授業開始前の5つのSELチェックインアクティビティ
by : シックスセカンズ米国本部(シックスセカンズジャパン編集) |
2023年7月18日 |
SEL(Social & Emotional Learning)とは、社会的・情動的学習と呼ばれ、教育現場や家庭で行われるEQ教育といえます。
SELは子どもが、
・前向きな目標を自ら設定し向かっていく
・人の気持ちを理解し、共感を示す(適切な対応をとる)
・良好な人間関係を築き、維持し、修復する
・責任ある決断をする
といった行動において必要な知識・態度・スキルを習得し、効果的に活用するためのプロセスと言えます。
社会的・情動的学習(SEL)とは、子どもや大人のEQを育み、実践するためのプロセスです。
SELとは、特定の「プログラム」や「カリキュラム」を指すわけではありません。
すべての学びのためのベースとなるものであり、自分自身や「人間」について学ぶためのプロセスです。
今回は、学校や家庭でできる簡単なSELアクティビティについて紹介します。
SELとは?詳細>>
授業開始前の5つのチェックインアクティビティ
ソーシャル・エモーショナル・ラーニング(以下「SEL」という。)は、学生の学業成績や人生の成功に不可欠ですが、ほとんどの教職員はSELを行う時間がないと感じています。
本記事では、SELの土壌を育むために、実践しやすい5つの簡単で効果的な手法を紹介します。
1人も手が挙がらない
毎年、SELの授業を開始する学年では、必ずこの質問から始まります。
「皆さん、これまでに、自分の感情について理解を深めたり、意図的に感情を活用する方法について、授業を受けたことがありますか?」
もちろん、誰も手を挙げません。
SELが学業成績や人生の成功に不可欠であるという十分な証拠が揃っている現在においても、保育・幼稚園から大学までSELを経験する機会がないのです。
今回紹介する「EQチェックイン(あるいは感情のチェックイン)」は、SELの最も簡単で効果的な方法です。
まずは、EQチェックインとは何か、なぜ重要なのかを紹介してから、実践的な5つのEQチェックインアクティビティを紹介します。
EQチェックインとは?
EQチェックインとは、自分の感情に意識を向け、今ここを感じ、その感情について探索し、あるがままの自分やその感情を受け入れるためのプロセスです。
これを繰り返すことで、感情の認識、言語化、探索が習慣化され、子供たちが自分の感情を、情報や資源として有効活用できるようになります。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のミシェル・クラスク博士らの研究によると、感情を認識するという単純な行為は、悲劇的な状況において、落ち着きをもたらし、私たちが感じる感情的な苦しさを低減させ、混沌した気分からの解放を促すことができます。
感情のラベリング(感情に名前をつけること)を行うことで、自分の感情(気持ち)を上手に扱うことができるようになります。
イライラしていれば「今、自分はイライラしている」という具合です。
感情・気持ちの名前を声に出すことや、心の中で叫ぶだけで、感情に振り回されることが減り、子どもたちは感情的でなく、冷静に意図的な選択肢を考え前に進むことができるようになります。
このような理由から、EQチェックインというシンプルなものが、保育園・幼稚園から大学までの全ての教室で実践され、子どもたちが、このプロセスの経験を積み重ねていくことが大切です。
EQチェックインは、自分自身や他者の感情を認識することを学び、感情について経験を積み、他者と強い関係を築く練習の機会へとつながっていきます。
そして、大切なことは、このチェックインをする行為が、授業全体にプラス効果をもたらすということです。
授業の開始時に少しの時間を設けることで、学生たちの全体的な学習とパフォーマンスに大きなプラスとなります。
授業開始前の5つの実用的なチェックイン・アクティビティ
1:自分の感情を特定しよう
子供たちが自分の感情を認識し特定しやすいように、感情の種類が記載されたリストや、プルチックモデルを使用します。感情のリストやプルチックモデルをクラスに掲示したり、全員にコピーを配るのが良いでしょう。
次に、感情のリストやプルチックモデルを見ながら、今の感情(気持ち)に名前をつけ、近くの人とお互いに共有するように依頼します。そして、互いに次の質問をするワークを行ってもらいます。
(対象年齢やSEL学習レベルに応じて用意する感情語を変えても良いでしょう)
– なぜそれらの感情が湧いてきているのでしょう?
– 他にどんな感情が感じとれますか?
近くの人と共有ができたら、クラス全体でも何人かに共有してもらいます。
その共有された内容については、正解もなければ、賞賛も否定もする必要はありません。ただ、共有してもらったことに対して、クラス全体で感謝することは大切です。
2:絵文字で表現しよう
多くの子どもは(私たち大人も)、絵文字で感情や心境の表現になれており、楽しいチェックイン方法になると思います。
子供たちが今感じている絵文字を描いたり、共有したりするようにします。そのために、スマホやパソコン等を使用したり、多種の絵文字が並んだシートやカードを事前に用意しておくことも質を高めるでしょう。
シックスセカンズの「イーモーション・フィーリング・カード」もよく使われるツールです。全員が絵文字を選択できたら、数名の学生に、自分が選んだ絵文字と、なぜその絵文字になったのかを共有してもらうようにお願いします。
3:ボディスキャン瞑想
瞑想やマインドフルネスを取り入れると、落ち着きと集中力をもたらし、子供たちのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。アプリや動画を用いると、とても簡単にボディスキャンを行うことができます。
ボディスキャン瞑想は、扁桃体の活性を鎮め、自律神経を整え、身体感覚を研ぎ澄ませることで、感情や反応に対する注意力をより高めることができるようになります。
4:名言ギャラリー鑑賞
教室の壁のいたるところに、世界中の名言・格言をいくつか掲示します。まるで美術館の鑑賞のように、全員が、名言・格言を読みまわります。
子供たちは、共感したり、自分の気持ちに合った名言・格言を選び出します。
選んだ名言・格言について、なぜその名言や格言を選んだのか。感情や気持ちの面も含めてお互いに共有します。
goo辞典(https://dictionary.goo.ne.jp/quote/)などから探してみましょう。他にも多くの紹介サイトがあるので参考にしてみてください。
また、海外では、名言・格言の引用元として、Goodreads(https://www.goodreads.com/quotes)が英語圏ではよく使われるサイトです。
※事前に名言・格言を準備するには、学校や準備担当者の思想や信条、個人的嗜好等が影響しない選定が大切です。
5:私の感情はなんでしょう?
まず、「1:自分の感情を特定しよう」で紹介した方法で、自分がどのように感じているかを子供たちに特定させます。
次に、表情やジェスチャーだけで、自分がどの感情なのか、周囲が当てるというゲームをします。
クラス全体がその学生がどんな感情なのかを推測できるかどうかを確認します。
時短!5つのSELクエスチョン
授業前に時間がない場合は、シンプルなSELクエスチョンを試してみてください。
次の質問は、子供たちがその場で一人でもEQチェックインができる質問の例です。
- 1.今まで出会った中で一番親切だと感じた人は誰ですか?なぜその人は一番なのですか?
- 2.キャンプで使う道具に当てはめると、今日の気分にピッタリなものは何ですか?それはなぜですか?
- 3.冷蔵庫の中にあるもので今の気持ちを表すと、それは何ですか?それはなぜですか?
- 4.今皆さんはチャレンジという名の川を渡ろうとしています。その川の向こう岸にはどんな景色が待っていますか?
- 5.あなたの心の支えは何(誰)ですか?どのように支えになってくれますか?
シックスセカンズ米国本部
(シックスセカンズジャパン編集)
原文:https://www.6seconds.org/2021/03/16/5-sel-check-in-activities/
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Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。
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