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店長に贈る EQスキルアップ連載 第1弾 「知る」

by : EQファシリテーター|掛川 幸子  | 

2023年2月16日 | 

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※この記事は、シックスセカンズ認定資格者として活躍するパートナーの皆様による、実践事例やEQ活用のヒントを紹介する記事です。

人間関係に【ムカッ!!ドカーン】となる前にあなたが出来ること
(自分の内なる声を聞いてみよう)

「いらっとする」「むかっとする」この感情はどこから来るのでしょうか?あなた自身にこの感情が沸き起こるとじわじわとエネルギーを消費し、このような感情に火がつくと正しい思考能力が働かなくなります。感情あらわに行動してしまい、人間関係の悪化を招き、膨大なエネルギーを消費します。

ただ、負の感情はあなたが、あなたとして生きていくうえでは大切な感情であり、不快感情はあなたの本来の行動指針から発生していることが多いのです。思いを抑えつけたり、コントロールしたりするのではなく、自分の内なる声を聞けるようにナビゲーションしてみましょう。

そうすることであなたの不快感情の元をみつけ、不快感情から正しい行動を導き出せるかもしれません。

本シリーズでは、シックスセカンズのEQモデルの3つの領域「知る」「選ぶ」「活かす」に沿って感情を上手にナビゲートしていくためのプロセスについてひとつひとつを詳しく解説していきます。

 

その感情の元は何ですか?

いらっとしたり、むかっとしたりするのには理由があります。

-例1-
居酒屋で一人で飲んでいると、隣のお座敷で、サラリーマンが大騒ぎをし始めました。
あなたは少し嫌な気分になり、「いらっ」としています。
どうして「いらっ」としているのでしょうか?

1 静かに飲みたいのを邪魔されたから腹が立ったのでしょうか?
2 騒いでいる人たちが怖いのでしょうか?
3 騒ぐとは思っていなかったので「なんで騒ぐの?!」とびっくりしたのでしょうか?
4 そもそも居酒屋とはいってもこんな騒ぎ方はマナー違反だと思って嫌気がさしたのでしょうか?
こうして候補をあげていくだけでも、同じ「嫌な気分」にもいろいろな種類がある事がわかります。

感情にはそれを発信する為の元となるベーシックメッセージがあります。

ベーシックメッセージの例
怒り・・・「邪魔するものはなに?」
喜び・・・「維持したいものはなに?」
恐れ・・・「危機にさらされているものはなに?」
嫌悪・・・「破られたルールはなに?」 など

嬉しい感情にもメッセージがあるのですが、まずは「イライラムカムカ」に焦点を当ててみましょう。

1 怒りはあなたのやり方を妨害された時に発生します。
2 嫌悪はあなたが大切に思っている規則や価値を妨害されている時に発生します。

例1の場合、もしあなたが「静かに飲みたい」という願望を妨害されたと感じたのであれば時は「怒り」が、「そもそも居酒屋とはいってもそこまで騒ぐのはマナー違反でしょ!」とあなた自身が思っている「規範」や世の中のマナーを守るという価値を妨害されたと感じたのであれば「嫌悪」が発生するのです。

イライラが爆発する時

こうして考えると、怒りの場合は、「静かに飲むこと」が邪魔されなければ、怒りの感情がわくことはないですし、嫌悪の場合は「マナーが守られていれば」嫌悪の感情が湧くことはないわけです。そのサラリーマン自体が嫌いなわけでもなりません。

最初は少しいらっとしていたのですが、その状態が続くと、そのイライラがたまり、爆発すると「やかましい!!」「静かにしろ!」と大声を上げてしまうかもしれません。そうすると喧嘩になったり、言い合いになったりするかもしれません。お店にも迷惑をかけてしまいます。

そもそもあなたの目的は「喧嘩」ではなかったはずですが、そうした行動をとった結果、望んでいた環境とはかけ離れた現実がやってきます。

本来は「少しいらっと」した時に、あなたが正したい願望をきちんと把握出来れば、おのずと行動が整ってくるのです。
少し落ち着いてみてみましょう。

「怒り」の感情の場合です。
1 「私は静かに飲みたい」なのにサラリーマンたちが騒ぎだし、静かな環境が邪魔されました。
2 「そのサラリーマンはあなたに『嫌な思いをさせよう』とわざとやっているのでしょうか?」→違う、本人たちは至って楽しそう。
3 「サラリーマンと喧嘩がしたいのですか?」>>> 喧嘩なんてしたくない

そうです。あなたは「静かに飲む環境」を取り戻したいのです。であれば、店員さんに「もう少し静かにするように伝えてくれませんか?」と頼むなり、直接「お楽しみのところ申し訳ないけれどもう少し静かにしてもらえると嬉しいです」と伝えるといいのです。

何も喧嘩腰で相手にかかっていくことはないのです。なんせ相手はもともと喧嘩腰ではないので、反対にあなたが喧嘩を売りに行っているような現象になってしまうのです。

「嫌悪」の場合はどうでしょう。
1 度を越したサラリーマンの騒ぎ方に「マナーを守って飲みたい」というあなたの中の規範価値がおかされました。
ただ、お店の基準はあなたの基準とは違うかもしれません。
2 「そのサラリーマンはあなたに『嫌な思いをさせよう』とわざとやっているのでしょうか?」→違う、本人たちは至って楽しそう。
3 「サラリーマンと喧嘩がしたいのですか?」>>> 喧嘩なんてしたくない

そうです。あなたはそのサラリーマンに「マナーが悪い」という事を気づいてもらい、店舗にもおなじ基準でもって対処してほしいのです。で、あればここは「店員さん、あのような騒ぎ方はお店として許容範囲なのですか?」と聞くところからスタートになるでしょう。

もし店員さんが「うちではあれは普通です」という判断がもしされれば、あなたはそのお店を利用するのをやめればよいのです。

脳における感情のハイジャック

脳と気持ちを天秤にかける
そうはいってもイライラするとそんなに冷静に考えられない!と思う方も多いでしょう。そこで、皆さんに実践してもらいたいのが「6セカンズポーズ(6秒間の間をつくる)」です。

私たちは目や耳や皮膚からあらゆる情報をキャッチして脳へ伝達するのですが、通常は情報が伝わって感情へ伝わりそれが思考へ伝わり、最終的に感情の決定とそれに基づいた最適な行動を選択して人間は行動します。

例えば
1 【「うるさいサラリーマン」の声、騒がしい姿】が目や耳から伝わり
2 脳の感情の部分でベーシックメッセージより「怒り」が選出されます。
3 それが思考へ伝わり「うるさいけど、このサラリーマンに静かにしてって伝えると面倒くさいな、だったら少々うるさいけど我慢しよう」と思考が働きその結果
4 「不快だけどがまん」という行動が選択され、
5 人間はその通りに行動するわけです。

こうして人間の脳の中では感情と思考の部分がバランスよく働いている時は「冷静に」考えることが出来るのですが、この最初に伝わる情報量があまりにも大きなものだったり、だんだんと蓄積されたりしていくと、その怒りの感情が大きくなりすぎて思考を経由するのをやめてしまうのです。

そしてすぐにその莫大な感情情報により、行動の結果を思考することなく、行動を決定してしまうので、「感情のままの行動」が選択されてしまうのです。

これを「脳における感情のハイジャック」ともいいます。
天秤に脳と気持ちをかけて気持ちの方が重い
少し視点をかえて「楽しい、嬉しい時」も考えてみましょう。例えば大好きなアーティストのコンサートに行った時など、最初こそ、周りが見えているものの、どんどん普段ではありえない大声を出したり、とび跳ねたり、興奮状態が続くと思いませんか?それは常にアーティストの歌が耳から情報として、その姿が目から、そして何よりあなたの大きな声自体もあなたの耳から聞こえ、興奮状態が持続しているのです。

「こんなに大きな声を出して騒いだら周りの人がどう思うかな・・?」そんな事は全く考えていないと思います。

「莫大に悲しい時」も同じです。誰かが死んでしまったりして、大きな声で泣き叫んだりする時も「こんなところで泣き叫んだら人はどう思うかな」そんな思考は働きにくく、悲しみにハイジャックされてしまうのです。

思考を動かす「6セカンズポーズ」

では、置き去られた思考を動かすためにどうしたらよいか。
「いらっ」としたり「むかっ」とした時点で、「6日前までの晩ご飯を思いだす・・」とか「車の名前の種類を6個思いだす」「大好きなブランドを6つ思いだす」・・などわざと脳における「思考」の部分を働かせるようにするのです。

そうすることで、思考が無理にでも働くので、感情は脳をハイジャックできなくなります。そうすると湧きだす怒りの感情が収まってきます。この6秒間が実は感情の伝達物質の寿命なのです。

脳内で発生した化学物質が全身に行き渡り消失するのに約6秒の時間を要するのです。「むかつくむかつく・・・」とどんどん思うと、次から次へと感情物質が生み出されネズミ算式に増えていくのですが、一旦思考を働かせると、次の感情物質の発生が止まり、6秒たてば、客観的に考えられるようになるのです。

「自分が達成したかったのは『静かに飲むこと』」であり、相手と喧嘩をしたいわけではない。
もしあなたが前向きな人であれば「静かに飲むことを伝えればきっと静かにしてくれると思うから、期待という感情を選択し、にこやかに伝える」という行動を選択するかもしれません。
あなたが行動を起こす前には、沢山の行動ファイルがあると思って下さい。

そこには、「ポジティブに伝える」というファイルもあれば「がまんする」というファイルもあるかもしれません。
あなたの思考が最終的にあなたの行動を決定して「行動ファイル」を選んでいるのです。

自分の内なる声

こうしたことでもわかるように自分に湧き起こるいわゆる「負」の感情には理由があります。
いらっとしたり、むかっとしたり、モヤモヤとした感情はその感情が発生するに至った、元となるメッセージ(規範、願望等)があなたの中にあるからなのです。

それはあなたという人間を形成していく中で大切なもので、「あなた」という人間が常に何を大切にしているのか、というこだわりが詰まっています。いわば、あなたのベーシックメッセージはあなたという人間の中にある「価値観」で構成されているのです。

これはあなたがこれからもどう生きていくかを選択する中とても大切な部分なので、マネージメントもコントロールもするものではないのです。あなたの内なる声をしっかり認識して、あとはどういう行動へナビゲートしていくかということが大切なのです。

なので、意外と「いつもイライラ」とか「すぐむかっとする」人ほど、その人の中のこだわりや大切にしたいものが多かったり、大きかったりするのです。それはすごく素晴らしい事だと思いませんか。

6セカンズポーズを行う事で、思考の部分の脳が使われ、本来自分がなぜこのような感情を抱いたのか感情の基となるメッセージに気づく事が出来ます。

メッセージが明確になれば、本来あなたが達成したい目的に行動が合っているか、問いかけたり、先入観を持ったりせずに、行動を決定出来るかもしれません。

「静かにさせたい」と言う願望は必ずしも「怒鳴る」しか方法がないわけではありません。小さなイライラ、ムカムカを感じた時にあなたが出来ることはとても簡単です。

6秒間でも6種類でもよいので何かを思い出すことを実践して、脳の「思考の部分」を働かせましょう。そうすることで「怒り」や「嫌悪」の感情にハイジャックされ、大爆発を起こし、多くものを失うことを防止できます。

これがEQを発揮するための最初のステップ「知る:Know Yourself(自己認識)」です。自分の中に湧いてくる感情に意識を向け、その感情が持つメッセージに耳を傾けることで、無意識の反応(パターン)から、意図的な選択へとつなげることができます。

次号では「行動ファイル」からあなたがいつも選びがちな行動ファイルを読み解く「自分の思考の癖」を理解し、新しい行動ファイルを選ぶコツをお伝えしていきたいと思います。

 

株式会社イーアンドシーエスサポート
代表取締役社長 掛川幸子
6セカンズ認定 (上級)EQファシリテーター

 

Six Seconds Japan シックスセカンズジャパン 上級EQファシリテーター EQファシリテーター EQカウンセラー

掛川 幸子
CEQF:(上級)EQファシリテーター
株式会社イーアンドシーエスサポート代表
自分の世代も、その次の世代も、またその次の世代も、ずっとずっと人類が幸せに生きているように。
300年後「掛川さんがいたから今も幸せだよね」と言われるような、EQを広める人物でありたい。

EQを学びたい方へ

Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。