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【EQが生徒と教師にもたらすポジティブチェンジ】第2回-実践がもたらす変化と教育の未来-

by : 成城学園中学校高等学校|森下 浩行  | 

2025年10月7日 | 

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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。

EQ×高校生の成果

セルフサイエンス入門」を履修した生徒は、感情に目を向ける機会が増えることで、感情を通して自分の思考や行動にも注目するようになりました。リアクションペーパーから年間を通して得た学びについて次のような回答が得られました。

「どうしてその感情を抱えたのか?次、同じようなことが起こったらどのように自分は対応するのか?」と自分に問いかけ、どうしたらいいか考えられるようになった。自分について見直すきっかけになったと思います。

高3という時期がどうしても、迷いだったりと不安定なので、その中で自分が大切にしなきゃいけないもの、大切にしたいと思うものを会話を通して整理できたことがよかったです。

EQは生徒の何を育んだのでしょうか。生徒たちは自分の心の動き、考え方、発言や行動のパターンに気づき、より良い選択肢を探るようになりました。

思春期の生徒にとって、自分が何者であるかを意識的に深く考える時間は大切です。セルフサイエンスを通して自己理解とセルフマネジメントの力は確実に育まれています。

教科教育への展開の可能性

学校におけるEQ開発は日常の教科教育と関連付ける取り組みも可能です。
中学校で設定されている特別の教科「道徳」の22の内容項目と、SixSecondsの8つのコンピテンシーには関連性があり、既存教材と組み合わせることでセルフサイエンスプログラムがかなりの部分をカバーできます。

他の教科との連携はさらに模索していく余地があります。

教科連携のアイデア

【国語】
文学作品の読解を通じて感情にまつわる語彙を習得し、感情リテラシーや共感力の活用について考える。

【社会】
企業のCSR事例研究を通じてノーブルゴールの追求について考える。

【音楽】
演奏者である自分が、歌や楽器にこめて表現しようとする情感に目を向けることを通じて感情リテラシーについて考える。
合唱・合奏で重視されるハーモニーを通じて共感力について考える。

思春期の生徒にとって一日の3分の1は学校で過ごす時間です。セルフサイエンスに触れる時間が増えることは、8つのコンピテンシーをバランスよく開発できる可能性に満ちています。

EQは教師力+α

セルフサイエンスはそれを実践する教師のEQ開発も促進します。生徒に投げかける「問い」を立てることが、自分のEQを高めてくれていることは私の実感するところです。

SixSecondsがうたうEQコンピテンシーは、日本の学校文化にとってまったく新奇なものばかりではありません。「結果を見すえた思考」は定期テストや夏休みの学習計画に表れているし、「共感力の活用」は「人の気持ちを考えましょう」というお決まりのセリフの最たるものでしょう。入口は十分に用意されています。

EQ開発の方法には正解も終わりもありません。問いに対する答えは一人一人が持っているということを指します。また、問いの題材は、日常のあらゆるところから探し出すことができます。書物からだけでなく、学校生活のなかで起きる出来事、テレビから何気なく流れてくるCM、話題の映画などから授業の導入に使えそうなものを私はつねに探しています。

そして教師と生徒のいわゆる「教える-教わる」の関係性は、「共に学ぶもの」に変化していきます。EQが教師と生徒による「主体的対話的で深い学び」をつないでくれているのです。EQの開発度合いは年齢・学齢と無関係で、EQの学習歴の影響の方が強いでしょう。教師と生徒が対等に意見を交わし合う豊かな時間は、学校文化を大きく変えることになるでしょう。

「生徒のため」は「自分のため」

すべての学校にEQを。そのためにもすべての先生にEQを知り、高めてもらいたい。私は強く願っています。

文部科学省の調べでは、令和5年度、うつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は7,119人にのぼり、1979年の統計開始から初めて7,000人を超えて過去最多となりました。これは4校から5校に1人の割合で休職者がいる計算です。

同じく教育に携わる者として胸がつぶれそうになる数字です。かつて休職を経て退職していった若い同僚に何も声をかけることができなかったときに感じた悔しさが、EQプラクティショナーになったばかりの私をこれまで突き動かしてきました。

生徒が健やかに学校生活を送るために、先生にも生き生きと輝いていてほしい。「生徒のため」と同じくらい「自分のため」に先生たちがEQを学び、EQについて対話する機会をたくさん作ること。これが現在の私のノーブルゴールです。

 

成城学園中学校高等学校
こたつプロジェクト
森下 浩行

 

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会場:ラボ教育センター会議室
〒169-0072 東京都新宿区大久保1-3-21
アクセス:https://www.labo-party.jp/company/
登壇者:森下 浩行氏
Six Seconds Japan シックスセカンズジャパン EQ Six Seconds

森下 浩行
成城学園中学校高等学校 教諭
6seconds認定(上級)EQファシリテーター中学・高校での教育現場にて20年以上のキャリアを持つ。
2019年にEQに出会い、学校現場へのSEL導入・実践を探究。
2023年度よりシックスセカンズのSELプログラム「セルフサイエンス」を、日本で初めて通年で実践している。

 

EQを学びたい方へ

Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。