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EQと認知行動療法(CBT)

by : EQプラクティショナー|臨床心理士・神谷 敦子  | 

2019年3月11日 | 

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EQの理論は、認知行動療法(CBT)とも似ているところがあると考えられる。うつや不安を繰り返さないために何とかしたいと面談に来られる方の中に、CBTを希望される場合があるが、その際、一つの手順として、『7つのコラム法』を用いている。

EQプラクティショナー資格認定セミナーを受講し、認定を受けたEQプラクティショナーの活動レポートより、一部をご紹介します。本日は、臨床心理士としてご活躍される認定者の、専門家ならではの視点と現場でEQを実践された実際のケースについて、ご報告です。


EQレポート「EQと認知行動療法(CBT)」

7つのコラム法』は、以下に示す基準で思考記録を付け、自分を大切にする考え方を身に付けるようトレーニングするアプローチである。

(1)状況 (2)感情(尺度)
自分を苦しめている「感情」に名前を付け明確化。どのような「状況」で、どんな感情が湧いたのか、気分とその強度を尺度で表し記録。

(3)自動思考(ホットな思考)
感情が湧く直前に自分が直感的に考えた「ホットな考え」「自動思考」に着目。そこで、自分の陥りやすい‘考え方のクセ’を探す。長年に渡り身に付けてきた、自動思考に至る信念のようなものに辿り着くと、それが引き金となって自分を苦しめる感情が湧くことを認識。

(4)根拠 (5)反証
自動思考の源となる「根拠」をいくつか示し、別の考え方はないのか「反証」を列挙。

(6)適応的思考
自分を大切にする、「適応的な考え」に至るよう、柔軟な思考を工夫。

(7)その後の感情(尺度)
適応的な思考でその「状況」を捉えた場合の「感情」を尺度化し、自動思考での気分と比較・数値化。

これら一連の流れを記録してみると、自己洞察が深まり、状況への意味付けの違いによって、気分が随分変化することが分かる。気分が変わると当然その後の行動も変化する。

自分を苦しめる、ネガティブ感情の扱い方については、単にポジティブに変えるという考え方ではなく、必要以上に否定的な側面への囚われがないかを確認し、より適応的で現実に即した捉え方が出来るような思考回路を作る。思考と感情をバランスよく同時に働かせることになる。

Six SecondsのEQ理論を重ねてみると、
感情リテラシー」を用いることによって、「自己パターンの認識」が深まり、
感情のナビゲート」がうまく機能すると、状況への意味づけが変わる。
更に、「結果を見据えた思考」や「楽観性が発揮」されると、より適応的な思考へと導かれ、選択肢が広がる。
その結果「ノーブルゴールを追求」した行動選択が出来る

と解釈できるのではないだろうか。

同様に、KCGモデルに当てはめてみると、
「今、自分が感じていることは何?」
「どんな捉え方のクセがある?」
「それは何故?」
「他にどんな選択がある?」
「なぜそうするのか?」
「本当に望んでいるものは何?」
「どう捉えることが自分らしい人生につながる?」
と、自問自答する過程は、まさに、自己の陥りやすい考え方のクセに気付き、自分を大切にする思考へと導くこと、感情を味方につけて活用すること

と理解できるのではないだろうか。

従って、類似した2つの理論は、理解されやすいのではないかと考え、CBTを主軸とした面談をしている方とのやり取りに、KCGモデルを取り入れてみた。

努力家で仕事への意識がとても高い方だが、あるプロジェクトで「上司の手助けがあり上手く運んだが、一人で解決できなかった」ことに落ち込んでいた。KCGモデルも併せて、やり取りを重ねる中で、『全か無か的な考え』や、出来ていることへの『過小評価』といった‘自己の考え方のクセ’が、状況への意味付けに影響していることに気付き、「いつも一人で解決できない訳ではない」「今回の課題は上司に介入してもらった方が上手くいく案件だった」などと、思考の幅が広がった。更に「必要な時には周囲の力を借り、自分のすべきことはしっかりやりたい」と自己の行動選択も感情も前向きに変化した。不快な感情が続き視野が狭くなると、あるはずの選択肢に気付かなくなることを、その方と共に私も学んだ面談となった。

このように、Six SecondsのEQモデルは、CBTを理解されている方には受け入れやすい概念だと思われる。
今後はメンタル不調にかかわらず、すべての人の『ポジティブ・チェンジ』に活用していきたい。

EQプラクティショナー
臨床心理士・神谷 敦子