変革期にチームを導くEQマネジメント “感情”を見える化し、組織変革を前進させる
by : Joshua Freedman, Six Seconds Global |
2026年5月18日 |
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市場環境の変化、組織再編、方針転換、働き方の変化。企業を取り巻く環境が大きく揺れ動く今、多くの組織で「変革」が日常になっています。変革を推進しながら、同時にメンバーを支えていくために、リーダーには何が求められるのでしょうか。
理想を言えば、リーダーは未来への明確なビジョンを描きながら、チームを次の成長段階へ導いていく存在です。しかし現実は「変革をリードしている」というより、「変化に振り回されている 」と感じているリーダーも少なくありません。もしリーダー自身が変化によるプレッシャーや不安を感じているとしたら、メンバーはさらに大きな負荷を抱えている可能性があります。
変革期のリーダーは、自身も不安や負荷を抱えながら、同時にチームを支え、成果への期待にも応えなければなりません。変革を推進する立場には、大きなエネルギーと責任が求められます。
本記事では、EQ(感情知能)の視点から、変革期を乗り越えるチームづくりの実践ポイントを解説します。
By Joshua Freedman, MCC
チームの「バイタルサイン」を把握する
病院では、診察の前に必ずバイタルサインを確認します。
脈拍、血圧、体温などを測ることで、今どこに問題があるのかを把握するためです。
同じように、チームにも“状態を測る指標”があります。
Six Seconds の「Team Vital Signs」は、チームの状態を5つの観点から整理するアプローチです。
モチベーションは、困難を乗り越えたり、目標を追い続けるためのエネルギー源です。
今、あなたのチームにはどれほどのエネルギーがあるでしょうか。
メンバーは仕事に来るとき、活力やワクワク感を持っていますか?
それとも、足取りが重く、目の下にクマを作って出社しているでしょうか。
チームワークとは、共通の目標に向かって協働する力です。
そこには、共通の目的意識と「自分はこのチームの一員だ」という感覚が必要です。
あなたのチームのメンバーは、お互いに支え合う仲間だと感じているでしょうか。
それとも、「たまたま同じ部署で働いている人たち」という感覚に近いでしょうか。
実践・行動とは、戦略を実行し、成果につなげる力です。
メンバーは、優先順位を決め、効率的に仕事を進め、結果を出すための仕組みや構造があると感じていますか?
それとも、忙しいけれど実際には前に進んでいない状態でしょうか。
変化対応とは、環境の変化に対して柔軟に対応し、進化していく力です。
チームは新しい取り組みに対して前向きで、よりよい状態に飛び込む柔軟さを持っているでしょうか。
それとも、「これまで通り」に固執して、変化への納得感や心理的安全性が少ないでしょうか。
信頼とは、自信・安心・確信から生まれる感覚であり、挑戦する勇気を生み、他のすべての要素の土台となります。
信頼がある組織では、以下の状態が重なることで、チームは変革を乗り越える力を持てるようになります。
・率直な対話ができる
・助け合いが起こる
・挑戦が生まれる
・失敗から学べる
反対に、信頼が低下すると、小さな誤解や不満が積み重なり、やがて組織全体の停滞につながります。 変革期ほど、「信頼」は成果に直結する経営資源になるのです。
Vital Signs モデルでチーム状態を読み解く
これら5つの要素は、「Vital Signs モデル」として整理されています。このモデルには、次の2つの軸があります。

横軸(左 → 右):人の視点
左:人(個人)
右:組織(システム)
縦軸(上 → 下):フォーカス
上:戦略(長期視点)
下:遂行(短期視点)
この視点を持つことで、チームの状態をより立体的に理解できるようになります。
チームの活力を高めるためのアプローチ
5つの要素を評価したら、優先順位を考えてみましょう。信頼以外の4つの要素の中で、最も低いものに注目してください。その位置によって、取るべきアクションが見えてきます。
個人や関係性に課題がある場合、一人ひとりとの関わりや人間関係に、より丁寧に目を向ける必要があります。
例えば次のような関わりが役立ちます。
・メンバーとランチに行く
・丁寧に話を聴く
・個別にメッセージを書く
・感情や意見を表現できる場をつくる
仕組みや関係性に課題がある場合、チーム全体のシステムやつながりに目を向けます。
例えば次のような点を整えます。
・情報共有のプロセス
・優先順位の明確化
・進捗の可視化
・フィードバックの強化
ビジョンや目的、「なぜそれをするのか」にエネルギーを注ぎます。
・変革を組織の目標と結びつける。
・日々の仕事と長期成果のつながりを実感させる。
日々の業務にフォーカスを当てます。
「誰が、何を、いつまでに行うのか」を明確にするために、特に以下の点を整理することが重要です。
・役割
・責任
・タスク
・成果物
個人責任とチーム責任、その両方を明確にしていきましょう。
チーム変革の中心にある「信頼」
Vital Signs モデルを見ると、中心にあるのが「信頼」です。信頼は、すべてを機能させる基盤です。
信頼があると、
・モチベーションが高まる
・変革に向けた挑戦が可能になる
・チームワークが強化される
・実行力が向上する
つまり、信頼はチームのあらゆる力を引き出す、根っこの部分なのです。
信頼に関する神経科学の研究も進んでおり、研究者ポール・ザックは、信頼が経済的価値にも大きく影響することを示しています。
困難な変革期に向き合うチームにとって、信頼は「空気」と同じくらい重要です。
順調な時期なら見逃されるような小さな信頼の亀裂も、困難な時期には大きな問題になります。
なぜなら、人は不安な状況ほど、より敏感に、より批判的に、より恐れを感じやすくなるからです。もしチームが信頼を感じられていなければ、その変革プロセスは失敗します。
「許していること」は、やがて文化になる
変革期には、組織の空気が敏感になります。
ルールを守らない人、責任を果たさない人。そうした行動をリーダーが見過ごしていると、チームはこう受け取ります。「この行動は、許されているんだ。」リーダーが放置してしまう理由はさまざまです。「対立するのは面倒だから」「人事の手続きが大変だから」「今日はその時間がないから」どれも理解できる理由ですが、その積み重ねがやがて組織文化として定着していきます。
変革期は「本音の対話」の機会でもあります。そこでリーダーに求められるのは、厳しさではなく「誠実な対話」相手を責めるのではなく、尊重しながら率直に向き合う姿勢です。
具体的には、以下のような内容をメンバーに率直に伝えることが大切です。
・今、組織は大きな変化の中にあること
・そのために全員の協力が必要なこと
・よりよい状態に向けて一緒に改善したいこと
個人を責めるのではなく、「共通の目的」に焦点を当てながら率直に向き合うことが重要です。それが、信頼を壊さずに変化を進めるコミュニケーションです。
信頼は「説明」ではなく「体験」で生まれる
信頼は、変革期のチームにとって「空気」と同じくらい重要なものです。しかし、信頼についてあまり理解されていないことがあります。それは、信頼とは”説明されるもの”ではなく、”実際に感じるもの”だということです。 信頼は、人が安心して前に進むために必要な感情であり、愛情や尊重、安心感とも深く結びついています。だからこそ、信頼を論理だけで築こうとしてはいけません。
もしメンバーが信頼を感じられていないのであれば、事実や正論だけでは人は動きません。
必要なのは、「このチームはお互いを支え合っている」「リーダーも仲間も本気で向き合っている」と体験として感じられることです。そして何より、その安心感を“実感できること”が重要なのです。そうした信頼の積み重ねがあってこそ、チームは変革を単なる混乱ではなく、成長と進化の機会として受け取る機会になります。
変革期において、チームの状態を正しく把握し、信頼を土台に組織を整えていくことは、これまで以上に重要になっています。
今、あなたのチームの「バイタルサイン」はどのような状態でしょうか。そして、そこにどんな働きかけが必要なのでしょうか。
原文:Leading Your Team Through Change
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シックスセカンズの共同設立者であり、現CEO。ICF認定「マスターコーチ」であり、著書である「At the Heart of Leadership」は世界的ベストセラーとなっている。「思いやり」と「目的意識」の交わりによって発火する炎に情熱を注ぐ。
私がEQに情熱を注ぐ理由は…人が自分の感情の重要性に気づく瞬間があり…私たちには感情、思考、行動についての選択権があることを伝えたい…そして、自由、オーセンティシティ、目的の輝きを共に喜びたいから。
EQを知る、EQを実践する
Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。




