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EQ実践者の声「イノベーションを進める環境と栄養に」

2015年5月15日 | 

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地域も、組織も、個人も、イノベーションを進めるには
そのための環境や栄養が欠かせない。
EQを活用すると、その実践方法が見えてくる。

山梨県経営者協会 参与 小林 隆二 様


小林隆二さんは、山梨県の機械メーカーの人事労務担当・役員として、町工場から株式公開企業へと発展・成長する過程で、企業が必要とする人材の変容をつぶさに見てきました。

企業の成長に反比例するように、社員の組織帰属意識が薄れていくのはなぜか。社員研修に効果が出にくいのはなぜか。さまざまな課題に直面するなか、EQを研修に取り入れることで見えてきた社員の明らかな変化に注目し、自らシックスセカンズの国際認定資格を取得。

山梨県経営者協会の重鎮として地域創生と活性化に取り組む今、EQ活用が結果への重要な鍵であることを確信し、活動に生かしています。

仕事に没頭し、会社を支える「志」の源泉はEQにあった
企業が変化していく時に直面する課題

会社が成長、発展していく過程では、業務の内容に合わせて企業が採用する人材も変化していきます。かつては高卒の技術者が中心だった地方の製造業に、大卒、大学院卒の社員が新卒や中途入社し、いろいろな部門でそれぞれの仕事をするようになります。

たとえば、開発部門で働く大卒、院卒の社員は、自分のテーマを掘り下げていくことにより興味を持ち、組織としてのまとまりにはあまり関心を示さない。一方、工場で製造に従事する高卒技術者は、第一線でありながら、これまでのように企業の要として評価されなくなるとの誤解が生まれ、ロイヤルティーが低下していくという現象です

教育研修へのEQ導入の効果

そうなると一斉研修は意味をなさなくなり、階層別研修を行っても効果のばらつきが極端です。当然、企業全体の体感も下がっていく。その状況を変えるのにEQはきわめて効果的です。

私がメーカーで人事に関わっていた時も、教育研修にEQを取り入れることによって、階層、職域に関係なく、仕事や組織に対する社員の意識、姿勢が変わってきたことを実感できました。それが、私自身もより深くEQを学ぶきっかけとなりました。

異なる立場で企業と向き合う

会社を退職後、大学のキャリアセンターで2年間、学生にEQを個別指導する機会を得ました。また、経営者協会の参与、地方銀行の業務アドバイザーなど、いくつかの役職を兼務し、使用者と被雇用者、経営者と経営アドバイザーといった異なる立場と視線をもって企業経営者と対面しています。
こうした取り組みにおいても、EQによって「自らの強み」への気づきや、「感情」「心」の再認識への道筋を示唆することができます。

仕事のモチベーションを高める「心」

成長のステージや時代の変化に応じて、対応の方法、目標設定、付き合う相手を変えていくのは、人でも企業でも同様です。しかし、当事者である経営者は、社員が今どんな「気持ち」で働いているのかを意外に知りませんし、各部署がそれぞれどう動いているか、あまりよく理解していないのです。

一方、社員は、目の前の課題に集中するあまり、自分が何のためにそこにいるのか、何のために仕事をするのかを見失っていることが多い。時代、環境、立場などが変化しても、決して変わることなく大切なのは「心」でしょう。感情を基本とした「使命感」や「志」が、最終的に企業を支え、仕事のモチベーションになるのです。

技術は簡単に外へ流れる
生き残りを支えるのは変化・成長への「思い」
技術は移行する

企業、特に中小規模のメーカーが成長し、生き残っていくためには技術が大切だといわれます。しかし今、周囲を見渡せば、自動車も工作機械も、あらゆる技術が海外へシフトしています。技術は簡単に外へ移行していくものです。

必要なものが可視化される

企業にとって、また、そこで働く人にとって何より大切なのは、「感じ取る力が豊かであること」「感じたことを自分のビジネスにつなげていく創造力」そして「障害にぶつかっても、それをクリアしていく粘り強さ」です。これらは、知識として身につくものではなく、一人で習得できるものでもありませんが、EQを活用し、SEIやTVSなどの検査を通じて可視化して提示すると、誰もが納得し、自らの行動を変えてくれます。

強みと足りない部分の自覚

すべてが完璧な企業はありません。強みもあれば、足りない部分も必ずある。経営者、管理者、従業員、場合によってはこれから企業人となる学生たち、それぞれが自らの「強み」に気づき、「不足しているもの」を知ることで、驚きを感じながらも納得し、行動を変えることにより自分の居場所やこれから進む方向を実感として感じ取ることができるようになります。EQは、その有力なツールとも言えます。

社員の経営参画の意識

企業への導入方法はケースバイケースですが、「感情知性」への取り組みが醸成されてくると、企業は確実に変わります。そうした事例をいくつも見てきました。10人のモチベーションが高くなれば、その周囲のモチベーションも向上します。

大企業では大して影響がなくても、中小企業では大きな変化になるのです。社員の一人一人が経営に参画している充実感を味わうことができるのも中小企業の強みであり、成長の原動力となっていきます。

セカンドステージの人生プランニングにも EQが大きな力に
地域活性化にもEQ

「感情知性」は、地域の活性化にも大きな役割を果たします。地域ごとの特性を理解し、従来の発想や行動を超えて、その魅力を創造・発信していく、いわばアントレプレナーの持つ心のエネルギーが必要です。これこそ「感情知性=EQ」の開発をもってして他にありえないと強く思っています。

日本全体のキーワードとなっている「おもてなし」だって、相手の「気持ち」を深く受け止め、相手に驚きと満足を感じてもらえるようこちらの「気持ち」を表現することでしょう。

教育現場でもEQを

「私の活動基盤である山梨県を中心に、今後もEQを活用した考え方や捉え方を多くの人に伝え広め、地域の産業活性化、経済活性化に貢献していきたいと考えています。将来的には、学校教育の場にEQを導入し、児童・生徒の心豊かな成長や、学生たちの有意義な学生生活と就職活動を支援していけるといいですね。

セカンドステージを充実させるEQ

EQは現役引退後のセカンドステージを価値あるものにするためにも、非常に有効だと感じています。企業人が引退後、社会と関わりあっていく時に、EQの視点がとても役立つはずです。私自身のセカンドステージも、さらに充実したものにしていきたいと思っています。