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上場企業グループ会社の経営層14名のEQ開発実践

by : グロースワークス合同会社|宮木 俊明  | 

2024年6月18日 | 

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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。


当方で受託・開発した、外食大手のグループ会社の社長、本部長等含む部長以上の経営幹部14名のEQ開発を含むリーダーシップ開発プログラム受託について報告する。

本プログラムでは、SEIリーダーシップレポート(以降SEIとする)の実施、研修、週次のリフレクションと相互フィードバックの実践、個別コーチングなどを実施し、半年経過後の「自身と部下のEQスコアの変化」を見ることで、経営幹部としての人間力の向上に取り組んだ。

1.目的
2.計画概要
3.活動詳細
4.結果
5.考察

①目的

これまで社風として重視されてきた「機械的なオペレーション遂行力」ではなく、「エンゲージメントを醸成できる人間力」を発揮できるスキルセット・マインドセットを獲得し、新たな風土を獲得するために、まずはトップを含めた経営層が、自らの人間力に気づき、相互の理解を深め、部下との関係性を向上させる施策としてEQ開発を実施。副次的な目的として、新任部長のサポートを含め、既存部長層の相互支援を仕組化すること、及びその中でのコミュニケーションや関係性を可視化することで次世代経営者の選抜にも活用する。

 
感情的知性(EQ)は、企業のマネジメントにおいて、チームや組織をリードすることはもちろん、組織内外のステークホルダーとの共創を通じて成果を上げる役割を果たすものであり、EQの実践はマネージャーの効果的なリーダーシップと組織の成功に不可欠なものとして、今回のプログラムに採用された。
 
単発の研修やコーチングだけでなく、グループウェア(ITシステム)を活用し、経営幹部同士のコミュニケーションを可視化することで、客観的なデータ解析を試みることも特徴的な取り組みとなった。


②計画概要

対象:経営幹部14名(社長、本部長等含む部長以上)

5月:SEIの受講
6月:デブリーフィングと目標設定
7月:集合研修
9月:フォロー研修
1月:SEIの再受講
2月:デブリーフィングと目標再設定


③活動詳細

・5月:SEIの受講
本プログラムの対象は経営幹部14名(社長、本部長等含む部長以上)だけでなく、その部下のメンバー(課長層)も加えた、総勢42名のデータを取得。本人のみならず部下の変化を見ることで、チーム状態とリーダーの周囲への影響を可視化する事を目的に受講者を選定した。

・6月:デブリーフィングと目標設定
SEIのデブリーフィングを実施するとともに、プログラム対象者14名には7月の集合研修に向け、今年度のEQ開発(マネジメントにおける人間力の発揮)に関する目標設定を事前課題として提示した。

・7月:集合研修
事前課題としてた「目標設定」のブラッシュアップと、その実行力を高めるためにグループウェアを活用した「週次のリフレクション」と「週次の相互フィードバック」の実践に関して、ワークショップ型の研修を実施。事後課題として、研修内で自身で行った「目標設定のブラッシュアップ」で学習した内容を活用し、「部下の目標設定」を支援する事を事後課題に設定。

・9月:フォロー研修
週次のリフレクション、及び相互フィードバックの実践状況に関して、グループウェア上のデータログを解析して、より実践度を高めるワークショプ型の研修を実施。同時に、事後課題としてた部下の目標設定の支援に関して、プロセスを共有し、講師からフィードバックをした。その後、遠隔にて適宜データを講師がチェックし、月次で遠隔でのフィードバックを12月末まで実施。

・1月:SEIの再受講
5月と同様、プログラム対象者14名及びその部下のメンバーに再受講。個人の変化だけでなく、チーム単位での変化、上司のEQの変化がメンバーにどの様に影響したかなどの分析を実施した。

・2月:デブリーフィングと目標再設定
SEIのデブリーフィングを実施するとともに、プログラム対象者14名には次年度のEQ開発(マネジメントにおける人間力の発揮)に関する目標設定を支援し、同時に部下への指導を行える様、準備を個別に実施した。


④結果

【EQ開発の習慣化の達成】
12月末で一旦プロジェクト完了としたが、14名中5名は、リフレクションやフィードバックを継続している状況を確認。習慣化に効果が見られた。EQの実践と共に、行動だけでなく、思考、感情、自らの意志を含めて深く振返る効果が実感され、実践者については習慣化を達成することができた。

【次世代経営者の選抜】
実践状況の違いを相互に確認し、訪れた変化をポジティブに受け止め、自分事として主体的に取り組める社員を定量的に可視化することができた。次世代経営者の選抜に活用できるデータセットが得られた。

【課題把握】
グループウェア上のコミュニケーションを解析したところ、オペレーション能力が重視される一方、目的意識や強みを活かし合うなどのマインドが希薄になりがちな傾向が見えた。(部長層の相互理解のためにも、今後、集合型での振り返りの機会を設けることを提案)


⑤考察

・EQスコアと「グループウェア上での周囲への働きかけの量」に相関が見られた。
・個々人のEQのスコア変化を確認したところ、EQの高い部長ほど、部長本人のスコア変化にかかわらず、メンバーのEQ向上が確認できた。
・EQのスコア変化と店舗の売上との間に相関が見られた(好調なエリアほどEQスコアが向上した)が、EQの高い部長の管轄エリアでは売上に苦戦していてもEQのスコア向上が見られた

今回、EQと売上そのものへの相関は見られなかったが、EQの高い部長ほど、周囲への働きかけが建設的であり、短期的な外的影響に翻弄されず、レジリエンスを発揮することも示唆され、EQ開発が会社の期待する「人間力の発揮」につながる事が確認できる結果となった。

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