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年末のご挨拶|10年前、EQと出会ったあの時

by : 6SJ  | 

2025年12月26日 | 

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2025年を締めくくる最後の記事は、シックスセカンズジャパン取締役副社長・須澤知史より皆さまへのご挨拶です。

2025年が終わろうとしてるなかで、この一年や、過去の自分を振り返りながらこの文章を書いています。
皆さんにとって2025年はどのような1年でしたでしょうか?

私にとって2025年はEQと出会って10年という節目の年でもあります。今から振り返ると、ちょうど10年前にEQと出会ったあの頃が、今の私の原点です。

当時、私は社会人サッカーチームの監督をしていました。
チームをまとめ、結果を出すこと。そのミッションに本気で向き合っていましたが、現実は決して簡単なものではありませんでした。メンバーの気持ちを一つにすること、モチベーションを保ち続けること、そして結果を出し続けること。そのすべてに、強い難しさを感じていました。
最終的には、チームとして過去最高の結果を残すことができました。
しかし、その一方で、私はチームの中で孤立していました。
結果は出したのに、メンバーには不満が積もっていく。
当時の私は、どうして良いかわからずもがいていました。

そんな時、ふと会社の研修で耳にした「EQ」という言葉を思い出しました。
正直に言えば、最初から強く興味をもっていたわけではありません。ただ、「もしかしたら、今の状況を整理するヒントがあるかもしれない」。そんな気持ちで、知り合い(シックスセカンズのEQアセッサー)にお願いし、初めてリーダーシップレポートのコーチングを受けました。
その時間は、私にとって衝撃的な体験でした。
レポートに書かれている内容、そしてコーチから投げかけられる問いの一つひとつが、当時の私の状況を驚くほど正確に映し出してくれたのです。

「なぜチームがうまくまとまらないのか」
「なぜ結果を出しても、関係性に違和感が残るのか」

それらの問いに、初めて明確な答えが与えられた感覚がありました。
この時、私は初めて「EQはきっと現状を打開するための大きなカギになる」と感じました。
それまで感覚的に抱えていた違和感が、少しずつ言葉になり、整理されていく。その体験が、EQをさらに学び深めたいというスイッチとなりました。

迷わず、あずさに乗った日

EQ検査SEIリーダーシップレポートの受検とコーチングを受けたことがきっかけで、EQをさらに学び深めたいというスイッチが入りました。
さっそくシックスセカンズジャパンのホームページを見ると、偶然にも次の週にEQプラクティショナーの認定講座が開催されるという案内が載っていました。

EQプラクティショナー講座は5日間にわたる講座で、仕事やサッカーの日程調整も簡単ではありませんでしたが、迷うことなくすぐに申込みました。当時の私は長野県に住んでいましたが、あずさのチケットを買って、ワクワク感いっぱいで東京へと向かいました。

5日間のEQプラクティショナー講座は、想像以上に濃密な時間でした。
EQの理論を学ぶだけではなく、自分自身の感情と向き合い、人の感情に耳を澄ませ、対話を重ねていく。その一つひとつのプロセスが、深く心に残りました。

特に印象に残っているのは、「理解しようとすること」よりも、「感じ取ろうとすること」の大切さでした。頭で整理し、すぐに正解を探すのではなく、感情に丁寧に触れ、そこにとどまってみる。その体験は、それまでの私の学びのスタイルとはまったく異なるものでした。

講座が進むにつれて、私は次第に、自分の内側が少しずつほどけていくのを感じていました。競争や比較、正しさへのこだわり。知らず知らずのうちに背負っていたものが、静かに手放されていくような感覚でした。

そして何より強く残ったのは、「自分は救われた」という感覚です。
誰かに評価されたわけでも、成果を認められたわけでもありません。ただ、自分の感情や在り方を、そのまま受け止めてもよいのだと感じられました。その体験が、深い安堵として心に残りました。

講座が終わる頃、私の中には一つの願いがはっきりと浮かんでいました。
「このEQを、もっと多くの人に伝えたい」

そして、

「これが特別なものではなく、EQが当たり前にある社会になってほしい」

この思いは、その後の私の選択の軸になっていきます。

EQ実践―そして、感謝

EQプラクティショナー講座を終えたあと、私の中には確かな変化がありました。
ただ、日々の中で実践し、それを伝えるにはまだまだ経験が足りませんでした。感情に気づこうとしても、余裕がなくなると元の反応に戻ってしまう。あるいは意識しすぎで、前に進めなくなってしまう。人に伝えようとしても、自分の経験や引き出しが足りず、言葉が追いつかない。

「わかっている」と「できている」の間には、想像以上の距離がありました。
そんな試行錯誤の日々が続き、「中途半端な理解のままではいけない」「本気で学び、実践し、伝える経験を積むことが必要だ」と、次第に思うようになっていきました。

そして2017年、私はシックスセカンズジャパンにジョインする決断をしました。
EQをより専門的に学び、実践し、「伝える側」として本格的に関わっていく選択でした。

それからの時間の中で、私自身に起きた最も大きな変化は何かと問われたら、今は迷わず「感謝」を感じれるようになったこと。そして自分が「楽」に生きれるようになったことだと答えます。
以前の私は、競争や比較の中で生きていました。

成果、評価、正しさ。そうした基準で自分や他人を見て、常にどこか力が入っていたように思います。
EQを学び、自分の感情に丁寧に目を向け、人の感情にも耳を澄ませるようになる中で、少しずつ見える景色が変わっていきました。

支えてくれた人、厳しいフィードバックをくれた人、思い通りにいかなかった経験、苦しかった出来事。その一つひとつが、自分を形づくってくれていたのだと、後から気づくようになったのです。

気がつけば、感謝の対象は特定の誰かだけではなく、出来事そのもの、経験そのもの、文化や歴史を紡いできてくれた人の想い、近しい人のその先にいる多くの人々まで広がっていきました。
その結果、生き方は驚くほど楽になりました。

自分が本当に大切にしたいものがはっきりし、日々の選択に迷うことが減りました。

ぶれない軸を持ち、信念に基づいて行動できるようになりました。

それは、静かでゆっくりだったけれど確かな変化でした。
 

これまでの10年、そしてこれからの10年

今、振り返ってみると、私の中には三つのキーワードが思い浮かびます。
それが、「山」「灯」「風土」です。


私が初めてEQプラクショナーを受講した時、最初の自己紹介ワークが「今の自分を感じ一文字で表そう」というものでした。その時に思い浮かんだのが「山」という字でした。自分が長野県出身で、山に囲まれたところから来ていること、そしてEQという大きな山を登りたいという決意で講座に参加していたこと、さらには日々直面する困難や挑戦を「山」として表現しました。

それからEQの実践を続ける中で、自分のノーブルゴールを表す言葉として「灯」がぴったりだと感じるようになりました。人々の心に火を灯す、未来を照らす光を灯す、家族や仲間が安らげる灯になる、そういう意味で「灯す人」でありたいと思ったのです。そして子どもの頃「トモスケ」と呼ばれていたあだ名も「灯す(け)」に通じていたのではと運命を感じ、自分は「灯す人」になり続けたいという想いがよりいっそう強くなりました。
風土
最後のキーワードは「風土」です。実は今やっている別の活動で、古民家を再生して、そこを学びの場として人が集まれる場所にしたいと考えているんですが、その古民家を専門に修復や設計をしている設計士さんに教わった言葉の意味が、自分のノーブルゴールを表す言葉にぴったりだと感じたんです。
風土っていうのは、「風の人」と「土の人」という意味もあるそうです。「風の人」は外から新しい視点や文化を運んできてくれる人、「土の人」はその土地で伝統や暮らしを大事に守り続けてきた人。その二つが融合して「風土」が生まれ、新しい文化やアイデア、そして次の時代を築いていく。そういう話を聞いて、自分も「風の人」と「土の人」の両方としてEQを届けたいのだと強く想いと結びついた感覚を得ました。まだEQを知らない人、昔の自分と同じようにもがいている人に新しい風を届ける「風の人」として、そしてそれを当たり前のものにして、次の時代につなげていく「土の人」として、仲間と共により多くの人にEQを広げていきたい、そう思っています。

2026年には、これらの想いを携えて、次の10年のスタートの年として、より一層のチャレンジをしていきたいと思っています。その時に欠かせないのは「エキスパートレベルの楽観性の発揮」「共にEQを伝える仲間」です。

いずれも、「EQをあたりまえの世界にしていく」という壮大なチャレンジと、待ち受ける困難な状況を乗り越えるのに不可欠なものです。

皆さんも、ぜひその仲間の一人として、共にチャレンジをしてくれたらうれしいです。

2026年、みなさまにとっても素敵な1年になることをお祈りしております。

シックスセカンズジャパン
取締役副社長 須澤知史

 

シックスセカンズジャパン
取締役副社長 須澤 知史

「A sound mind in a sound body(健全なる精神は健全なる身体に宿る) サッカー監督、スポーツインストラクターの経歴を持ち、人々の「Well Being」を育んでいくためのEQの効果的な活用を研究。また、「心の筋トレ」「心のダイエット」を手掛けるEQコーチとして老若男女すべての人々に日常におけるEQ活用を支援している。

EQを学びたい方へ

Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。