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感情リテラシーを高める プルチックの感情の輪

by : Six Secondsパートナー 在オーストラリア Melissa Donaldson  | 

2019年1月28日 | 

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「感情リテラシーを高める」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょう?リテラシーとは最も端的に表現すると「読み書き能力」。感情を適切に認識し、それを情報として参考にして、表現をすること、と言えるでしょう。この感情リテラシーを高めるのに、「プルチックの感情の輪」はとても役立ちます。感情リテラシーとは、Six SecondsのEQモデルにおける8つのEQコンピテンシーのひとつ。Know Yourself(知る)という、領域の大切なコンピテンシーです。

Six seconds米国本部公式ウェブサイト2017年4月27日「Plutchik’s Wheel of Emotions – 2017 Update」の日本語翻訳です。
米国Six secondsウェブサイトでプルチックモデルについて学ぶ≫

感情知能を効果的に実践するためには、しっかりと、微妙なニュアンスも表現できるような、感情を表すボキャブラリーが必要です。Six SecondsではこのスキルをEQの中でも「感情リテラシー」と呼んでいます。EQスキルの中でも特に基礎となるスキルで、感情を認識し、特定し、導いていくのがこのスキルです。ではどうやってこのボキャブラリーを増やしましょう?心理学者ロバート・プルチックの感情の輪が、おすすめです。使い方も含めてご紹介していきます。

Six Seconds米国本部CEOのJosh Freedmanの人気の著書「“At the Heart of Leadership: How To Get Results with Emotional Intelligence”」によると、ロバート・プルチックの3つの層から成るこのモデルは、感情の種類だけでなく、感情がいかに複雑に相互に関係しあい変化をしていくか、という感情同士の関係も表している、非常に参考になるモデルです。では、それぞれの色や花びらは、どんな意味を持っているでしょう?

 

プルチック・モデルとは

基本感情
まず、8つの花びらはそれぞれ、8つの基本感情を表しています。怒り、恐れ、期待、驚き、喜び、悲しみ、信頼、嫌悪です。

感情の強さ
花びらの3層はそれぞれの感情の強度を表しています。感情の強さは外側から花びらの中央に向かって強くなります。例えば、怠惰という感情の場合、嫌悪という感情まで強くなってゆくということです。感情同士の関係性について認識するのも大切です。弱い感情の段階で気づいておかなければ、感情は容易に強さを増します。ここが、感情のボキャブラリーを高めるポイントです。これこそが感情リテラシーであり、感情を効果的に導いていくため( EQコンピテンシー: 感情のナビゲート)の基盤となります。

感情同士の関係性
それぞれの花びらの反対側は、反対の感情を表しています。悲しみの反対は喜び、信頼の反対は嫌悪と言った具合です。
では、期待(予期)の反対は何でしょう?いろんな意味がありそうですね。
花びらと花びらの間に位置する色の付いていない感情語は、二つの基礎感情の交わった感情を表しています。予期と喜びで楽観、喜びと信頼で愛、ということです。
感情は複雑で、なにかの感情を抱いている時に、その感情を因数分解して、合わさっているいくつかの感情までも認識できると、より役立つスキルとなります。

以上が心理学者ロバートプルチックの感情の輪の基礎的な解説です。

 

「感情リテラシーが高い」とはどういうこと?

プルチック・モデルはより広い視野で私たちの感情に目を向けるのを手伝ってくれます。「感情リテラシーを高める」とは、感情を表現する言葉を知っている、というだけでなく、異なる感情がいかに相互に関係しあっていて、いかに変化を重ねるか、ということを理解する、ということです。
2001年に発行されたAmerican Scientistで発表されたロバート・プルチックによる感情の輪の原文での解説は、現在 Springer International Publishing AG. で読むことができます。
EQコーチ EQカウンセラー EQコンサルタント

私がこの記事を書こうと思ったきっかけは、先週オーストラリア・ブリスベンで開催された「幸福とその原因」というScience of the Mind Forum(心の科学フォーラム)に参加するという素晴らしい機会でした。カンファレンスの中で、ダライ・ラマ法王と、感情と表情に関する先駆的な研究を行ったアメリカの心理学者で20世紀の傑出した心理学者100人に選ばれたポール・エクマン氏、ミラー・ニューロン研究のパイオニア マルコ・イアコボーニ博士、若者の精神疾患の予防・治療の権威パトリック・マクゴリー博士の対話を聴くことができました。この4名が交わす対話で私が何よりもハッとさせられたのは、4名の間の瞬間的な繋がりと、お互いの怒りや思いやり、共感などの感情について共有し合い、お互いから学ぼうとする、彼らの強い好奇心でした。私がこの対話を聴いてキーだと感じたのは3つです。

  • 私たちの心を邪魔する感情のほとんどは、そもそも誤った認識を持っているということ ― 見た目と現実の間にはギャップがあるということ
  • 間違った認識に対する特効薬は、思いやりであるということ ― 真のお世話や配慮をするために、私たちが見ていること、思っていること、実際に起こっていることとの間のギャップを埋めるのは、いつもこの場所からということ
  • 私たちの共感力とは本当に不思議なものだということ ― ダライ・ラマ法王はミラー・ニューロンについてご存知だということ!

全体で2000人以上が参加していたフォーラムでしたが、カンファレンスの残りの時間、Six Secondsのブースでは参加者同士でのやりとりが行われていました。Six SecondsのEQモデルの持つ力や、感情のルール(プルチック・モデルにもたくさんの興味深いことがありました)について話し合ったり、クイーンランドとブリスベンで起こった洪水災害の際の、現地の人々の寛容さのストーリーを聴いて心を打たれたり。私はこれからも、私がこの日に聴いたような心動かされるような素敵な会話やストーリーを、これからも引き続き伝えていこうと思います。

Six Secondsパートナー
在オーストラリア Melissa Donaldson

訳者:COLORES 廻田彩夏

編集:シックスセカンズジャパン

 

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