店長に贈る EQスキルアップ連載 第2弾 「選ぶ」①
by : EQファシリテーター|掛川 幸子 |
2023年3月22日 |
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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。
スタッフの行動を変える為にあなたが選択出来るもの(選択するのは自分自身)
前回は「人間関係に【ムカッ!!!ドカーン】となる前に店長であるあなたが出来ること」(自分の内なる声を聞いてみよう)という内容で、負の感情のベーシックメッセージや、負の感情が持続してしまったり、爆発してしまったりする理由を学びました。
前回の記事を読む≫
今回は、「選ぶ」です。2回に分けてお届けします。
人間の行動は、感情と思考が歯車のように一緒に動き、その結果、行動を起こすという事は前回学びました。
実は、感情の脳と思考の脳によって導き出された行動というのは選択できるのです。
自らの行動を意図的に選択していくためにはどうすれば良いのか、事例を交えながらじっくり考えていきましょう。
行動のパターン
【例1】
厨房スタッフのA男はいつもアイドルタイムになるとホールスタッフへのおしゃべりが目立ちます。反対に忙しくなったり、少し強めに指示するとまわりに切れぎみになったりします。あなたは暇な時間におしゃべりをしてほしくないと思い、まじめに働く行動をとれるようにA男に伝えたいと思ったとします。
自分が店長だったとするとあなたはどの行動を選ぶと思いますか?
2.伝えずいつも時が過ぎるのを待つように負の気持を我慢する。いつかA男も成長するかもと願う。(A男の行動がエスカレートしていくかもしれない不安が残る)
3.強い口調で注意する。(怒鳴ったりはしていないが、注意した時に少しいやーな空気が流れる、A男も少し不機嫌になり、まわりのスタッフにあたったりするかもしれない。A男の心には少し響くかもしれない)
まだまだ様々なパターンがあると思いますが、感情と思考で導き出された行動というのは実は多くの行動パターンとしてどれを選択するか用意されています。そこから皆さんは「この行動を取ろう」と行動のファイルを選んでいるのです。
何かを相手に伝えるために取れる手段は何百通りもあるのに、なぜかいつも同じ行動をとりがちになってしまう。これは皆さんの中に【行動のパターン】があるからなのです。私生活でもないでしょうか?いつもあなたが「こういう時」「いつも行動をとってしまう」というパターンが。
それは実は自分が他人に見せたい自分の「マスク」をかぶっているからなのです。
「店長のマスク」や「家族と一緒にいるマスク」、「友人と一緒にいるマスク」「子どもと一緒にいるマスク」いつも皆さんは自分のその時の立場に合わせてこのマスクを使い分けているのです。
B店長のマスク
ではこの【例1】のB店長のマスクを見てみましょう。常にスタッフやお客様にどうみられたいと思っているのでしょう?
「店長としてこう見られたい」B店長の場合
*仕事が出来る店長
*信頼できる、なんでも相談できる
*誰にでもやさしいし公平
*自信と存在感があり、いてくると安心
では反対に店長として見られたくないマスクの裏側はどんなことがあるでしょう?
「他人に見られたくない内側」B店長の場合
*実はスタッフの好き嫌いはかなりあり、苦手な人もいる
*スタッフをまとめるのは得意ではないほうだ
*もめごとは出来るだけ避けて通りたいと思っている
*厨房の作業はとても苦手
普段の店長としての行動の指針は、このマスクから来ています。
なぜ「こう見られたい」と思って行動しているかと言うと、それは店舗の中で、あなたも一緒に働くスタッフも何かしらベネフィットが得られるからです。こう見られるために、少し自分を頑張らせているのです。
「B店長にとっては、このマスクをかぶるように心掛けることで下記のようなベネフィットがあります」
*スタッフから信頼され、ターンオーバーも減る
*店長としての自尊心をキープできる
*自分のモチベーションがあがる
*生きる力がわく
「こんなB店長を見ることが出来るスタッフには下記のようなベネフィットがある」
*店長への信頼から働く安心を得られる
*自分がこの店を選んでよかった!と働くモチベーションがあがる。
*働き続けたいと思える。
しかし、見られたいという面が分厚くなりすぎると、そのマイナス面も沢山あるという事です。それを維持するのはとても大変です。
マスクの表側が分厚くなりすぎると「あの人は裏では何を考えているのかわからない」「本当はどういう人なのだろう?」と文字通りの「裏表があるよね」なんていう人になりかねません。
そのマスクがもたらす結果は?
さきほどの【例1】でB店長はいつも何か問題が起こると 行動の選択肢「1」のように、直接注意せず、何か他の事に気を回させて、とりあえずその場の問題を回避します。
「またしゃべってさぼってる、ちゃんと仕事してほしいな」「でもA男注意すると機嫌悪くなるからなあ、切れると上手く対処できないかもしれないし、お店の雰囲気も悪くなるし」「注意して、牙をむかれるかもしれない、自分の失態をさらすかもしれない、それであれば上手く仕事を与えることでその場は回避すれば、お店の空気も悪くならず、おしゃべりもやむし、そのほうが平和だな・・。」
B店長はこの感情と思考によって1のパターンの行動を導いたのです。
でも本来B店長は「おしゃべりをやめて仕事することが大切ということを理解してほしい」わけなので、根本的な解決には至っていません。
では、どうしたら店長としての適切な行動を選択することができるのでしょう?
鍵を握るのは、前回ご紹介した『EQを発揮するための最初のステップ「知る:Know Yourself(自己認識)」』です。特に、自分の中にどのような感情が湧いているのかをキャッチし解析する「感情リテラシー」と、自分にはどのような感情、思考、行動のパターンがあるのかを認識する「自己パターンの認識」というEQコンピテンシーが上手く働くことが重要です。
知る Know yourself:自己認識
感情は情報であり、行動に向かわせるエネルギーであることを理解し、適切な内的情報を集めるプロセスが「知る」にあたります。
シックスセカンズEQモデル詳細≫
次回の「選ぶ」では、行動選択の助けとなるEQコンピテンシーの活用方法について紹介します。
株式会社イーアンドシーエスサポート
代表取締役社長 掛川幸子
6セカンズ認定 (上級)EQファシリテーター
CEQF:(上級)EQファシリテーター
株式会社イーアンドシーエスサポート代表
自分の世代も、その次の世代も、またその次の世代も、ずっとずっと人類が幸せに生きているように。
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