臨床心理士としてのEQと、真の意味での私としてのEQ
by : EQプラクティショナー|臨床心理士 |
2019年8月8日 |
感情知能の概念は、心理学をベースにまとめられているため臨床心理士として理解しやすく、今回の研修では、自己の仕事上の取り組みを理論的に裏付けるものでもあった。仕事の場面では自分の感情を捉え、言語化・イメージ化し、無意識で行動してしまうことがないように努力しているが、それは心理士としての自分であり、私の一部分ではあるが、真の意味での私自身とは言い切れない。
EQプラクティショナー資格認定セミナーを受講し、認定を受けたEQプラクティショナーの活動レポートより、一部をご紹介します。
相談者の話を、8つのコンピテンシーに当てはめながら聴く
以前から、成功するための人間力は‘IQよりEQ’と言われており、EQは伸ばすことが出来ると聞いたことはあったものの、数年前に受検した時には、検査により数値を図ることは出来ても、EQを高める具体的な方法が想像できず、学習して伸ばせるとは思えなかった。今回しっかり学んだことで、面談の中に一つの技法として取り入れることが出来るようになったと思う。特にEQについて言及することはなくても、相談者の話を8つのコンピテンシーに当てはめながら聴き、整理し、それをフィードバックする過程は、相手のEQを高めていることになると考えて良いのではないかと思う。
真の意味での、私自身と出会う
仕事柄普段から、感情・思考・行動などについて意識している方だと思うが、それでも自分自身のこととなると、脇に置きがちである。仕事の場面では自分の感情を捉え、言語化・イメージ化し、無意識で行動してしまうことがないように努力しているが、それは心理士としての自分であり、私の一部分ではあるが、真の意味での私自身とは言い切れない。
普段から、本当に自分の求めることと整合性のとれた行動選択が出来ているか、各コンピテンシーに沿って一つずつ内省していくことで、より自己理解が深まったと思う。冷静な時には意図する行動を取れているが、ストレスフルな場面では、望む行動がとれずに後悔することもある。KCGモデルを常に働かせること、つまり、自分の感情をキャッチして、その意味を考え、どうすべきか、なぜそうするのか、自分を大切にしつつ周囲にも良い影響を与える最適な行動を選択することが、問題解決でもあり自己実現にも繋がる。
私の今後の課題としては、KCGモデルを瞬時に構築し、直感的に判断できるようになることだと思っている。じっくり考えて出した答えには安心できるが、即座に出した回答には迷いが生じやすい。反射的に答えるのではなく、反応としての直観力を鍛え、選択の精度を上げたい。また、自分自身を信じ、周囲の人々を信じること。人を信じる力と少しの勇気が楽観性を養うのではないかと感じている。
自分のしていることと世の中との繋がりを、意味づける
最後に、自分のしていることが世の中とどう繋がっているかを考えること。仕事以外でも言えることで、現在、手話の勉強中である。始めたきっかけは趣味のような感覚だったが、手話を通して出会った方々との交流によって気持ちも徐々に変化し、学習を続けているうちに何故か順調に進級、通訳者を目指している訳でもないのに通訳者講習を受けている。自分の行動選択は感情からのメッセージや目標と一致しているかと自問すると、ずれている気もする。しかし、これにはきっと意味があると考えてみる。手話の出来る精神科医に「安心して話せる」と聾者が話していたのを見た時、手話の出来るカウンセラーが居ても良いかと考え自分をモチベートしている。
日常に‘EQ的に理解する’という視点を加え、ひとりひとりが自分らしく安心して生きられる社会づくりのために、EQを公私に活用していきたい。