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最新の脳科学研究に基づいた、イノベーションを加速する実用的な3つの方法

by : Six Seconds本部 Michael Miller  | 

2019年8月27日 | 

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脳の高度なイメージ技術は、イノベーションの神経科学に新たな光を当てました。これまで存在しなかった人間の可能性を発見し、命を吹き込んだと言えるでしょう。

研究者達は、ジャズ・ミュージシャンがメロディーを即興で奏で、詩人がポエムを書き、美術家がスケッチブックのカバーを描くというように、人の脳がイノベーションを起こしている最中の研究してきました。イノベーティブ・シンキング(革新的思考)と関連する脳の部分や回路、経路をマッピングできればという期待を持ちながら。
しかし、その答えは、脳そのものと同じように、非常に複雑です。「イノベーション・シンキングの方法」などと具体的に特定できるようなシンプルなものではありませんが、感情知能EQを活用することで、イノベーティブ・シンキングを一層促進することができる、という洞察が明らかとなりました。

 

米国本部公式ウェブサイト2019年7月9日「Mapping the Innovator’s Brain ~
3 practical ideas to fuel business innovation, based on the latest neuroscience research」の日本語翻訳です。
画像をクリックすると原文記事をお読みいただけます

 

研究結果はどんなものだったでしょう。この研究は現実世界には何をもたらすのでしょう。

 

イノベーティブ・シンキングをしている最中の脳をマッピングする

人々のイノベーション能力は、技術的・文化的進歩には不可欠であり、そしてこの時代においては特に、おそらく生き残るためにも最も重要なことのひとつと言えるでしょう。私たちは第4産業革命に突入しています。
こういった現実があるのにもかかわらず、イノベーティブ・シンキングやクリエイティブ・シンキング(想像的思考)の神経構造は依然、ほとんどが謎のままです。

その謎を解決するために、世界中の研究者チームが最新の脳のイメージング技術を使用して、日常生活の中で使う物についての新しいアイディアを思いついたときの人々の脳をマッピングしました。不完全な方法ではありますが、イノベーティブ・シンキングを測定するのには有用な方法であると言えます。
代替用途テスト、として知られるこのテストでは、その物について、従来的でない、真新しい用途を考えてもらうよう被験者にお題を出します。靴下であれば、たとえば、「足を暖かく保つ」という靴下の最も一般的な使用法は低得点です。一方、靴下を水のろ過に使用する、といった答えは創造的と見なれます。

この調査では163人の参加者がこのテストを実施し、テスト完了後に脳へのの血流を測定するfMRIスキャン(機能的核磁気共鳴画像法)を行いました。その後研究者は、回答のクリエイティビティさと、異なる脳領域間の機能的活動と繋がりについて比較しました。
さて、脳のイノベーティブな領域、とやらは特定できたのでしょうか?

「この部分がイノベーティブ・シンキングをする際に使う領域である」などというような明確な特定は、できませんでした。明らかになったのは、イノベーティブ・シンキングは特定の脳の領域にのみ起因するのではなく、別々の脳の領域(デフォルト・ネットワーク、エグゼクティブ・コントロール・ネットワーク、およびサリエンス・ネットワーク)同士の、例外なまでに強力な繋がりによってもたらされる、ということです。わかりやすい言葉で言えば、イノベーティブ・シンキングは、普段お互いを無視または排除し合っている脳の領域同士が思いもがけず強く作用し一緒に働き始めることで起こるもの、と言えます。メロディを即興するジャズ・ミュージシャン、新たな詩を書く詩人、本の表紙のアイディアをスケッチする美術家といった、プロのアーティスト達の最新のfMRI研究とその結果は一致していました。また、2014年に公開された研究では、アインシュタインの脳もまた、異なる脳の領域間に異常に強い繋がりを示しました。

 

イノベーションの脳神経科学を応用する

この研究が現実の世界においてどのように適用され得るでしょうか。脳は通常(イノベーションを犠牲にして)特化・専門化する、ということの理由がわかると、この仕組みが理解しやすくなるでしょう。なぜなら、会社組織と同じだからです。縦割りの部門で、(イノベーションを犠牲にして)他の部門と情報共有や連携などをせずに業務に特化・専門化する。基本的には、非常に効率的です。蓄積された知見や行動パターンを形成してそれに従えば、新しい方法を次々試すよりもエネルギーを費やさずに済みます。いつもしていることと同じことをする場合には、余計な労力を使わずに済みます。ですが近年、このような”効率”とは異なるものが必要とされているのを感じませんか?今日のビジネス環境では、イノベーションはもはや贅沢なことではなく、必要不可欠です。そして、脳のイノベーションが自動的な反応から抜け出し、従来とは全く異なるような新しい方法を脳のコラボレーションによって生じるように、会社組織におけるイノベーションも同様と言えるでしょう。

 

EQを活用して、イノベーションを加速する

この脳科学の研究における発見を応用しようとすると、考え方や繋がり方について新たな方法を採用する必要があるでしょう。その場合、「自動的な反応から抜け出したい」「より認識的でありたい」と自らが望んでいることが必要で、それを叶えるには、感情的な知性、感情知能EQが必要です。

組織のイノベーションを促進する、イノベーションの神経科学に関する最新の研究に基づいた、3つのクリエイティブなアイディアをご紹介しましょう。

1. 異なるブレイン・スタイルを持つ人々と協働するのを促しましょう

脳の領域と同じように、人もまたそれぞれに何かの専門化です。ある人は新しいアイディアを思いつくのを得意とし、またある人は課題をクリアするためにひとつひとつの目の前のことに集中するのを得意とします。これらはSix Secondsが開発した8つのブレイン・スタイルのうちの2つのスタイルです。すべてのブレイン・スタイルの詳細については、こちらをご覧ください。先に述べた脳神経科学の研究では、イノベーティブ・シンキングは、様々なブレイン・スタイルの長所を組み合わせる能力に由来することを示唆しています。個人レベルでは、最も革新的な答えは、脳のデフォルト・モード・ネットワーク(空想、マインド・ワンダリング、アイディアの生成に重要な役割を果たすと考えられる)と、エグゼクティブ・コントロール・ネットワーク(意識的に思考を制御し、アイディアの評価と修正を同時に行えると考えられている)を活性化できる人々から発せられました。組織として、様々なブレイン・スタイルを持つ人々が一緒に働くことを奨励することにより、イノベーティブ・シンキングを促進することができます。これはもちろん、言うは易し。誰かが理想主義的な全体像にだけ焦点を合わせ、誰かが物事を成し遂げることだけに焦点を合わせるのでは、しばしば衝突し、互いに間違った方法で攻撃し合ったり、最終的には分かり合えないと諦めて無視し合ったり・・ということになってしまうかもしれません。ですがこの違いこそが、脳の領域の違いが生んだイノベーティブ・シンキングのように、困難を乗り越えるイノベーションの鍵になり得るのです。


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2. 異なる部署間でのコミュニケーションを促進しましょう

人事部とマーケティング、発送、といったそれぞれの部署が、あらゆる小さなタスクにおいてもコラボレーションをしようとしても、そうはいきません。専門化・特化には理由があります。ですが、異なる部門間でのコミュニケーションは、皆無とまでは行かなくとも、ほぼない、という状態になるのは簡単なものです。皆が常に忙しく働いています。そのための会議の時間を更に捻出してまでコミュニケーションを取るのは難しいでしょう。しかし、このイノベーションに関する研究は、こういったコミュニケーションの欠如が真に重要な機会を逃す可能性を示唆しています。組織がこの罠に陥った場合は、Six SecondsのEQモデルに従って、組織の中で行われている慣行を振り返り、よりイノベーティブな組織文化を醸成するために実行できるような代替アクションを検討しましょう。

Know Yourself:現在の状況は? 社員同士や部門間でのやりとりは不足していませんか?
Choose Yourself:より協調的な組織文化を奨励するには、どんなことができますか?プロジェクトに関してより多様な意見を求めることによる潜在的なリスクと利点にはどんなものがありますか?
Give Yourself:よりイノベーティブな組織文化を生み出すことは、なぜ魅力的なのでしょう? 組織にとってのノーブルゴールとは、どのように関連していますか?


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3. たとえ不完全で非現実的なアイディアであっても、育てていきましょう

脳は正確であることを好みます。正しく、納得感のあることを好みます。この脳の傾向が、リーダーとして、或いは同僚として、アイディアを育てていくような思考や心の余裕を失わせてしまいます。アイディアに飛びついてうまくいかなかった際に、うまくいかなかった理由を並べるのはあまりにも簡単です。特に、突飛なアイディアを次々と出すような人が提案したものであればよりそうでしょう。ですが、イノベーションは、アイディアを思いついたり、精査したり、修正したり、他のアイディアを思い描いたり、といったことを境なくスムーズに切り替えて行う能力から生まれます。これは、枠に収まらないようなアイディアを受容する文化そのものが醸成される必要があることを意味します。これは大きな懸念を抱かざるを得ないようなアイディアもぜひとも世に送り出すようにしよう、ということではありません。たとえ抜群のタイミングでなくとも、問題解決に対してやや未成熟なアイディアであっても、耳を傾けオープンであり続けましょう、ということです。


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Six Seconds本部 Michael Miller
訳者:COLORES 廻田彩夏