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ドラッカーが伝えたかったこと(1)「概要」

2018年10月1日 | 

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6月より連載の始まった代表田辺によるEQリーダーシップ・シリーズと同時進行で、本日より、シックスセカンズジャパン経営研究センター今村フェローによる「ドラッカーが伝えたかったこと」の連載を始めます。

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ドラッカーについて、よく実務家が持つ誤解は2つある。1つは、古い。その証拠にアメリカの経営学者からは見向きもされなくなっている。2つめに、理論中心だから実務には役に立たないというもの。「それではどの書籍を読まれたのですか?」と聞くとせいぜい「もしドラ」+「エッセンシャル版マネジメント」。「どこが古い(役立たない)と思いましたか?」と突っ込むと、ほとんどの方が「実はエッセンシャル版は抽象的であまり理解できませんでした」と語る。当然のことだ。完訳すれば1200ページになる書籍(「マネジメント」)を1/3程度にカットして理解させるのは非常に難しい。では古いのだろうか?筆者は全くそうは思わない。P/コトラー、W/ベニス、J/コリンズ、M/チクセントミハイらから尊敬され、有力経営者の多くが繰り返し読み続け実務へのヒントを得ているドラッカーを「古い」と断じる方が筆者は不勉強と思えてしまう。言い換えれば日本の読者の中には、読まずに(もしくは書籍選択ミスで正しく理解できずに)上記誤解を持つ方が非常に多いということになる。また、経営学にも、実証研究を重視する人もいれば、理論構築を重視する人もいる。前者のグループは理論構築を主として行ったドラッカーの方法論とは正反対にあるから、当然学ばない。最近前者の視点からの発言が書籍になっているので勘違いする方がおられるようだ。

私は日立製作所の教育訓練専門会社に在籍当時、クレアモント大学院大学ドラッカー研究所でJ/マチャレロ教授(*)から直接お教えを受ける機会に恵まれました。今回の記事はここでの学びを中心に10回ほど「ドラッカーが伝えたかったこと」としてお届けしたいと思います。加えて、このメルマガをお読みの皆様はドラッカーとEIが非常に相性の良いものと思われているでしょうからそのあたりについても触れてまいりたいと思います。

(*)ドラッカーが生前、共同著作を許した唯一の人。ドラッカー研究では最高の人であり、ドラッカー夫妻の晩年のお世話をした人。

概要

(2)オーストリア/フランクフルト時代
ドラッカーの原点はナチズムの経験にある。人が自由に生き、その結果責任を持つことへのキーワードは「機能する社会(The Functional Society)」である。これはドラッカー研究所とマチャレロ教授の主張。

(3)マネジメント―「機能する社会」構築のための発見
1945年、企業研究の依頼を受けたドラッカーは、委託先のGMでその萌芽を学んだマネジメントこそ「機能する社会」を構築する鍵であると気づいた。

(4)真のMBOとはどういうものか
「機能する社会」構築のためには「組織の中で人が自由と表裏一体である責任を果たすこと」こそ必須と考えた。その実務的な回答がMBOである。ではその真のMBOとはどういうものか?

(5)知識労働者のための科学的管理法―書籍「経営者の条件」”The Effective Executive”
人が成果を出し続けるためには単なる知識労働者であってはならない。「Executive」にならなければならない。この場合のExecutiveとは役員のことではない。新人であってもこれにならなければならない。これには5つのポイントがある。そしてこれこそが個人と組織を活き活きとさせ、組織においてはMBOを通じて成果を出し続ける方法論である。この方法論とは実務の効率効果を大きくするものであり、まさしく「今日からすぐ使えるもの」である。

(6)イノベーションの正しい理解―それは日常業務である
成果を出し続けるためのもう一つの重要なカギはイノベーション。「新技術」はイノベーションのごく一部でしかない。イノベーションとは日常業務である。その理由とは?またもっとも簡単なイノベーションの鍵とは?

(7)NPOについて
いくらやり方を工夫しても人の心が燃え立たぬ限り成果は知れている。そこでドラッカーは非営利組織に注目した。実はここに組織運営にあたって、重要視すべき重要な点がある。その究極の姿が社会への貢献であり、組織人にとって強い動機づけになる可能性がある。そこで関連するのはドラッカー晩年のリーダーシップの定義「Getting the Right Things Done」(なされるべき正しいことを得る)である。

(8)マネジメントとリーダーシップ
ではドラッカーは最終的にマネジメントとリーダーシップをどのように定義したのか。彼はマネジメントについては膨大な書籍を書いたがリーダーシップについてはどうなのか。この二つの関連はどうなのだろうか。

(9)社会生態学者としてのドラッカー
「機能する社会」を鍵とすれば、「私は社会生態学者である」と述べたドラッカーの主張の真意が理解できる。

(10)情報の流れに基づく組織とドラッカー組織論
社会生態学者としての晩年の大きな気づきは「情報の流れに基づく組織」である。ここでは部下が上司をまた上司は組織図に関係なく部下が選べる。なぜなのか。またそういう組織で成果を出す秘訣とはなんなのか。

(11)ドラッカーの限界
ドラッカーは2005年に亡くなったが、最先端の経営課題について多くの示唆を与え続けてくれている。では彼が記述し得なかったこと、説明しきれていないこととは何なのか。そしてEIとの関連とはどういう所にあるのか。

このようなことをお話ししたいと思う。

次回も楽しみにお待ちください。

シックスセカンズジャパン株式会社
経営研究センター フェロー
今村哲也


 

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