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EQと経営シリーズ Vol.3

by : シックスセカンズジャパン 代表 田辺康広  | 

2023年8月22日 | 

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「パフォーマンスに優れたリーダーはEQに優れている」という仮説の実証と産業界への導入


第一回は、EQの概要、実践することによる具体的なメリットは何かについてお話ししました。
EQと経営シリーズ Vol.1を読む≫

そして第二回は、EQが開発された経緯や注目されたいきさつについて詳しく見てきました。
EQと経営シリーズ Vol.2を読む≫

第三回目となる今回は、EQが産業界にどのように導入されてきたのかについてお話しします。

ペプシコ、ロレアルなど世界的企業がEQに着目


1990年に最初の研究が発表されて以来、革新的な組織では、競争上の優位性を得るためにEQ(EIまたはエモーショナルインテリジェンス、感情知能)をトレーニングや採用に組み込む方法を検証し始めました。

そしてEQを活用するスキルトレーニングが高業績な組織を作るための基盤であることがますます明らかになってきたのです。EQの導入にはさまざまなシーンでなされました。

EQは測定可能で学習可能であり、トレーニングやコーチングによって向上させることができるという特性からリーダーシップの向上や組織文化の開発、優良社員の選抜や定着のために活用されました。
特に効果的な導入戦略だったのは、EQを組織文化に組み込むことでした。

EQの導入事例には、以下のようなものがあります。

・ペプシコでは、EQコンピテンシーで選ばれたエグゼクティブの生産性を10%向上させた。
・ロレアルの高EQセールス担当者は、他の営業担当と比較して250万ドルの多い売り上げを示した。
・シェラトンホテルのスタッフ向け研修「EQイニシアチブ」により、市場シェアを24%増加させた。
・Amadori社では離職率が63%減少し、マネージャーのEQは工場の業績と正の相関があることがわかった。
・大手製薬会社では、主要チームのEQを8.9%増加させたことで、2桁の利益成長を実現した。
・米空軍は、EQを使ってパラシュートのレスキュージャンパーのスクリーニングを行い1億9,000万ドルのコスト削減を実現した。

詳細:Business Case 2016≫

職場の重要課題は「財務・技術」か、それとも「人」か?


EQが人材や組織開発のキーワードと認識されるにつれ、リーダーたちはEQが自分の職場にどのように価値をもたらすかを具体的に考えるようになってきました。

企業は、人、プロセス(ノウハウ)、設備で構成されます。そして、長い間私たちは後者の2つに投資していればと他社との差別化要因となる、と信じてきました。

しかし、過去数十年の間に、そのような思い込みを覆す研究が続出し、企業の差別化要因は「人」であることがますます証明されてきたのです。

2012年のシックスセカンズ社の世界規模での調査では、「あなたが仕事で直面している最重要課題は何ですか」という質問に対して、76%のリーダーが「人と人との関係性」と答え、「財務・技術」は24%にとどまりました。

自分自身や他者との関係性を表す言葉として「ピープル・スマート」がよく用いられます。「ピープル・スマート」を実現するために重要な役割を果たしているのはEQと現場のリーダーたちが考えはじめたのは当然のことなのかもしれません。

企業導入への契機:ジョンソンアンドジョンソン社での調査

1990年代のおわりころにはダニエル・ゴールマンはEQシリーズの第2弾としてEQリーダーシップに言及した著書を上梓しました。

実務家は観念論だけではなく、実態としてパフォーマンスに優れたリーダーはEQに優れているという仮説を実証してほしいと考えるようになりました。

その実証作業に取り組んだのが、ジョンソン・エンド・ジョンソン社です。
それをまとめた研究レポート

「Emotional Competence and Leadership Excellence at Johnson & Johnson: The Emotional Intelligence and Leadership Study(ジョンソン・エンド・ジョンソンにおける情緒的能力とリーダーシップの優秀性:情緒的知性とリーダーシップの研究)」
(Kathleen Cavallo, PsyD, Corporate Consulting Group, Dottie Brienza, MA)

が2001年に発表されると大変な注目を集めました。

その序文にはこうあります。

「この調査は、ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー&パーソナルケアグループ(JJC&PCグループ)の全世界のマネージャー358名を対象に、高業績者と平均的な業績者を区別する特定のリーダーシップ・コンピテンシーがあるかどうかを評価するために実施された」

参加者は無作為に選ばれ、その後、パフォーマンス評価、潜在的コード、性別、機能グループ、地域別にコード化されました。

1,400人以上の従業員が、一般的に「EQ」と呼ばれるものを含む、リーダーシップのパフォーマンスに関連する様々なコンピテンシーを測定する143問のマルチレイター調査に参加したのです。

その結果、最も業績の高い管理職は、他の管理職よりもEQが有意に高いことが示されました。
上司と部下から5点満点で4.1以上のパフォーマンス評価を受けたリーダーは、「自己認識」、「自己管理」、「社会的認識」、「ソーシャルスキル」の4つのEQの次元すべてにおいて、他の参加者よりも有意に高い結果を示したことも報告されています。



優れたパフォーマンスを発揮しているリーダーとEQとの間に強い関係があることが見出されたことで、一般的にEQと呼ばれる社会的、情緒的、関係的コンピテンシーがリーダーシップのパフォーマンスを際立たせる要因であるという、理論家の示唆を裏づける結果が得られました。

このレポートが企業導入に火をつけたといっても過言ではありませんでした。

企業はこぞってリーダーシップ研修や従業員EQ向上研修の企画するようになったのです。

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次回は、「日本産業界でのEQ導入」を綴っていきます。

シックスセカンズジャパン株式会社
代表 田辺 康広

 

田辺 康広
シックスセカンズジャパン代表取締役
90年のEQ理論発表時より、組織および人材開発・活性化のキーファクターとして注目し研究。専門性を活かし、様々なセクターにおけるマネジメント・リーダーシップ研修を創り、日本におけるEQの第一人者として、普及・発展に寄与している。

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Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。