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キャリアは自分のことでもあるが、買い手の都合もある

by : マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社|竹内上人  | 

2023年6月20日 | 

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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。
大学での最終講義では、この4ケ月間ほどで学んだことの理解度試験と課題の提出で終わる。私が担当するある大学の留学生向けの日本的経営とキャリアについてシンクロさせた講座では、留学生にとって日本での雇用機会をどう実現すべきかの講座構成としている。毎回不思議なことに、「日本的経営を学ぶ 留学生の為のキャリア設計」というタイトルの講義にも関わらず受講者の幾人かの日本人学生も受講する。

変化しつつある日本の雇用市場や就労環境であっても、根強く残る日本的な人事管理思想や労働慣行をできるだけ正しく、リアルな視点で学生に伝えつつも、彼らの緊急の課題である選考プロセスでの対処方法のテクニックやその準備の仕方について解きほぐす。リアルなテクニックの話題に素直に反応する学生の表情が、話し手としても興味深いし、実務家として大学で貢献する私の大切な役割かとも思う。

企業人事の視点で知りたいのは、留学生がなぜ日本で学ぼうと思ったのか、どうして、日本国内で事業展開をしている会社に自分のキャリアを委ねようと考えているのか、将来的にどのようなキャリアを想い描いているのか、日本の雇用慣行をどう捉えて自分はどこまで折り合いがつけられて、どこで許容度を超えてしまうのか、そうした人間的な率直な側面を知りたいのである。そして、雇用側の留学生に対する短期の離職を危惧する心情も日本の人材管理の仕組みから理解してもらおうと試みる。

講座では、学生が具体的な企業を選択する時のプロセスでは出来る限り合理的に絞り込みできるように支援する。企業が抱えている現在及び将来の事業戦略の方向性と自身が持つ経験や見識、学んだ領域、そして自分自身の将来キャリアとの一致性をきちんとストーリーとして描きあげることができれば留学生にとっても長期的な視点でのキャリアを確信できる。

このことは留学生に限ったことではなく、転職を試みる経験豊富な方々にも当てはまる。自身の希望や都合を優先し、チャレンジしようとする企業の置かれた環境や長期的なプランに関しての視点が欠落したまま一方的な押し売りのような思いで選考面談に挑まれるケースが多々ある。組織内での昇進も同様である。キャリアを考える時には自分の強みや想い、個人的な都合も大切なのであるが、相手の視点に立って考えることも同じくらい重要なのだ。最近、キャリアの講話を依頼されると、キャリア設計の三原則の話をする。

「キャリアは取引であること」
「キャリアを買い手の視点で考えること」
「キャリアは個人戦ではなく総力戦であること」

自分の感情に目が行きがちだが、感情を受信する能力は相手との対話の中で熟成していく。どうか、相手の感情に注意を払い、理解しようとする努力を続けてほしい。そうすれば感情の読解能力が飛躍的に高まるのだと思う。

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EQプラクティショナー・SEI EQアセッサー
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竹内 上人
マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社

人事の実務屋として、現場視点にたちながら、働き方の環境を組織それぞれの歴史的な背景や環境条件に応じ、合意と納得のプロセスを通じて、調和・最適化する試みに取り組んでいます