リーダーを育成せよ|#EQリーダーシップ 第1話
by : 6SJ代表 田辺 康広 |
2018年6月1日 |
本日より複数回にわたり、代表田辺よりEQリーダーシップをテーマに執筆してまいります。
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リーダーは育成可能か
大学時代は労務管理をテーマにしているゼミに入っていました。客室乗務員の教官をめざしていた自分が選んだテーマは「リーダーは育成可能か?」でした。選んだ理由は面接でのネタになるかな、という浅はかな考えがあったに違いありません。
論法は”蛙の子は蛙”にこだわりたくて、「リーダーの素養は先天(遺伝的)気質で決まる」というテーマでいろいろ調べ論陣を張りました。歴史上のリーダーの父親のほとんどがリーダーのポジションにいた。だから、遺伝的な要素が大きいのです。ギリシャ時代のリーダーまで引合いにだし無理やり自説を通そうとしました。
発表後の指導教官である大東英祐先生からは一言。
「君、それでは企業は成り立たないよ。もう少し勉強をつづけたらどうだ。」
私の頭によぎったのは、
「え~、まだ勉強するの。それより、早く社会に出て教官になりたいんだも~ん。」
大東先生は私の考えを見透かしたかのように、言いました。
「では、社会人になってもリーダーシップに関する本、特に固い表紙の本を一日30分だけ読むようにしたらどうだ」
私の頭の中は、
「え~、面倒だな。でもなんとなくこれでテーマを終わりにしたくないな。」
という二律背反の考えがめぐっていました。
それから3か月後に、航空会社のとある支店で営業スタッフとなっていました。
着任から1週間がたち、独身寮の個室も片付きました。部屋の中には作り付けの書棚がありました。
もちろん何も入っていません。その書棚を前に大東先生の「勉強をつづけたらどうだ」が頭の中を巡りました。
「よし、これからビジネスの世界でたくさんのリーダーに会う機会がある。
ついては、インタービューしてみよう。その方が本を読むより楽に違いない。」
と考え、それから6年間、 英国航空の英国人極東支社長、パンアメリカン航空の営業部長、全国規模の大手旅行代理店の支店長、地域では著名な大規模文具店の創業者といろいろなリーダー職に出会うと「なぜリーダー職になれたのですか?」と訊き続けました。
なぜリーダー職になれたのですか?
返ってくる答えは共通していました。
「わからない」です。
私は「え~、わからない。」「え~、なぜわからないの」と驚くばかりでした。
でも、振り返ってみると、みなこんな若造に心の内を見せてくれる自己開示力(オープンネス)の高く、なおかつ”この人のようになりたい”と感じさせる魅力的な人ばかりでした。
28歳の時に社内移動があり、地方支店から霞が関ビルに居を構える本社に移動になりました。航空機を調達交渉する部門でした。
個々でも米国や欧州から来られるボーイングやエアバスの交渉官、GEの日本代表などに同じような質問をぶつけてみました。
でも答えは同じ。「わからない」です。でもオープンで魅力的は変わりませんでした。
2年が経った頃に大学院で勉強をし直す機会を会社から頂きました。
もちろん選んだテーマはリーダーに関してです。
国際比較を推奨する大学院なので
「企業内におけるリーダーシップトレーニングの必要要件とは、日米比較から見えてくるもの」
としました。
社会人の体験も踏まえてこのような研究をすると大学の時の視点とはまた違ってくることを体感しました。
長くなりそうなので少し端折りますが、研究を続けるとわかってきたことがありました。
『リーダーはフォロワーが決定する』
『企業内のリーダーポジションは役割である』
『役割遂行に必要なものは知識やスキルだけではなく、
フォロワーが魅力的と感じるものを持っていることである』
リーダーを馬車を操る御者に例えている書物(日本)もありました。
馬も人を見る。だから、馬の気持ちを操るレベルでの術が大切になるのだ、と。
つまり、馬にもこの人に操られたい、と思われることが大切だということです。
私なりに解釈すると『馬は御者の指示に従って当たり前という意識で操るのではなく、ともに馬車を安全に、効率的に前に勧めようという気持ちで操ることだ。』となりました。
海外では百貨店の経営者として知られるゴードン・セルフリッジの「BOSSとLEADERの違い」の解説で同じことが述べられていました。
世界中を回り、出会ったのはいつも「オープン」で「魅力的」なリーダー
2年間の学校生活はあっという間に終わりを告げました。
勉強の続きはまた社会人になって続けることになりました。
それからも同じテーマで質問を続けました。
ジュネーブで行われる国際会議の担当になり、世界のチェアマン(議長)の仕事ぶりを観察する機会にも恵まれました。
米国西海岸ロサンゼルス支店に赴任となり、西海岸で活躍するリーダー職の皆様とも触れる機会を得ました。
一貫していたのはここでも「オープン」で「魅力的」であることでした。
そうなると『魅力的と思わせるなリーダーとなるためには何が必要なのだろう』という好奇心になります。
リーダー職の仕事の傍ら「魅力」について思いを巡らせ始めました。
「今回はこのあたりでよかろーもん」(NHK大河ドラマ「西郷どん」のエンディング)
次回は
第2話「”魅力的なリーダー”となるための要素は何だろう」
です。お楽しみに。
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