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なぜ最近、すべてが少しずつしんどいのか

by : Joshua Freedman, Six Seconds Global  | 

2026年6月16日 | 

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世界的に楽観性が低下し、人々の心の余裕が失われつつある今、ちょっとした会話でさえ重く感じられるようになっています。EQが急速に低下する中で、この「感情のリセッション(感情的な景気後退)」は、仕事や日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼしています 。

しかしこれは永遠に続くものではありません。私たちがどのように向き合い、行動するかによって、これからの人間関係や組織、コミュニティのあり方は大きく変わります。

本記事では、最新の調査データをもとに、その実態と影響、そしてこの状況を乗り越えるために必要なEQ(感情知能)の活用について解説します。

By Joshua Freedman, MCC

感情のリセッションとは、EQが持続的に低下している状態を指します。経済における景気後退が生産活動を縮小させるように、人の感情を扱う力の低下もまた、仕事や生活の質を大きく変えています。その影響は、2008年の金融危機に匹敵するほどとも言われています。
最新の「State of the Heart」の調査によると、2019年以降、世界のEQは5.79%低下しています。特に、楽観性は8.04%、感情をナビゲートする力は5.91%と大きく落ち込んでいます。この感情のリセッションは、数兆ドル規模の経済損失と、数え切れないほどの「気持ちが沈む一日 」を生み出しているのです。

EQの低下が生み出す負の連鎖

人々のEQが低下すると、日常のやり取りは想像以上に複雑になります。

・職場では、同僚が以前よりも不安定で回復力が低くなっています。些細なフィードバックでも防御的な反応を引き起こし、ちょっとした変化でさえ脅威に感じられます。失敗から立ち直るまでの時間も長くなっています。

・友人関係においても、以前のような柔軟さが失われています。かつては自然に決まっていた予定も、今では慎重な調整が必要です。これは関係性が薄くなったからではなく、多くの人が心身の余裕を失っているためです。その結果、予定をキャンセルすることが増え、気軽に誘い合う機会も減っています。誰もが見えない負荷を抱えながら、限界に近い状態で日々を過ごしているのです。

・チームは前向きな未来を描きにくくなります。リスクを必要以上に慎重に見積もるようになり、意思決定も停滞しがちです。その結果、イノベーションが生まれにくくなり、人々の思考は「新しい可能性を探る」よりも「問題を避ける」方向に偏っていきます。

すべての関係性に生じる「見えない負担」

感情のリセッションは、人と人との関係性にも「見えない負担」を生み出しています。今、あらゆるやり取りに以前より多くの感情的エネルギーが必要になっています。

・マネージャーは戦略に集中するよりも、メンバーの感情的な反応への対応に多くの時間を割いています。

・友人同士でも、自然に続いていた関係を維持するだけで、以前より多くのエネルギーが必要になっています。

・親は、子どもとの日常的な関わりにも、以前より疲れを感じやすくなっています。

・チームは、変化に適応するまでにより多くの時間を要するようになっています。

・教師や公務員など、人を支援する立場の人たちは、相手の疲弊が深まる中で、より大きな感情的負担を背負っています。

さらに、研究によるとZ世代は特に大きな影響を受けており、感情をナビゲートする力の低下は、他世代の約3倍のスピードで進んでいます。その結果、不確実性に向き合う力やモチベーションを保つ力に課題を抱えたまま、社会に出てくる若者が増えることも懸念されています。

感情のリセッション時代に求められるEQの実践

このような環境では、これまでのやり方は通用しません。感情のリセッションは私たちの余力を少しずつ奪うからこそ、EQを日々の行動の中で実践することが不可欠です。
ここでは、すぐに取り組める5つの戦略を紹介します。

1. 反応ではなく「対応」を選ぶ
感情の揺れが大きい環境では、最初の反応が過剰になりがちです。だからこそ、意識的に“間”をつくることが大切です。

・攻撃的に感じるメールには、すぐに返信せず10分待つ
・会議では、自分や相手の感情が高ぶっていることに気づく
・意思決定の前に、気持ちを落ち着ける時間を設ける

2. 信頼を高めるために「本音」で関わる
余裕がないと、人は早合点しやすくなります。特に、不誠実さやごまかしは強い不信感につながります。

・常に前向きに見せるのではなく、困難も共有する
・分からないことは正直に認める
・不確実な状況ほど、意思決定のプロセスを透明にする

3. 人への配慮と1対1のつながりを重視する
人が疲れているとき、形式的なコミュニケーションだけでは十分に機能しません。一人ひとりとの関係性が、これまで以上に重要になります。

・一斉連絡だけで済ませず、個別に声をかける
・相手のストレス要因や反応の傾向を理解する
・単なる業務連絡ではなく、人としてのつながりをつくる

4. 「情報」だけでなく「一体感」を生むために伝える
人は不安なときほど、情報だけでなくつながりや安心感を必要とします。

・何をするかだけでなく、「なぜするのか」を共有する
・問題があることを認め、現実的に向き合う
・経験を共有できる場をつくり、孤立を防ぐ

5. 境界線を保ち、自分のエネルギーを守る
感情的な負荷が高い状況では、他人のストレスが簡単に伝染します。自分の状態を守ることが重要です。そのために、次の3つのステップを意識してみてください。

・気づく:まずは、自分の境界線が揺らぎ始めているサインに気づきましょう。そうした状態は、疲れているときや孤立しているとき、あるいは大きなプレッシャーを感じているときによく起こります。それらは、自分自身をいつも以上に大切にケアする必要があるというサインです。

・立ち止まる:「今すぐ対応しなければならない」という偽の緊急性に駆り立てられ、反射的な行動を取りそうになったら、一度立ち止まりましょう。アドレナリンが「急げ」と促していても、あえて速度を落としてください。深呼吸をし、状況を振り返り、コーチや信頼できる仲間、友人に相談することも有効です。

・導く:「今、この瞬間、自分はどのようにありたいだろうか」と問いかけ、目的に立ち返りましょう。この問いは、自分自身の「ノーブルゴール(大切にしたい目的やあり方)」とのつながりを取り戻し、心を落ち着かせ、周囲の雑音に振り回されないための支えになります。

境界線とは、相手を遠ざける壁ではなく、自分と相手を大切にするための「明確さ」です。それを保つことで、エネルギーを守り、より健全でしなやかな関係性を築くことができます。

感情のリセッション時代を生き抜くために

感情のリセッションは、今後数年にわたって続く可能性があります。
だからこそ、今のうちに人との関わり方を見直した組織や家庭、コミュニティは、大きな強みを持つことになります。
EQスキルは、学ぶことができます。ただし、身につけるためには意識的な実践が欠かせません。感情を扱う力、楽観性、共感力を高めていける人材は、今後ますます価値を持つでしょう。
そして最も重要なのは、低下した感情的余力を前提にしながらも、それを回復させる環境をつくることです。そうした環境は、より強く、回復力の高い関係性や組織を育てていきます。
感情のリセッションは、確かに現実です。しかし、それは永続するものではありません。今、私たちがどのように関わるか。それが、この時代の先にどんな関係性や組織を築けるかを決めます。

原文:The Emotional Recession: Trillions of Dollars, Trillions of Heavy Days

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Six Seconds Japan シックスセカンズジャパン EQ Six Seconds

米国シックスセカンズCEO ジョシュア・フリードマン
シックスセカンズの共同設立者であり、現CEO。ICF認定「マスターコーチ」であり、著書である「At the Heart of Leadership」は世界的ベストセラーとなっている。「思いやり」と「目的意識」の交わりによって発火する炎に情熱を注ぐ。
私がEQに情熱を注ぐ理由は…人が自分の感情の重要性に気づく瞬間があり…私たちには感情、思考、行動についての選択権があることを伝えたい…そして、自由、オーセンティシティ、目的の輝きを共に喜びたいから。

 

EQを知る、EQを実践する

Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。

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