関係の質を高める、感情リテラシーという力
by : EQチェンジエージェント|PINPIM 杉浦敏代 |
2020年6月1日 |
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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。
EQプラクティショナー認定セミナー(EQPC)でエモーションカードを使って感情にラベリングを行った際に、自分自身がこんなにも感情の違いを表現できない人なのだ!という事実に大きなショックを受けた。人材育成が自分の業務。新入社員が、この会社で成長したくなる様に、様々な仕掛けをしていくため、若手と時間を共にし、話を聴くことで理解に努めてきたが、まだまだだったなぁと反省した。快か不快には仕訳けられても、激怒か怒りの違いは感じ取れても、強さが小さくなる感情には、感覚がなかった。これは、「ビジネスに感情を持ち込むな」「感情はビジネスマンとして未熟な人が持ち合わせるもの」といった会社の暗黙のルールに囚われている自分が、まだ!いた!!という発見でもあった。
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Six Seconds国際認定資格EQプラクティショナー認定セミナーを受講し、EQ実践者のプロとなった認定者のEQレポートをご紹介します。
と研修で言いながら、まだまだ自分自身ができていなかったのだと気付き、ショックでもあり、恥ずかしく、反省した。
振り返ってみると、「○○さん、いつもと何か、違う。」「何か、困っていそう。」「何か、怒っていそう。」というざっくりとした表現をしていた自分が思い当たる。不安ではなく、恐れだったかもしれない。怒りではなく、イライラだったのかもしれない。そこを掴まないから、現場の上司と話をした際に、伝わりきらず、本人の望んでいる対処よりも事が大きくなってしまったり、小さかったりという本人の期待とは異なるものになっていたのかもしれない。今までの、思っていたことと異なった対処が起きていたのは、自分自身の未熟さも原因の1つであると発見でき、とてもスッキリした。その日からは、感情の強さも意識をして、相手に尋ねるようになった。
また、感情の基本的なメッセージにも、霧が晴れるような感覚があった。管理職研修では、フィードバックの練習を行っており、その際に部下に問いかける有効性を理解させ、質問を考えさせてきたが、感情のメッセージという考え方が無かった。とても分かりやすいし、部下本人の自分自身の中に何が起こっているのかという気付きも早くなる。感情に振り回されない為にも、自分の感情が動いた時に、自分自身へ問いかけることができるようになると、不機嫌に過ごす時間をかなり減らすことができる。
先日、28歳のキッチンスタッフ、Mくんからこんな相談があった。
「Hくん(入社2年目)が、2回も遅刻出勤をした。お昼休憩で45分も過ぎてから戻ってきたこともあった。何度も同じ失敗を繰り返すし、注意をしても返事はしているが、わかっているのかどうかもわからない。失敗の内容が、理解できないものが多い。先輩たちは呆れ始めていて、相手にしなくなっている。僕はどうしたら良いのかわからない。」
「なるほど。そんな状況なのか。心がざわざわするね。Mくんにとって、気になっていることは何だろうね。邪魔されているとか、さえぎられていると感じるものはある?」
「Hくんの行動は社会人としてやってはいけない行動をしたわけだけど、その他にも何かルールを破っているのでは?と感じることはある?」
「受け入れたいことは?悪いことになりそうだと思うことは何?」
と1つひとつ質問をしていった所、Mくんは
「仕事の取り組み姿勢に嫌悪感がある。30分早く出勤してみたらという提案を無視されたことへの怒りもある。しかし、チームから外れていく不安と受け入れたい感情がある」
と、感情を言葉にしていた。
これまでは何となく、ざっくりした表現で分かったような気になっていたので、話し終わった後で表情が笑顔になっているものの、今回の感情を言語化できた時と比べると、表情のスッキリさが大きく違っていた。すると、「では、何をする?どうしたい?」という私の質問にもインスピレーションが湧いてくる様で、具体的な行動をサクサクと答えていた。その行動を起こした結果は、まだ聞いていないが、Hくんに会って聞いて確認してみようと思っている。
自分の中にある感情が理解(名前を付けて、分析)できると、次への行動につなげやすくなると実感できた。自分自身は、まだまだ開発していけるコンピテンシーなので、ラベルを付けることやメッセージを理解することを楽しみながら伸ばしていく。
しかし、人って・・・複雑だなぁ。