講師の想いを届ける 第7弾:UEQ講師 福盛 二郎さん
by : コノテ・アノテ| 福盛 二郎 |
2026年7月14日 |
講師の想いを届ける企画、第7弾の記事は基礎講座Unlocking EQ(UEQ)講師・福盛二郎さんが、自身の体験からEQとの関わりを振り返ったストーリーです。

モチベーションは甘えだと思っていた
― 「大丈夫」という言葉が教えてくれたこと ―
「モチベーション云々は置いておいて、やるべきことはやるべきだ。」
以前の私は、それが社会人として当たり前のことだと思っていました。
仕事には責任があります。もちろん、気分が乗る日もあれば、そうでない日もあります。それでも約束したことをやり遂げる。その積み重ねが信頼につながる。
だからこそ、モチベーションの有無に関係なく、やるべきことはやるべきだ。
「モチベーションが上がらないからパフォーマンスが上がらない。」
当時の私は、チームメンバーから言われたその言葉をどこか「甘え」だと受け止めていました。
平均点までは責任感で乗り越えられる。モチベーションは、それ以上の成果を出すために必要なオプション。
本気でそう思っていたのです。
「やるべきことはやるべきだ。」
その考えは今でも変わっていません。
ただ、一つだけ、私は大切な順番を間違えていました。
今なら当たり前だと思えるこのことに気づくまで、私はずいぶん遠回りをしました。

私はもともと楽観的な性格です。
「きっと大丈夫。」
「まずはやってみよう。」
そんな言葉で、自分自身を何度も前に進めてきました。
振り返れば、その楽観性には本当に助けられてきました。
新しい仕事にも挑戦できましたし、失敗しても「次がある」と切り替えることができました。
悔しくて崩れそうな時も、「大丈夫!きっとできるようになる!」という言葉が、私自身を支えてくれました。
リーダーになってからも、その楽観性は私の強みだと思っていました。
EQ検査でも、EQコンピテンシーの一つである「楽観性の発揮」は高いスコアでした。
だから私は、「やっぱり自分の強みなんだ」と素直に思っていました。
そして、一緒に働くメンバーにも、何度もこう伝えていました。
「大丈夫。○○さんならできるよ。」
私にとってその言葉は、信頼であり、期待でした。
「あなたなら任せられる。」
「あなたの力を信じている。」
そんな思いを込めていました。
そして、その言葉を悪気なく、むしろ相手を鼓舞する言葉だと信じて、何度も伝え続けていました。
今振り返ると、それが私の日常になっていたのだと思います。
ところが、ある日、人づてに耳にした言葉がありました。
「福盛さんと働くのは、つらい。」
その言葉は、今でも心に残っています。
もちろん、その言葉の本当の意味は本人にしか分かりません。
だから、ここから先は私の推測でしかありません。
でも今振り返ると、こういうことだったのかもしれないと思っています。
私は信頼と期待を伝えているつもりでした。
でも相手は、不安なまま置いていかれたように感じていたのかもしれません。
私から「大丈夫」と言われるたびに、
「私は全然大丈夫じゃない。」
「私の不安には興味を示してもらえない。」
そんな思いを抱かせていたのかもしれません。
そして、私が良かれと思って掛け続けていた言葉が、少しずつ相手の心に重荷として積み重なってしまったのかもしれません。
今思うと、もしあのとき本人が直接その思いを私に伝えてくれていたとしても、私はきっと同じことを言っていたと思います。
「大丈夫。」
「ちょっとハードル高かったかな、次から私も気を付けるね。」
「でも、あなたなら何とかなると思っているから任せているんだ。」
私は、励ましているつもりで、笑顔でその言葉を伝えていたと思います。
だからこそ、私は自分のこの失敗を忘れてはいけないと思っています。

Six SecondsのEQモデルには、「楽観性の発揮」というコンピテンシーがあります。
私は長い間、「楽観性が高いこと」が自分の強みだと思っていました。
でも今は少し違います。
高いことと、うまく発揮できることは違う。
EQの能力は、高ければ高いほど良いというものではなく、「どう発揮するか」が大切なのだと思うようになりました。
私は、楽観性が高かったからこそ、自分を前へ進めることができました。
一方で、その楽観性は、相手の不安や戸惑いを軽く見てしまう危うさも持っていました。
よく切れる包丁が、料理をするときには頼もしい道具になり、使い方を誤れば誰かを傷つけてしまうように。
強みもまた、使い方によって、人を勇気づけることもあれば、傷つけてしまうこともあります。
だから私は今、「楽観性が高いこと」よりも、「楽観性をどう発揮するか」を大切にしたいと思っています。
私は以前、システムエンジニアとして働いていました。
その経験から、EQを説明するときによく「OS」と「アプリケーション」の話をします。
仕事の知識やスキル、手法はアプリケーションです。
一方で、EQや感情はOSです。
どんなに優れたアプリケーションがあっても、OSがうまく動いていなければ、その力は十分に発揮されません。
「やっても大丈夫」と思える安心感。
「自分ならできそう」という感覚。
そして、「やってみよう」と思えるモチベーション。(やっとモチベーションに話が戻ってきました)
その土台が整って初めて、人は一歩を踏み出すことができます。
私は以前、モチベーションはオプションで、結果の質をさらに良いものや早くするためのアプリケーションだと思っていました。
でも今は違います。
今でも、「やるべきことはやるべきだ」という考えは変わりません。
でもその前に、私はこう問い掛けるようになりました。
「今、相手はどんな気持ちなんだろう。」
「私の『大丈夫』は、本当に相手を支える言葉になっているだろうか。」
「相手のモチベーションと向き合えているだろうか?」

私の屋号は「コノテ・アノテ」といいます。
「コノテ」は、私の手。
「アノテ」は、私一人では思いつかなかった可能性です。
以前の私は、「この手」だけで何とかしようとしていました。
自分の経験。
自分の成功体験。
自分の楽観性。
でも今は、「あの手」があることを信じたいと思っています。
相手の中にある可能性。
一緒に考えることで見えてくる方法。
自分一人では思いつかなかった新しい選択肢。
人と関わることで生まれる可能性。
「その可能性は、きっとある。」
それが今の私にとっての楽観性で、モチベーションの源泉でもあります。
EQは資格でもなく、スキルやテクニックでもありません。
EQは、私たち一人ひとりが本来持っている大切な能力です。
学び始めた頃よりも、今の方がそのことを強く感じています。
だからこそ、一度学んで終わるものではありません。
私自身も、これから先きっと、また失敗するのだと思います。
それでも、その失敗から目をそらさず、自分の感情と向き合い、相手の感情を理解しようと努力し続けたいと思っています。
EQを学んだからこそ、自分はまだ変わり続けなければならないことに気づきました。
これからも、「この手」だけに頼るのではなく、「あの手」も信じながらEQを学び続ける、一人の実践者でありたいと思っています。
コノテ・アノテ 福盛 二郎
EQを学びたい方へ
Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。
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