VUCAの世界で、人を導く方法
by : Six Seconds米国本部 Paul Stillman |
2020年6月11日 |
ドイツに本社を持つ世界屈指のヘルスケア企業シーメンス・ヘルシニアーズのラテンアメリカオフィスのコーポレートチームは、目まぐるしい変化、経済的・政治的激動、強いプレッシャーの中、「VUCA」な状況に陥っていました。
VUCAとは:
V: 不安定(Volatility) U: 不確実(Uncertainty) C: 複雑(Complexity) A: 不明確(Ambiguity)
このような困難な状況にあって、エンゲージメントが高いマネージャーの割合を139%、更に全体のエンゲージメントスコアを46%も上げることができたのは一体どうしてなのでしょう。
このケーススタディ概要では、プログラムの成果と、シーメンス・ヘルシニアーズを成功に導いたこのプログラムの主な内容をお届けしていきます。
米国本部が2018年4月25日に発表した記事「How to Lead People in a VUCA World」の日本語翻訳です。画像をクリックすると米国本部の原文記事をお読みいただけます。
翻訳:EQチェンジエージェント|株式会社コンビンスアイ 森川智子
問題ではなく、人をマネジメントする
ブラジルのシーメンス・ヘルシニアーズの幹部チームは、VUCAの影響でチームのパフォーマンスが低下していること、そして旧来のやり方がうまく回っていないことに気が付きました。
複雑さが急激に増すにつれ、人々は益々ついていけなくなります。VUCAという外的状況は人に影響を与え、それが成果に影響を与えます。
チームの一人が言いました。
「私たちは人をマネジメントせずに、問題を管理してしまっている」
そして幹部チームは課題の感情的な側面に真正面から向き合うことを決め、ブラジルでビジネスセクター向けのEQを専門とするクロンベルク氏とのプロジェクトに取り組むことにしました。
クロンベルク氏はアセスメントツールとして、世界最大のEQ開発専門機関であるシックスセカンズのSEIリーダーシップレポートやブレイン・ブリーフ・プロファイル、リーダーシップバイタルサイン(LVS;リーダー向け)、チームバイタルサイン(TVS;チーム、組織向け)を用いました。バイタルサインのモデルは非常に有効で、リーダーやチームのパフォーマンスを議論する際のベースとなりました。
無意識に伝播し蔓延していく感情を活かして
彼らはアセスメントに続き、コーチング、体験学習、そしてリトリートのようなワークショップを実施しました。そこから見えてきた主な事項として、主に次のような点が挙げられます:
- 部門間の厚い壁、責任の転嫁、強い疲労感が不安定な職場環境に蔓延していた
- EQと互いへの信頼が前進する道を拓いた
- 活気あるチームを作ることで変化に向けた枠組みが築かれた
- 一体感、目的、そしてチームワークというコアバリューがこの取組みの指針となった
- Six Secondsのアセスメントは、成果を測る上で欠かせない実用的なデータを提供してくれた
- 相互理解を育む上で率直な対話が欠かせない
- EQスキルの開発はエンパワーメントに繋がった
一体感、目的、チームワーク、誠実といったコアバリューは、信頼を得るのに絶対に欠かせない側面です。
エンゲージメントの高いマネージャーの数を139%増やすことができたなら
客観的なアセスメントを用い、チームのパフォーマンスをプログラム前後で測定した結果、プログラムの包括的な取組みによってエンゲージメントが向上し、組織風土のカギとなる要素や結果のスコアが劇的に改善されました。
以下がプログラム前後での組織風土診断(TVS)のエンゲージメント指数と割合です:
シーメンス・ヘルシニアーズ・ラテンアメリカにおけるEQ導入のケースでは、エンゲージメントの高いマネージャーが139%増加、この取り組みの終了時には、全体のエンゲージメントは46%向上し、シーメンス・ヘルシニアーズには明るい未来が見え始めました。
チームメンバーの一人は、
EQの能力を上げるようにこれからもみんなで努力できればと思います。
組織におけるEQの影響や効果は目に見えて明らかです。
チーム内における誠実さや信頼のレベルは格段に向上したように感じます。
と述べました。
シーメンスヘルシニアーのケースでは
マネージャーにEQを高めるための方法を授け
結果、組織における関係性が深まり、信頼が生まれました。
そして目的に向かって前進し始め、取り組みは明らかに成功を収めました。
V(不安定)U(不確実)C(複雑)A(不明確)
まさに今、私たちが遭遇しているこのVUCAの世界に、
チームとして手に入れたいものは何ですか?
EQはどのような価値を生み出すでしょう?
「人」にアプローチする組織風土改革を
EQの専門家と共に取り組み、変化をもたらしませんか?
*ご要望に沿ったEQチェンジエージェントのご紹介は、シックスセカンズジャパンまでお尋ねください*
Paul Stillman
Director of Organizational Vitality
ヘルスケアの経営者およびコンサルタントとして30年以上の経験を持つ。Six Secondsの組織風土診断ツール: Vital Signの活用・導入を世界各国で実現しリードしています。
訳者コメント|コロナウィルスによってVUCAの度合いが
ますます高まっているのではないでしょうか。この記事を読み、そのような時こそ
「人」の側面に目を向けることが、困難を乗り越えていく土台を作るのだと感じました。
EQチェンジエージェント|株式会社コンビンスアイ 森川智子
EQを学びたい方へ
Six Secondsグループは、グローバルで、科学に基づき、実用性の高いEQを世界各国で伝えています。日本オフィスであるシックスセカンズジャパンでは、最先端のEQの情報を日本語で発信するほか、Six Seconds国際認定資格セミナーの国内開催を行い、資格を持ち日本各地で活躍するEQチェンジエージェントと共に日本全国へEQを届けております。本記事でご紹介したケースで特にパワフルに用いられた「バイタルサイン」というアセスメントは、VSC:バイタルサインコンサルタントのコースを受講頂くことで、自らアセスメントを使用することができるようになります。