満たすだけの作業ではなく、人と人とが対話する絶好の幸せな機会のはずなのに、それが失われていることへのモヤモヤだったのです。
そういえば、私が人と話せるビアバルによく通います。それもまさに飲食にその豊かなつながりを求めているからでした。
怒りをむしろ増幅させ、エネルギーに変える
ここから、もう一段深い気づきが訪れました。
私が怒りを感じていなかったというのは、怒りを持たない性質だったということではない。
怒りの源にある「自分の大切なもの」を、しっかり見ようとしていなかったのではないか。
日々の忙しさを言い訳に、自分が本当に大切にしているものは何かという問いに、向き合っていなかったのかもしれません。
けれども大切なものを意識できるようになると、それがないがしろにされている時に、怒りはむしろ増幅していくでしょう。
怒りが増幅するのは、悪いことなのか?
今の私にはEQという味方がついています。EQを通じてそのエネルギーを前に向けることができれば、ともすれば暴れ馬のように捉えられがちな「怒り」の大きなエネルギーを行動に変え、パフォーマンスを上げる力にできるのではないか。そう考えるようになりました。
世にいうアンガーマネジメントは「怒りをコントロールする」イメージが強いと思いますが、私の場合はむしろ、感じていなかった怒りを増幅させることでエネルギーに変えていく、という向き合い方になっていくと思います。
もちろん、怒りだけでやっていくと窮屈ですし、疲れますし、周囲にもネガティブさが伝わってしまいます。
だからこそ、EQで身につけた感情を感じ取る力で、楽しい・期待している・驚くといった他の感情の解像度も上げ、すべてをバランスよくエネルギーに変えていく。それができれば、AI時代にこそ、もっと人間らしく生きられるのではないかと感じています。
これからEQを学ぶ方へ
これからEQを学ぶ皆さんには、ぜひ自分の感情に気づき、感情のメッセージを受け取る力を身につけ、自分が大切にしているものに確かめてほしいと心から思います。
そうなれば、どんな困難があっても乗り越えようとする力が身についてくることでしょう。
何が自分にとって大切か? それがわかっていれば、どんな結果になろうが後悔しない選択ができることでしょう。
これからの時代に、人間らしく生き生きと生きる。そんな人生をご縁あった皆さんと共に歩んでいきたいと願っています。
さあ、共にEQを学びませんか?
株式会社こきょう 森本繁生
EQを学びたい方へ
Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。
各種イベントを探す
基礎講座に参加する
チェンジエージェントを探す
EQ検査の詳細を見る

