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SEL(Social and Emotional Learning:社会的・情動的学習)とは?

by : Six Seconds米国本部  | 

2021年11月25日 | 

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SEL(Social & Emotional Learning)とは、社会的・情動的学習と呼ばれ、教育現場や家庭で行われるEQ教育といえます。
SELは子どもが、

・自分の感情を認識し上手に調整する
・前向きな目標を自ら設定し向かっていく
・人の気持ちを理解し、共感を示す(適切な対応をとる)
・良好な人間関係を築き、維持し、修復する
・責任ある決断をする

といった行動において必要な知識・態度・スキルを習得し、効果的に活用するためのプロセスと言えます。

社会的・情動的学習(SEL)とは、子どもや大人のEQを育み、実践するためのプロセスです。SELとは、特定の「プログラム」や「カリキュラム」を指すわけではありません。すべての学びのためのベースとなるものであり、自分自身や「人間」について学ぶためのプロセスです。

 

それらの態度やスキルを身に着けるために、シックスセカンズではEQ3つの探求領域に沿って学習を進めます。

・自己認識(知る:Know Yourself)

・自己管理(選ぶ:Choose Yourself)

・自己方向付け(活かす:Give Yourself)

 

そしてシックスセカンズの前身である「ヌエバスクール」から始まり、教育現場や家庭で効果的にEQを育むためのプログラムが、シックスセカンズSELプログラム「セルフサイエンス」です。

SELにおけるシックスセカンズの歩み≫
シックスセカンズSELプログラム「セルフサイエンス」≫

なぜSELが重要なのか?

今日、社会的・情動的学習はさらに需要を増しています。 子供たちが学校で成功するためには、社会的、情動的、精神的に大きな障害に直面しているという調査結果があります。

米国では、10代の若者の21%が学校でいじめられた経験があると報告しています。10代の若者の10.4%が付き合っているパートナーに傷つけられたと報告しており、17%の生徒が真剣に自殺を考えたことがあると答えています(CDC, 2013 Youth Risk Factors)。日本での調査によると、暴力を伴ういじめを経験した小・中学生は20%前後、暴力を伴わないいじめだと40%前後とも言われています(参考:文部科学省国立教育政策研究所, 2021, いじめ追跡調査2016-2018

これらの問題に加えて、さらに状況を悪化させるのが、家庭内の対立、仲間からのプレッシャー、成績へのプレッシャー、過密スケジュール、そしてコロナ禍における様々な制限や分断などによる子供時代のストレスの問題です。このようなストレスは、現在の学習に影響を与えるだけでなく、ストレスに伴うコルチゾールの高値が持続すると、学習と記憶をつかさどる脳の領域である海馬にダメージを与えます。このような認知機能の低下は、大人になってからも続く可能性があります(Childhood Stress and Development, CDC, 2008)。

多くのSELプログラムの目的は、自己認識、自己管理、他者認識、人間関係の構築、責任ある意思決定のスキルを促進し、生徒の学校コミュニティ、家庭、地域社会や世界との良好な関係を構築することにあります。

シックスセカンズでは、子供達が自分らしい日常や人生を創造していくための5つの重要な要素を特定し、それらの5つの要素を「ライフバロメーター」と名付けました。

ライフバロメーター

1.健康:心身共に健康的に毎日を過ごすことができる。

2.自己効力感:目標を達成するために必要な能力に対する自信を持つことができる。

3.友人関係の質:建設的で相互に尊重し合える友人関係を築くことができる。

4.アチーブメント:勤勉に物事に取り組み、学業や日々の目標を一貫して達成できる。

5.人生の満足度:日々の出来事や経験を前向きに捉え、安定感や満足感を感じることができる。

 

13,776人の学生を対象としたこのグローバルサンプルでは、「ライフバロメーター」の変動の53%がEQスコアによって予測できることがわかりました。
(出典:A Case for Emotional Intelligence in our Schools 2016 – www.6seconds.org/case

SEL/EQは、子供たちの学業や自身の目標に向かう姿勢を支え、大人と子供、仲間同士の関係を良好に保ち、問題行動やストレスを減少させることで学業成績を高める効果が期待できます。SELプログラムを効果的に実施することで、学校は、子どもたち(と彼らをサポートする大人)が意欲的に、好奇心を持って、安全に、個人的にも学業的にも成長できる場所に変わるのです。

シックスセカンズは、教育者が学校や組織の文化や構造を統合し、カスタマイズされた、生きたSELプログラムを作成することを支援します。SELを行っている学校では、衝突、喧嘩、暴力、校長室への出入りが少なく、学業成績も高いという調査結果が出ています。シックスセカンズは、SELへの理解と実践を深めるための研究に力を入れています。いくつかの研究、調査について知りたい方はこちら(米国サイト)≫

どのようにSELを実施すれば良いのか?

シックスセカンズでは、教育者がまず積極的にEQについて学び,自ら実践し,子どもや保護者などをサポートすることがとても重要であると考えます。教員や学校関係者がEQについて学び、実践することから始め、徐々にクラスや家庭での実践のサポートへと広げ、EQを育む学校の風土を形成していきます。そのために包括的なSELアプローチには、学校コミュニティの全員が社会的・情動的スキルを身につけることが必要不可欠なのです。

詳しい方法については、2022年春より開始予定のEQエデュケーターコースで学ぶことができます。さぁ、まずは皆さん自身がEQの扉を開くところから始めましょう。

EQの扉を開く基礎講座Unlocking EQ≫

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Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。

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