真の共感的理解と対応を生むEQのちから
by : 6SJ 須澤 知史 |
2017年7月15日 |
4月よりシックスセカンズジャパンに加わりました須澤知史と申します。
この記事では私のエピソードとEQについてのヒントをお届けいたします。
心の状態は伝わっている
以前スポーツインストラクターとしてお年寄りに運動を教えていた時の話です。
運動が終わって休憩の時間に、参加者同士がお話をはじめ、私もその輪のなかで話を聞いていました。
ある一人の方が昨日に起こった出来事について話していて、
私は笑顔をつくり、相槌をうちながらも
「次の運動プログラムはどうしようか」ということを頭で少し考えていました。
すると話していた方から、
「こんな年寄りの話に、若い子は興味ないわよねぇ」
と突然言われてしまいました。
私の顔が興味なさそうな顔をしていたというのです。
別の考え事をしながら話を聞いていたことを見透かされてしまったのです。
身体を向けて、笑顔をつくり、相槌をしているだけでは「聴く」ことにはならないということを、
恥ずかしながらこの出来事から教えられたのでした。
表情と感情
表情筋というのは感情と強く結びついていて、感情によって無意識に表出されてしまいます。
ポール・エクマンはその表情の特徴から
驚き、喜び、怒り、恐れ、嫌悪、悲しみという「基本情動」を導き出しました。
それぞれの感情は特徴的な表情があり、人類が共通して持つものです。
そしてそれらの表情を鋭く読み取る能力も人類に共通して備わっています。
メラビアンの法則として有名な
「人間は表情やジェスチャーから得る情報の割合が極めて高い」のも、
その能力が、「恐怖」や「嫌悪」の表情から危険を察知したり、
「愛情」や「受容」の表情が種族間の結束を高めたりとヒトの生存において必要不可欠だったからです。
表情と感情は密接なつながりがあるのです。
表面的なHOWを備えるだけでは足りない
今回の私のエピソードでも、表情は
*意識的に作れたとしても、違和感を感じ見透かされてしまう
ということがわかります。
興味はあるか、受容されているか、信用できそうかなど
人間は微妙な表情の変化でさえ瞬間的に読み取り、感じ取ります。
皆様もこういったご経験があるのではないでしょうか。
「目は口ほどにものをいう」
古人はそういったこともよく知っていたということですね。
つまり必要なことは、
「正しい表情」「正しい相槌の仕方」たるものを表面的に備えるのではなく、
興味や注意をその人やその人の感情にしっかりと向ける。
さらに「受容」や「共感」の感情を抱いて接することが重要でした。
それが自然に表情や相槌に現れるのです。
EQを活用して「聴く」
「聴く」ためにはSix SecondsのEQモデルで言う
感情のナビゲート(感情を意図的に活用する力)
共感力の活用(相手と同じ景色を見ようとする力)
の要素が特にキーとなります。
そんなことを心がけるようになって、数か月後、別の方から
「須澤さんは本当によく話を聞いてくれますね」
「こんなに熱心に話を聞いてもらったことはないです。ありがとう」
と言われました。
これは「適切な表情、相槌をしていたから」ではなく
EQを活用して「聴こう」と意図したことが表情や態度全体として現れ、相手に伝わったのだと実感しました。
それから「身体とEQの関係性」が私の研究テーマとなりました。
感情を識別、利用、理解、統制する能力、
すなわちEQの能力は「身体」との関係を知ることでより深まります。
年々、世界的にEQの能力は減少傾向であるとSix Secondsでは明らかにしています。
ストレス社会である現代において、
心身を酷使しすぎて感情の統制や感情の持つエネルギーの活用が難しくなっていることが、
一つの要因として考えられます。
少しでも皆様の「自分らしい日常」を送るためのヒントになれば幸いでございます。
シックスセカンズジャパン
須澤 知史