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その感情、本当にひとつですか?「感情の星座」が教えてくれること

by : Joshua Freedman, Six Seconds Global  | 

2026年8月13日 | 

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悲しみと喜びを、同時に感じたことはありますか?

父が亡くなったとき、私は、ひとつの感情では言い表せないような感覚を抱きました。兄と一緒に階段に座っていたその瞬間は、深い痛みを伴いながらも、どこか美しいものでした。悲しみと愛が、静かに絡み合っていたのです。それは、悲しみだけでも、感謝だけでもありませんでした。その両方を、同時に、余すことなく感じていました。悲しみと愛が溶け合い、愛だけが凝縮されたような感覚でした。

By Joshua Freedman, MCC

私は何十年にもわたり、感情を理解するためのマップや「感情の輪」をはじめ、さまざまな感情モデルについて学び、研究してきました。こうしたツールは、感情を表す言葉を増やし、自分が何を感じているのかを理解するうえで、とても役立ちます。私自身も、これらのモデルに何度も助けられてきました。(まだ見たことがない方には、感情を知る最初の一歩として「プルチックの感情の輪」をおすすめします。)

けれども、父が亡くなったときに私が抱いた感覚は、そうしたどの枠組みにも、当てはめることができませんでした。この経験をきっかけに、私は感情について、さらに深く探究するようになりました。その道のりについては、新著『Emotion Rules』でも紹介しています。そして、その探究を続けるなかで感情に対する私の見方を大きく変える、ひとつの気づきにたどり着きました。
感情は、星座のようにつながり合って働くということです。

感情はひとつずつ現れるわけではない

きっとあなたにもいくつもの感情を同時に感じたことがあるのではないでしょうか。 感情はひとつずつ現れるわけではありません。いくつもの感情が、つながり合いながら現れます。

プレゼンテーションを前にして不安を感じているとき、その奥には、ワクワクする気持ちが隠れていることがあります。愛する人に怒りを感じているとき、その内側には、傷ついた気持ちがあるかもしれません。さらに、相手とのつながりを失うことへの恐れも潜んでいるかもしれません。働きすぎて疲れ果てているとき、その疲労感には、誇りや罪悪感、そして「もっと何かがほしい」という切実な思いが絡み合っているかもしれません。

私たちは、最も強く訴えかけてくる感情に名前をつけ、そこで立ち止まってしまいがちです。「ストレスを感じている」、「イライラしている」、「大丈夫」けれども、最初につけたそのラベルだけで、心の中にあるすべてを表せることは、ほとんどありません。

「感情は、ひとつではなく、いくつも一緒にやってきます。 」

私がコーチングでよく投げかける、とてもシンプルな問いがあります。

「ほかに、どんな感情がありますか?」

この問いをきっかけに、最初に気づいた感情の奥にある、別の感情にも目を向けられるようになります。今、最も強く感じている感情だけでなく、その奥やそばにある感情にも意識を向けてみる。すると、最初に気づいた感情だけでは見えてこなかった、より豊かで役立つ情報が見つかることがあります。

なぜ私たちは複数の感情を同時に抱くのでしょうか。その科学的な背景について詳しく知りたい方は、「感情とは何か?」の記事や、感情・フィーリング・気分がどのようにつながっているのかを解説した記事も、あわせてご覧ください。

反対に見える感情にも、つながりがある

多くの感情モデルでは、感情を互いに対になるものとして整理しています。喜びと悲しみ。恐れと怒り。信頼と嫌悪。このように感情を対になるものとして捉えることは、複雑な感情を整理し、理解するうえで役立ちます。しかし、私は『Emotion Rules』の中で、次のように書いています。

「ときに最も大切なのは、どちらかひとつの感情を選ぶことではなく、そこにあるすべての感情を、そのまま抱えられるようになることです」

実際に私たちが感じる感情は、いつもひとつとは限りません。いくつもの感情が同時に入り混じることがあります。そして、相反するように見える感情も、どちらか一方だけが正しいわけではありません。両方の感情が同時に存在することもあります。そう考えるようになったとき、私はあることに気づきました。一見すると反対に思える感情でも、実はどちらも、心の奥にある同じニーズや、自分にとって大切なものを伝えている場合があるのです。

たとえば、「恐れ」と「信頼」を考えてみましょう。

「恐れと信頼」
この二つは、一見すると反対の感情に思えるかもしれません。しかし、どちらも「安全」に関わる大切なメッセンジャーです。リスクを見極め、自分を守るために必要な情報を伝えています。恐れは、こう伝えます。「気をつけて。大切な何かが脅かされているかもしれない」一方、信頼はこう伝えます。「大丈夫。安心できる支えや約束がある」伝えているメッセージは異なりますが、その根底にあるのは、どちらも「安全でありたい」という同じニーズです。

では、もう一つ、「悲しみ」と「愛」について考えてみましょう。

「悲しみと愛」
どちらも「つながり」に関わる感情です。悲しみは、そのつながりが自分にとってどれほど大切だったのかを伝えます。愛は、そのつながりが今も自分の中に生き続けていることを伝えます。この二つも、互いに反対の感情ではありません。どちらも「つながりを大切にしたい」という同じ思いから生まれた、異なるメッセージなのです。

私は、このように同じニーズに関わる感情を、「仲間のメッセンジャー」と呼んでいます。感情をこのように捉えると、複雑に入り混じっていた感情にも、少しずつつながりが見えてきます。それは、一つひとつの感情を別々に分類できるようになるからではありません。それぞれの感情が、自分にとって何が大切なのか、何を必要としているのかを伝えていることに気づけるようになるからです。

私は『Emotion Rules: The Science & Practice of Emotional Wisdom』の中で、次のように書いています。「どれかひとつの感情を勝たせようとするのをやめ、そこにあるすべての感情を受け入れたとき、私たちは単なる安堵を超えた、より豊かなものに出会います。そこに込められた意味を見つけるのです」

感情を「星座」として見てみる

一つひとつを見れば、星はそれぞれ独立した光の点に見えます。しかし、星と星を結び、そのつながりやパターンを捉えると、そこに星座が浮かび上がります。昔から人は、星座を手がかりに、自分が進む方向を見いだしてきました。

私がこの考え方を「感情の星座」と呼んでいるのは、そのためです。私たちの感情も、一つひとつが独立して存在しているわけではありません。いくつもの感情が連なり、そのつながりやパターンが見えてくると、自分が今何を大切にしているのか、どの方向へ進もうとしているのかを理解する手がかりになります。

私は、こうした感情のつながりを目で見ながら、実際に探究できるインタラクティブツールをつくりました。このツールでは、このように一つの感情だけを見るのではなく、その感情がどのようなニーズとつながっているのかを探っていくことができます。

たとえば、このツールにある「疲弊」という項目を見てみましょう。

疲弊が伝えているのは、ひとつのことだけではありません。その背景には、いくつものニーズが重なっている可能性があります。「達成」への思いとつながっているかもしれません。目標を達成しようとして、自分を追い込みすぎてはいないでしょうか。「安全」とつながっていることもあります。何かによって、心や身体のエネルギーが奪われてはいないでしょうか。あるいは、「自律性」とつながっているかもしれません。自分では選べない、身動きの取れない状況にいると感じてはいないでしょうか。

このように、感情とその背景にあるニーズのつながりを見ていくと、単純で分かりきったものに思えていた感情が、自分をより深く理解するための入り口になります。

このツールには、感情をさらに探究するための問いも用意されています。たとえば、次のような問いです。「自分の価値を証明しなければならない、という思いを手放すとしたら、それは自分にとって何を意味するだろう?」「人生の中で、自分が最も自由を感じられるのはどこだろう?」こうした問いを通して、感情が何を伝えようとしているのかを丁寧に見つめていく。そうすることで、感情への気づきは、自分にとって大切なものを理解し、次の行動を選ぶための手がかりへと変わっていきます。

あなたの「感情の星座」を読み解く3つのステップ

次に強い感情が湧いてきたときは、次の方法を試してみてください。

1.今、最も強く感じている感情に名前をつける
考えすぎる必要はありません。不安、怒り、行き詰まっている感じ、感謝。最初に浮かんだ言葉を、出発点にしてみましょう。

2.「ほかには、どんな感情があるだろう?」と問いかける
すぐに答えを出そうとせず、少しだけ自分の内側に意識を向けてみてください。最初に気づいた感情の奥や、すぐそばに、別の感情があることは少なくありません。怒りの中に、悲しみがあるかもしれません。ワクワクする気持ちの中に、恐れが入り混じっているかもしれません。いくつかの感情がどのようにつながっているのか、良い・悪いと決めつけず、そのまま見つめてみましょう。

3.感情に共通するニーズを探す
そこにある感情は、どのような共通のニーズを伝えているでしょうか。「安全」を求めているのでしょうか。「つながり」でしょうか。「意味」でしょうか。それとも、「自律性」でしょうか。共通するニーズに気づいたとき、あなたの「感情の星座」が浮かび上がります。そして、今の自分が何を大切にしているのか、何を必要としているのかが、これまでよりもはっきりと見えてくるでしょう。

あなたの感情には、夜空の星のようなパターンがあります。
そのパターンは、あなたが進む方向を示す手がかりになります。

人と関わる仕事をしている方へ

コーチや教育者、セラピスト、リーダーなど、誰かの感情に寄り添う立場にある方にとって、「感情の星座」は、人をより深く理解するための大切な視点になります。
相手が感じていることをすぐに「解決」しようとするのではなく、その人の中にある、さまざまな感情に関心を向けてみてください。

「ほかには、どのような感情があるのだろう?」
「これらの感情は、どのような共通のニーズを伝えているのだろう?」

「解決しようとすること」から「ともに探究すること」へと関わり方を変えることで、クライアントや同僚、友人、生徒が、これまで言葉にできなかった思いや、自分でも気づいていなかった大切なことに出会える場合があります。会話は、表面に現れている感情から、その奥にあるニーズや意味へと、少しずつ深まっていくのです。

今、あなたの中にある星座は?

感情は、すぐに整理したり、抑え込んだりしなくてもよいのです。感情は、自分の進む方向を示す「地図」であり、今の自分を映し出す「鏡」であり、よりよい選択につながる「知恵の源」でもあります。ひときわ強く感じるひとつの感情だけではなく、その周りにある感情にも目を向けてみる。そうすることで、自分が本当は何を感じているのか、その感情が何を伝えようとしているのかが、少しずつ見えてくるかもしれません。自分の内側にあるものを言葉にする手がかりとして、「プルチックの感情の輪」を活用することもできます。

今、あなたの中には、どのような「感情の星座」が見えていますか?

最後に、自分自身に、そっと問いかけてみてください。
「ほかには、どんな感情があるだろう?」
その問いが、感情の奥にある大切な思いや願いに気づく、最初の一歩になるかもしれません。
 
原文:Emotions Travel in Packs: What Your Feelings Are Really Trying to Tell You (the new Emotion Constellation Map)

 

Six Seconds Japan シックスセカンズジャパン EQ Six Seconds

米国シックスセカンズCEO ジョシュア・フリードマン
シックスセカンズの共同設立者であり、現CEO。ICF認定マスター・サーティファイド・コーチ(MCC)。8冊の著書を持ち、『At the Heart of Leadership』は国際的ベストセラー。2026年には最新著書『Emotion Rules』を発表。思いやりと目的意識が重なったときに生まれる、人の可能性に情熱を注いでいる。人が自分の感情の意味に気づき、感情・思考・行動には自分で選択できることを知る。その瞬間に生まれる「自由・自分らしさ・目的」を大切にしている。

 

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Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。

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