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AI vs EI(EQ)?AI導入成功のカギはEQにあり!

by : Michael Miller, Six Seconds Global  | 

2025年1月21日 | 

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AIとEQへの投資が成功を導く

「人工知能競争に勝つのは技術か人間か?」世界中の企業がAI技術に巨額の投資を行っている中で、人間のスキル、特に感情知能(EQ)はどうなっているのでしょうか? 進行中の研究によると、企業はAIをうまく導入するために必要な人間のスキルへの投資をおろそかにしがちだと言われています。その結果、従業員は不満を感じAIを効果的に活用できていないのが現状です。

By Michael Miller, Six Seconds Global

1.CEOたちはAIに熱狂

AIへの関心が高まり世界中の企業が巨額の投資を行っております。2024年のAI市場規模は1840億ドルに達し、2028年までに約6320億ドルにまで拡大すると予測されています。マッキンゼーがアメリカのCEOを対象にした調査では73%が生成AIを「最優先の投資対象」として挙げ、72%の企業が少なくとも1つの業務でAIを導入していると報告しています。KPMGのCEOであるポール・ノップ氏は「生成AIは革命的で、単なる流行ではない」と述べ、AIが業務効率を向上させる機会を提供するだろうと語っています。

2.でも従業員たちは冷めている?

一方で、企業の熱意とは裏腹に従業員の多くはその変化に十分に準備ができていないという現実があります。ギャラップ社の調査によると2023年から2024年にかけて「AIを使う準備ができている」と答えた従業員の割合が6%減少しました。週に1回以上AIを使っている従業員は10人に1人だけで、10人に7人は全くAIを使っていません。この結果はAIを効果的に導入するためには、リーダーシップやトレーニングが必要だということを示しています。
また、多くの従業員は自分の会社がAIを導入しようとしていることすら気づいていないようです。アメリカの従業員のうち33%だけが自分の会社がAIを業務に取り入れ始めたと言っており、一方でフォーチュン500企業の最高人事責任者93%はすでにAIツールや技術を使って業務改善を進めていると答えています。驚くべきことに60%のギャップがあります。どうしてこんなにギャップが生まれるのでしょうか?

3.革新のチャンス:AI導入成功のカギはEQにあり!

もし企業がAI導入を成功に導きたいのであれば、AIを使う従業員の「感情知能(EQ)」に投資することが重要です。AIを従業員が使って初めてビジネスを変革できるのです。
しかし、それは言うほど簡単ではありません。変革の70%が失敗するという統計が示すように、AI導入も同じく難しく失敗しがちです。
多くの企業は「変化が必要だ」と従業員に感じさせ、新しい方法に飛び込ませようとします。今のやり方に問題があること、変革がより良い未来を作ることをデータや専門家の意見を使って説得しようとします。 AIについては、以下が示すデータのように説得が難しいわけではありません。

・ChatGPTはIQ155で、これは人間の99%よりも優れている
・AIはCTスキャンで腫瘍を見つける精度が、人間の放射線科医より20倍高い
・AIは契約書の法的問題をトップ弁護士よりも正確に指摘
・AIはコンサルタントがより多く、より良いアイデアを、より早く生み出す手助けをした

ただし、この進め方の問題は変化や不確実性に対する人間の脳の反応を無視している点です。
人間の脳は事実に関心があるわけではなく、「これは自分にどう影響するのか?」「自分の仕事や部署はどうなるのか?」がを重視します。従業員が変化を恐怖と感じ、それに対するリーダーの対応がないと恐怖と抵抗の悪循環が生まれてしまいます。

ギャラップ社は最新の調査で「効果的なリーダーシップがないとAIの導入は成功しない。そのため、AIに何十億ドルも投資しても組織がうまく管理しなければ、その投資は無駄になるかもしれません。」と指摘しています。では、他に方法はあるのでしょうか?

4.AIとEQ:共に成長する未来の作り方

「AIとEQはどちらも重要で、お互いに必要不可欠です」と、デロイト米国のチーフ・ラーニング・オフィサーであるアンソニー・ステファン氏は言います。「だからこそ、企業は『Yes AND*』アプローチを取るべきです。つまり、AIに投資するのと同じくらい重要でワクワクするようなEQの育成にも力を入れるべきだということです。」

*『Yes AND』は相手の意見を肯定的に受け入れた上で、自分の視点や新たな提案を加えるコミュニケーション手法で協力的で創造的な対話を促進します。

1.AIのトレーニングを提供する
AIがどのように進化するかは予測できませんし、未来について話すのは難しいかもしれません。でも、従業員のスキルアップに投資することはとても大切です。従業員は新しいスキルを学びたがっています。すぐに生産性が上がらなくても学びや成長をサポートすることが重要です。AIを早期に使いこなす人は少数派なので大多数の従業員がAIに慣れるためには、企業は従業員がAIを体験するための場所を作りしっかりとサポートすることが必要です。これをうまく行えば、仕事の効率や従業員のやる気が向上します。

2.感情知能(EQ)のトレーニングを提供する
今、世界中で多くの人が感情的に困難の時期にあります。<日本国内の現状はこちらから>多くの人が感情的に苦しんでおり、必要なスキルを欠いていると感じています。ギャラップ社によると、60%以上の従業員が職場で感情的に疎外感を感じています。これは人間としての問題だけでなく会社にとっても問題です。疲れ切っている人々やただ仕事をこなすだけの人々は、新しい技術が理にかなっていても試すエネルギーを持っていません。変化に対応するには脳のエネルギーを使います。感情的なストレスや変化にうまく対応できるスキルがあればより成功しやすくなります。

「もし、AI導入だけに力を入れEQ(例えば柔軟な思考、感情をうまくコントロールする力や困難を乗り越える力)を無視すると、イノベーションを妨げ、従業員がチームをうまくリードしたり、新しいチャンスに対応したり、AIをうまく活用できなくなってしまうかもしれません」とステファン氏は述べています。

3.最も困難な時にこそEQを大切にする

AI導入で大事なのは技術的なスキルだけでなく、リーダーがチームの感情を理解して信頼を築くことです。EQを大切にしている企業は、技術的な変化に伴う不安や疑問をうまく解決でき、従業員が自分の意見をしっかりと受け入れられ価値を感じサポートされているという環境を作り出せます。変化や混乱の中でEQを発揮するのは最も難しい時ですが、だからこそ最も重要です。企業がEQに投資すれば、AI導入が数年にわたり成功する確率が大きく高まります。

原文:Emotional Intelligence at Work

 

Six Seconds Japan シックスセカンズジャパン EQ Six Seconds

Michael Miller
Senior Content CuratorSix Seconds米国本部のライター。ノーブルゴールは、命の奇跡への感謝を共有していくこと。より健康的でバランスの取れた達成感のある人生を生きるための、最新の脳科学に基づいた実践可能で適応可能なヒントを中心に記事にまとめています。

 

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